危ない中国野菜

食と健康

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中国という国を私は尊敬を持って見つめています。

経絡やツボを含め、人間のカラダを「気」というエネルギーの流れる生命体として捉える身体観、そして、老子や荘子、孔子など偉大な思想を生み出した賢人たちの生まれ故郷としての中国・・・

今まで私自身にとっても、そしてこの日本にとっても、中国から頂いた恩恵は、はかりしれないものがあると思うのです。

ところが、そんな中国でも、どうしても受け入れ難いものがひとつあります。

それは、「中国からの輸入農産物」

 

■JAS認定も安心できない現状■

年々、我が国の野菜の輸入量が増えている中、急激にその輸入量を増していったのが中国野菜です。

しかし、その中国野菜は、幾度となく残留農薬問題が取りざたされています。

しいたけ、ごぼう、ホウレンソウ、ブロッコリー、絹さや、白菜、にら、大葉など・・・これらはいずれも過去に日本での基準値をはるかに超えた残留農薬が検出された輸入産物なのです。

農林水産省の発表している日本の輸入産物の調査によると、23年度の資料で、日本が海外から輸入している野菜の輸入量は約227万トンで、そのうち中国野菜が133万トンと、全体の半分以上を占めます。

圧倒的な低価格と長く続く経済不況を背景に中国からの輸入量が伸び、その大半はスーパーに直接並ぶよりも冷凍野菜やカット野菜として加工され、学校給食や外食産業で幅広く利用されてきました。

その後、残留農薬の問題や毒入りギョウザ事件が発覚してから社会問題となり、平成18年以降は輸出量も若干落ちていたものの、ここ数年はかつての輸出量ピーク時の154万トンを超えるような勢いで再び伸びています。

中国野菜の残留農薬に関する一番の問題点は、猛毒の有機リン系メタミドホスや有機塩素系のBHC、DDTなど、日本だけでなく、FAO(国連食料農業機関)でも使用が禁止されている農薬が平気で使用されていることです。

こうした現状から、日本の厚生労働省も重い腰を上げ、中国産野菜の検査を強化するようになったものの、検査自体に大きな抜け道が残されていました。

それは、冷凍野菜やカット野菜などの加工食品です。加工食品は生鮮食品のように残留農薬の基準がなく、検疫所でも一部の食品を除き、モニタリング検査は行われていませんでした。加工を国内でしてしまえば、「国産」と表記できるため、消費者には中国野菜が加工食品に使われているかどうかの判断ができなかったのです。

また、中国野菜の問題はこのことだけではなく、調査してみると、「有機JASマーク」が表示されている中国産の冷凍ホウレンソウからも安全基準をはるかに超える農薬が検出されていたことでした。今から10年以上前の話です。

これには、関係者も相当ショックを受けたと思います。国内でも消費者が安全を求めて有機野菜礼賛の声があがっていただけに、その消費者の信頼を裏切る結果が報告されてしまったからです。

商社が中国に出向いて、現地を視察し、徹底した管理を行っているとは言うものの、月に1回程度の派遣で完全に指導するのは無理な話。それでも日本の企業の中には、現地に日本人を何人も駐在させて監視することで、有機栽培を成功させているところがなくはないのですが、かなり少数派。

中国当局が行った調査によれば、国内21省の農家約千世帯で、90%以上が害虫駆除などの目的で農薬を使用し、そのうち80%以上の農家では、余った農薬を勝手に捨てていて、残留農薬の健康被害について知識を持っていない人が殆どであると報じています。

 


 

■中国は危険な農薬のはきだめ国■

実はこうした事実の背景には、「経済」「貿易」が関わっています。

中国政府は、農薬ハイテク技術と外国資本との合弁ビジネスを奨励していて、世界に名だたるアグリビジネス企業が参入してきているのです。例えば、名前を挙げれば・・・三菱商事、丸紅、三井物産、住友商事、伊藤忠などなど。

中国で使用される年間23万トン以上、1000億円強とも言われる農薬市場の利益にこうした日本企業が関わっているのです。しかも、そこへ中国の農薬や医薬品を製造する闇ブローカーが加わって、政府の許可なく見よう見まねで勝手に作ったニセモノの農薬を本物の1/3くらいの価格で売っているのです。

農家のほうにしてみれば、それが本物かニセモノかなんて気にしません。安いから買うだけで、安全性など全く考慮なし。

それに加えて世界の大手企業の中にも、自分の国では法的に規制されて使えなくなった農薬を中国へ運び込み、売りさばく商社が多くあるのです。日本企業の三井化学も、猛毒のダイオキシンが含まれていることがわかって、国内で販売禁止になったペンタクロロニトロベンゼンを過去に2年半に渡って海外に輸出していたことがあるのです。

こうした非常に危険な農薬まみれの状況の中で栽培される中国の農産物。

いくら価格が安いからと言っても、手放しで喜べる代物ではありません。こうした問題の根底にあるのは、私たちの暮らしにとって最も大切な「食」という分野のアウトソーシング化です。

昔は、自分の食べるものは自分で調達するか、家族や周囲の仲間たちと協力して得ているかしていたものを、いつの間にか外部者に、それも十分その実体を把握できない大きな組織にゆだねてしまったことに原因があると思います。

人間とは、ずるいもので、自分や自分の親しい人に対しては正直に尽くせても、顔の見えない他人に対しては、時に冷酷に、時に平気で突き放すことができる性質を少なからず持っています。

どんどん、グローバル化が進んで行く中で、こうした人間のエゴが、大企業の「貿易」というカタチを借りて食の分野にも大きく露呈されているように感じます。

少々、固めの文章になってしまいましたが、私たちの健康を考える上で欠かすことのできない「食」についても、時々はこうしてテーマとして取り上げ、論じてみたいと思っています。今度、中国野菜について書く時は、その「健康被害の実体」についてもお伝えしたいと思います。

 

 

★本書を読めば、たとえ安いからといって、スーパーで中国野菜を手に取ることはなくなると思います。

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