バナナに旬はない。
そう感じるくらいに年中スーパーに並んで、切れることがないバナナ。低カロリーで栄養価が高い上、お値段もそう変動することがありません。また、ナイフがなくても簡単に手で皮がむけ、どこへでもおやつ代わりに持っていけるとっても重宝な食べ物であります。
しかし、そう喜んでばかりもいられません。なぜなら、バナナも結構大量に農薬や化学薬品を使って栽培されるから。さらに熱帯地域で栽培されるバナナは「陰性」といってカラダを冷やす性質を持っています。冷え性の人が食べすぎれば、当然体調を崩す原因ともなります。
でも、恐れることはありません。ちょっとした選ぶポイントや食べ方のコツを知っていれば安心して食べられます。今回はそんなお話をしたいと思います。
昔々、私たちの親の世代がまだ子供だった頃、まだ日本でもバナナは高級品で、遠足に持っていける子供は少数でそれはちょっとしたステイタスであった時代がありました。
調べてみれば、当時のバナナのほとんどは台湾産。ところが最近スーパーに出回っているものといえば約8割がフィリピン産にとって変わりました。
実は、産地が違えば使われる農薬や化学薬品も異なるってご存知でしたか?
現在多く流通しているフィリピン産には、ベノミルなどの殺菌剤やTBZ、イマザリルなどの「防カビ剤」が多く使われているのです。輸入フルーツのほとんどが、この防カビ剤を使って処理されます。輸入品のフルーツは海外から何週間もかかって船で輸送されてくるため、日本に到着してカビが生えていたら売り物になりませんからね。
これらの薬剤は、収穫後に用いられるため「ポストハーベスト」と呼ばれます。
しかし、防カビ剤にはガンを誘発するなど、健康不安が常につきまといます。例えば、TBZにはお腹の赤ちゃんに先天性障害をもたらす催奇形性が、イマザリルには神経行動毒性や肝臓に悪影響があることが指摘されています。
基本的に港に到着した輸入バナナは、厚生労働省の検疫所で審査され、
①残留農薬が基準値以内であるか?
②添加物の使用基準が適切か?
③有毒有害物質が含まれていないか?
について検査用サンプルを抜き取って検査されます。
農産物中に残留する農薬については、一日摂取許容量をさらに大きく下回るように残留農薬基準が定められています。 万が一、基準を超えて農薬が残留している場合は、違反品として廃棄処分されるそうで、「だから輸入バナナは安全」というのが「日本バナナ輸入組合」さんの主張です。
バナナの熟成には、通常、エチレンガスを使用し、温度管理した倉庫で数日熟成させて黄色くします。バナナは黄色くなってはじめて甘くなるのです。
もしも検査にひっかかった場合には、即、燻蒸処理を命ぜられます。燻蒸は表面だけの場合、青酸ガスを使用し、虫が内部まで入り込んでいる場合は臭素酸カリを使用します。こうした過程で、いくつもの農薬や化学薬品を浴びながら輸入バナナは私たちの食卓へと届けられるわけです。
一応は厚生労働省の検疫所基準をパスした安全な食品ということにはなっていますが、こうした多量の薬品を使用せざるを得ない流通や管理システムというのは、はたして作物にとって、環境にとって、人体にとって良いのだろうか?という疑問が残ります。
けれども近年、消費者のニーズに合わせ、バナナの栽培についてもオーガニックな農法を取り入れる農家さんが少しずつですが現れてきました。輸入バナナの中にもそうしたものを見つけることができます。
例えば、有機 JASマークのあるオーガニックバナナは、基本的にはそれが輸入品であっても、ポストハーベスト農薬の使用や燻蒸処理がされていません。もしも燻蒸されると「有機」とは言えなくなってしまうからです。なので、日本国内で販売されているオーガニックバナナは燻蒸処理がされていないということなのです。
●JAS認定マーク
また、有機認証までは取得していなくても植物検疫で無燻蒸で合格したバナナを「燻蒸されていない」と記載して販売されているものもあります。これらのものは自然食品店などで扱っていることがあるので、興味のある方はぜひそうしたお店を覗いてみてください。
では、オーガニックバナナが手に入らないという人はどうすれば良いのでしょう?
それは産地を選ばれると良いでしょう。元東京消費者センター試験研究所室長の増尾 清さんによると、多種の防カビ剤を用いるフィリピン産のバナナに比べ、台湾産のバナナは防腐剤にミョウバンを使っているため安心とのこと。
確かに昭和の時代には「バナナの叩き売り」というのがありました。日本は農薬の使わないバナナを台湾から輸入していたのです。けれども農薬を使わないゆえに傷みやすく、そこで商品価値があるうちにとバナナを叩き売りしたのです。
ところが現在は、化学薬品のおかげでいつまでもフレッシュさを保てるバナナになりました。長期間傷まないのです。それってやっぱり不自然だと思いませんか?
一応、バナナは皮に農薬が染み込んでも、食べる時に皮をむいて捨てるので安全という見方もあります。しかし、こうした農薬は軸に近い果肉の部分に染み込んでいることがあると増尾さんは指摘します。軸とはバナナを食べる時に上になる部分です。
なので、皮をむいたら上から1センチくらいのところを切り落として食べる。安心したい人は実行されると良いでしょう。
普通、果物は熟成してくると色が変わります。熟成のゴールは腐敗です。果物も腐敗する一歩手前が美味しいのです。バナナも日が経つと皮の表面が黒く斑点状になってきますよね。これを嫌う人がいるのですがおかしなことです。
これは「シュガースポット」と呼ばれるもので、糖度が高くなって美味しくなったサインなのです。
●シュガースポットが現れだしたバナナ こげ茶っぽい部分、黒い部分がそう
しかも、このシュガースポットのあるバナナはTNF(腫瘍壊死因子)という物質を増やすことがわかっています。TNFとは、免疫細胞のマクロファージ(白血球の一種)が分泌する物質で、これが活性化すると免疫力を高めると考えられ、黒くなったバナナを食べるほど免疫効果が高くなると言われています。シュガースポットのあるバナナとないバナナとでは、免疫増強効果が実に8倍も違うそうです!
このシュガースポットは、全体の約6割くらいに広がった状態が食べ頃です。ここまで待つことで黄色いバナナよりも酵素が増えて吸収されやすくもなります。さらには、糖質であるショ糖の成分が減ることで血糖値の上昇をゆるやかにしてくれます。
黄色いバナナよりも黒っぽいバナナを選ぶ。これ、健康に気をつけている人にとっては常識です!
あと、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、バナナの保存温度というのも大切です。
バナナは熱帯地域の作物なので低温には弱いのです。なので基本、冷蔵庫に入れてはいけません。全ての野菜や果物が冷蔵庫保存に適しているというわけではないのです。バナナを冷蔵庫に入れると一晩で真っ黒になってしまいます。傷みやすくなり腐敗を早めてしまうのです。しかも低温障害を起こして味や香りまで落ちてしまいます。
もしもバナナを長く保存したいと思うなら、直射日光のあたらない風通しのよい場所で常温で保存するに限ります。また、さらに日持ちさせたいと思うなら、手のひらサイズくらいの大きさのラップを用意し、バナナの房の根元の部分に固くしっかりと巻き付けます。こうするだけで通常よりも3~5日はバナナが長持ちします。
けれども、本州などの地域で真夏に保存する場合は例外的に冷蔵庫を使います。いくら熱帯原産のバナナと言えども、気温25℃以上が長く続くと傷みやすくなってしまうのです。この時は、裏面が銀色の保冷バッグを用意し、バナナを一本ずつ切り離してバッグの中に入れ、冷蔵庫に保存します。こうすることで低温障害の影響を受けることなく美味しく長期で保存できます。
年中食べられるバナナですが、大切なのはもともと熱帯地域原産の食べ物であるということ。できれば、夏のような暑い季節には積極的にいただき、冬のような寒い季節には食べるのを少々控える、そういった調整が必要だと感じます。季節によって気温が変わり、環境が変化するのにはちゃんと意味があります。
四季の特徴に応じた暮らし方をすることが、健康で快適に生きることに繋がります。その辺りを踏まえて、あなたもどうか素敵なバナナライフをお過ごしください!
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