「毒だし、毒消しには何が良いですか?」
ふだんからよくクライアントさんから頂く質問なのですが、
私の答えは「玄米ごはん」。
玄米は、完全食といわれるほどに栄養価の高い食品です。もちろん、毒出し、毒消し効果も抜群であります。特に胚芽には、がんや心臓病、血管疾患の予防効果が認められている「フィチン酸」が多く含まれています。これが毒出しにも効果を発揮してくれるのです。しかし、玄米を十分に消化吸収し活用するためには、よく噛んで食べることと炊く時に気をつけなければならないことがありますので、今回はそのことについてもお伝えしたいと思います。
まずは、玄米のどのような点が優れているのか、その成分についてお話します。
①食物せんい
腸壁を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、老廃物を排出してくれ便秘を解消してくれます。
②フィチン酸
活性酸素を抑え、ナチュラルキラー細胞を活性化させることにより、免疫力を高め、がんを抑制してくれます。
③ビタミンB1
肩こり、腰痛の緩和。スポーツ・労働による肉体疲労や目の疲労に効果。
④ビタミンE
手足末端の血行改善、冷えやしもやけの緩和に役立ちます。
⑤カリウム
ナトリウムやカルシウムとともに神経や筋肉の機能を正常に保つのに役立ちます。
⑥ナイアシン
皮膚の代謝に関与し、肌荒れや口内炎の緩和に役立ちます。
しかし、これらの優れた成分を含む玄米ではありますが、炊いて食べれば、すぐさまこれらの栄養が簡単に手に入るというわけではありません。それは、玄米が固い殻におおわれているからです。
麦やソバなど、他の穀物全般にも言えることなのですが、すべからく穀物というものは、その柔らかな本体をガードするがごとくに固い表皮でおおわれた構造を持っています。それは、生きものとしての穀物が外敵(それらを食べる動物)から身を守り、変化する周囲の環境に耐え、発芽の時期を選んで発芽し、命を次世代につなげられるように自然によって用意された構造であり、性質と言えるかもしれません。
安全に発芽の条件が整うまでは、種を発芽させまいとして働く成分のことを発芽抑制因子といい、いわゆる「発芽毒」と呼ばれるものです。代表的なものには「アブシジン酸」(ABA)があります。前述した「フィチン酸」もこの仲間です。これらの毒が、動物に食べられ過ぎないように身を守ったり、土の上に落ちても腐らずに、やがて発芽に適した季節になると芽を出せるように、栄養成分を自らの中に閉じ込めたまま外に出さないように働くわけです。
元・東京大学医学部口腔外科教室講師の西原克成博士は、「アブシジン酸はミトコンドリア毒なので、玄米食には注意が必要」と警告されています。
ミトコンドリアは、人間がイキイキと生きるためには欠かせないもので、エネルギー代謝に関わる最も大切な細胞器官です。そのため、ミトコンドリアが害されると、私たちはエネルギーを作り出せなくなって、低体温になり、さらには全ての体内酵素の働きが鈍くなるという問題が起こり、免疫力も低下します。
アメリカ合衆国国立科学研究所会報に発表された論文によれば、人体に対し、アブシジン酸の作用で、ヒト顆粒球(白血球の一種)で食作用が活発化し、活性酸素や一酸化窒素が多量に産生され、生体細胞内のミトコンドリアが損傷され、諸疾患の原因になることが指摘されています。
もう一方のフィチン酸について言えば、玄米のぬかに多く含まれる成分でごまやナッツにも多く含まれ、植物の種子にリンを貯蔵するために存在し、金属と強力に結びつく性質を持っています。植物中では、カルシウムやマグネシウムと結びついた「フィチン」のカタチで存在し、食べると胃酸で分解され、カルシウムとマグネシウムが分離して体内で「フィチン酸」になるのです。
フィチン酸は、ミネラルと結びついて、体外に運び出す能力があります。
なので、カラダにとって必要なミネラルさえも排出してしまうことを危惧して「フィチン酸」がカラダのミネラル不足の原因になると考え、玄米食を否定する方もあります。しかし、がんやアレルギーやアトピーなど、体内の重金属が原因となって起こっている体調不良の場合は、それら体調不良の原因が取り除かれ、健康回復するきっかけとなり、プラスに働くのです。
しかし、健康回復してからも、ずっと同じ食べ方で、玄米食を続けた場合、逆に有害に働く場合もあります。それは、フィチン酸による排出作用が体調不良の原因となった重金属や毒素を排出した後、今度はカラダに必要なミネラルさえも排出してしまい、深刻なミネラル欠乏症を引き起こすことが考えられるからです。
けれども、玄米は生きた米ゆえ、水につければ発芽します。実は、この発芽の過程で、フィチン酸は、「イノシトール」という成分に分解され、それによってフィチン酸は排出能力を失い、分解された栄養素は、水に溶けやすく、体内に吸収されやすくなります。
体内に吸収されたイノシトールは、リン酸と結びついて「IP3」というとても重要な役割を持つ物質に再合成されます。排出能力を弱めるかわりに効率的な栄養摂取が可能になるのです。
その大切な働きをするのが、「フィターゼ酵素」と呼ばれるのもの。このフィターゼ酵素は、フィチン酸を分解して結びついているミネラルを解放してくれます。この酵素は、発芽時に玄米の中で作られるのです。なので、玄米は発芽させると玄米自身の力でフィチン酸を分解してていくのです。
それゆえ、玄米を浸水させる時は、十分に時間をとって発芽状態にもっていってから炊くことが大切になってきます。また、玄米を浸けた水を捨ててから、新しい水を入れてから炊くことも重要です。なぜなら、アブシジン酸やフィチン酸などの発芽毒の多くは水溶性で水に溶け出すため、玄米を浸けた水をそのまま使って炊いたのでは、再びカラダに取り込んでしまうからなのです。
こうした事実を知らずに、ただ普通に炊いて食べているだけの玄米食では、いくら栄養価の高い玄米ごはんを食べていても、発芽毒の作用によってミトコンドリアが傷つけられたり、フィチン酸の排出長期にわたれば、逆に健康を害したり、活力が失われて免疫力が低下する原因となってしまいます。
では、こうした発芽毒の影響を無力化し、本来フィチン酸の持つ活性酸素を抑え免疫力を高める性質を引き出すための炊き方をお伝えしましょう。
①やかんで40℃前後のお湯を沸かし、圧力鍋に移す。
②お湯は、圧力鍋の半分くらいの容量になるようにする。
③お湯を沸かしている間に米を洗う。軽く揉む程度で良い。
④お湯を圧力鍋に移し、そこに玄米3合(540ml:4~6人分)と雑穀米を入れ、蓋をして4時間~6時間放置する。(季節により異なる)
⑤玄米を圧力鍋に入れ、きっちり蓋を閉め、一晩おく。これにより発芽するのに最低でも1日か2日かかる玄米を4時間〜6時間で発芽させることができる。
⑥炊く直前に水を入れ替える。少し堅めに炊きたい場合は玄米1合につき、水1合分(180ml)。柔らかめに炊きたい場合は、玄米1合につき、水1.5合分(270ml)を目安にする。そして、ひとつまみの自然塩を入れる。
⑦鍋を15分間「中火」にかける。中火でしばらく加熱すると、15分前後で圧力表示器の目盛りが2段目まで上がってくるが、2段目を超えてきたら火力を調節し、15分の間は2段目の目盛りで安定するようにする。
⑧続いて5分間「強火」にかける。圧力表示器が2目盛り目を少し超える程度で安定するように火力を調整する。
⑨最後に20分間「極弱火」にかける。この段階になれば、鍋の中の炊飯環境は理想的な状態なのでじっくり極弱火で玄米に火を通す。圧力表示器は気にせずとも良い。
⑩火を消し、15分間蒸らす。火を消すことにより、しだいに圧力が下がっていくので、米粒が蒸らされ、ゆっくり水分を吸収していく。それにより、ふっくら芯まで柔らかくなったツヤのある玄米になる。玄米はなるべく多く炊いたほうが、鍋の中で米粒が詰まり、余熱が逃げにくくなり、より美味しく炊ける。
玄米はこうして炊くと、その栄養成分も摂り込みやすくなり、おまけに味わい深いふっくらしたごはんになります。白米には白米の美味しさがありますが、玄米には玄米の独特な美味しさがあることを実感されると思います。ぜひ、そのあたりを理解された上であなたの食生活に加えて頂きたいと思います。
★知れば知るほど、優れた食材である玄米。あなたもぜひ、今日から始めてみませんか?
医師たちが認めた 玄米のエビデンス (veggy Books) 新品価格 |
コメント