一昨日 、北海道地方で最大震度7を観測した地震が発生。これまでに13人が死亡し、300人以上がケガをしました(9月7日朝の時点で)。気象庁は今回の地震を「平成30年北海道胆振東部地震」と名づけました。
地震に際して、ご心配くださり遠方からお見舞いのメールやお電話をくださった皆さまに深く感謝申し上げますとともに、今回の地震で私自身が体験し感じたことをブログに書かせていただきたいと思います。
大規模な土砂崩れのあった厚真町では今も行方不明者の懸命な捜索活動が行われています。北海道電力の発表によると、道内全域の約295万戸で停電が発生、北海道民の生活が一時完全停止しました。
私が暮らす札幌でもかなり揺れました。6日の午前3時頃、偶然にも深夜ふと目が覚め、その5分後、ドンと大きな衝撃を感じた直後にユラユラと自室の家具が音を立てて揺れ始め、それが結構長い時間続きました。さすがに「これ以上長く続いたら危ないかも」と思いました。
過去には、1993年1月の釧路沖地震、7月の南西沖地震 、2011年3月の東日本大震災と3つの大きな地震を体験してきましたが、体感としては今回の地震が一番強いように感じました。
2階のリビングに上がると娘が不安に怯えていました。聞けば、自室の本棚が倒れて中にあったものが散乱しているとのこと。娘の机がある右側横の壁には一枚板でできた重い本棚が設置してあったのですが、それが倒れるなんて今までの地震にはなかったことでした。
娘が言うには、深夜遅くまで試験勉強をしていて途中で眠気に襲われ、いつの間にか机に突っ伏して寝てしまったそうです。ところがふと目が覚めて、「お布団で寝なきゃ」と思い、寝床へ移動。するとしばらくして地震が起こり、本棚が倒れてきたのだそうです。
現場を見た私は唖然としました。
●娘の部屋の本棚が倒れ、ものが散乱している状態(本棚を撤去した後)
●倒れた本棚(一枚板のかなり重いもの)
本棚は薄い合板でできたものではなく一枚板でできたかなり重厚なもの。もし娘が途中で目が覚めずに机に突っ伏したままでいたら、確実に頭部を直撃していたことでしょう。私はぞっとしながらも、目に見えずとも娘を守ってくださっている何者かの存在があることを感じ、深く感謝しました。
娘の部屋の本棚が倒れたほかは、キッチンの高いところにある銅製の水壺が棚から落ちそうになっていたり(これが落ちていたなら真下にあるガスコンロのガラスコーティングされた天板は割れていたはず)、調味料の入った陶器の入れ物がいくつも倒れていました。
家族全員の安全が確認できてからは、皆でリビングに集まり、明け方までともに過ごしました。すぐに家の通信設備と電気が使えなくなり、ベランダから外へ出ると周囲は闇に包まれており、広い範囲で停電となっていることがわかりました。
その後、余震が何度も続き、明るくなってから車で仕事場に向かうと、途中すべての信号機が止まっていて、大きな交差点では何人もの警官が出て車を誘導していました。警官のいない道路では運転手同士が互いに道を譲り合いながらノロノロと進んでいます。また、コンビニやガソリンスタンドでは食料や燃料を求め長蛇の列が続いていました。今まで地元でこんな光景見たことがありません。
幸いわが家は数日前に車のガソリンを満タンにし、ある程度の食料を備えていたので列に並ぶ必要はありませんでしたが、この広い北海道で食料や油がないのは死活問題となります。しかも、この地震が真冬に起こったとしたなら、被害はもっと大きなものになっていたのは想像に難くありません。
ようやく仕事場に到着したものの、朝から予約をいただいていたクライアントさんは誰一人として来られません。電話をかけてもどこにも通じず、お昼過ぎまで待ったのですが何人も来る気配なし。その日は仕事を断念し、「本日休診」の張り紙をして自宅に戻りました。自宅では妻と娘が冷蔵庫にあった食料を無駄にしないため何種類かの料理にして、タッパに詰めて整理したり、電気が使えないことから手洗いで洗濯物をし、それを干してくれたりしていました。
地震があった時たまたま友達の家に泊まっていた長男と、春から街の中心部で一人暮らしを始めた次男とは、しばらくしてLINEを通じて安全が確認できました。しかし、地下鉄、バスともにストップしているのと、信号機が作動していない状態で夜の車の運転は危険との判断からその場で待機するよう伝えました。
こんな時、困るのは全く外部からの情報が入って来ないことです。当然、テレビもつきません。私は東日本大震災の後に準備しておいたポータブルラジオがあったことを思い出し、電池を入れると作動しました。情報を受け取れることは精神的な不安を解消するのにとても大切なことです。ラジオを聞けたことで、地震の震源地や全道の現在の様子、災害時に気をつけなければいけないことなど、細かく把握することができました。
過去の震災で、停電してから電気のブレーカーを落とさなければ、漏電や通電再開時にショートして火災が発生する場合があることは知識として知っていたので(阪神・淡路大震災や東日本大震災の時はこれでかなりの数の火災が起こった)、今回も地震後ブレーカーは落としていましたが、ラジオでもそのことは何度も注意を呼びかけていました。
また、これはあくまでも個人的な印象ですが、NHKから送られてくる情報はわりと官僚的で論理的、よく言えば正確で無味乾燥。一方、民放から送られてくる情報は情緒的で感覚的、よく言えば感情がこもっていて温かい。
NHKが主に外部情報を受けてスタジオにいるアナウンサーがメインの放送なのに対し、民放は早い段階から複数のレポーターを各地に派遣し、市民の声を拾いながら各エリアの細かな様子を伝えてくれた点で大いに役に立ちました。ただし、民放ゆえ途中で頻繁にCMが入るのには閉口しましたが(しかも、がん保険の類)・・・
いずれにしても、人間は知り得ないことが多いことにより不安を感じる生き物です。正確な情報を得ることで不安を解消し、現在の状態がイメージできるということがどれだけ重要かを痛感しました。
夕方から夜にかけて遠くで救急車や消防車の音がひっきりなしに聞こえていました。視界の悪い中、信号機の点灯しない道路で交通事故が起こっているか、あるいは慣れない震災時の生活のストレスで体調を悪くする人がいるからではないかと思いました。それらの音が鳴り止むと、また周囲はもとの闇と静寂に包まれます。
夜は、ろうそくに明かりを灯し、家族揃って食事をしました。道内は地震による水道管の破裂や断水で水も使えない世帯があるようですが、ありがたいことにわが家は水とガスは使えたので飲み水と調理に問題はありませんでした。
「パパ、こっち来てみて!すごいお星さまだよ!」
食後寛いでいると、ベランダから娘が少し興奮気味に私を呼びました。外へ出てみれば、満天の星空。人工的な明かりが全くない漆黒の夜空に数えきれないほどの星々がきらめいていました。それらの星々は今までも変わらずそこで輝きを放っていたはずなのに、日々の忙しさと経済活動に追われ、自分の意識はいかに目の前のことばかりに向けられていたことか。こちらの方がその存在を忘れていたのです。
その夜は久しぶりに家族みんなでリビングに枕を並べて寝みました。電気のない不便な暮らしにありながらも、娘は「みんなで寝るの久しぶりだね」と言ってなんだか嬉しそうにしていました。
現在は9月8日朝。昨日の夜、電気が通るとわが家に歓声が起こりました。インターネットも使えるようになり、普段の生活が戻って来ました。復旧のためにご尽力くださった皆さまに深く感謝申し上げます。また、テレビ映像により、震源地に近い場所に暮らしておられる方たちの被害の大きさを改めて知りました。地震により亡くなられた皆さまのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
余震は今も続き、まだ安心はできない状態ですが、今回の体験で震災時に必要な6つのポイントがあると感じました。それは、以下の通りです。
①自家発電装置およびポータブル電源の準備
②ラジオ・電池の準備
③ポリタンク・水・食料の備蓄
④簡易コンロ・燃料の備蓄
⑤家具類の配置、設置の安全性再確認
⑥明るくて強い心
①については、東日本大震災直後、自家発電用のソーラーパネルを手に入れたものの、それを活用するための自家発電装置&コンデンサーを今まで準備せずにいました。しかし、今回の経験で必要性を思い知らされました。すぐに手に入れ、再びの震災に備えます。
地震発生から2日が経過し、地下鉄は再開、電気・水道も広い範囲に渡って次々と復旧していっている模様です。今強く感じるのは、これは北海道だけの問題ではないということ。現在、大きな意味でこの日本列島が狙われています。自然災害のみならず、政治、経済、軍事、精神、健康、食料、文化、全ての面においてです。
その詳細についてはかなり長くなるのでいつかまたブログで書きたいと思いますが、私たち国民は強い心を持って、これから起こるであろう未曾有の危機を乗り越え、明るい未来を創造しなければならないと感じています。
なお、私たちのOrganic cafe 知恵の木ですが、本日から営業いたします。仕入れ先の物資が十分でないため、ある食材を使っての震災時限定メニューでのご提供となりますが、震災で心身不安な方、十分に食事できていない方、誰かと会って話がしたい方・・・、ぜひ知恵の木へいらしてください。
また、徐々に電気・水道も復旧してきてはいますが、被災された方でスマホの充電が必要な方、水道の供給が十分でない方は知恵の木店内にてスタッフにお声かけください。これらについては無料でご提供させていただきます。
なお、営業時間は震災時ということで、11:00~15:00となりますのでご注意ください。皆さまのお越しを心よりお待ちしています!!
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[…] 札幌の友人のブログの、今回の地震の記事です。 […]