年が明けて三日目になります。この時期になると出てくるのがカラダの不調。このところ年末年始とご馳走が続き、きっと七草がゆの七日を待たずして、胃もたれ、胸やけにお悩みの貴兄もいらっしゃることでしょう。
さぁて、困った。この消化器の不調、どうすれば解消できるでしょう?
・・・私なら、そうですね。消化器を整えるに良い食材というのはいくつかあるのですが、正月ですし、あえて日本的な食材であります「ある海藻」を第一にオススメしたいと思います。
その「ある海藻」とは何か?
それは、日本料理に欠かすことのできない海藻の王様、「昆布」です!
まずはじめに胸やけが起こるメカニズムについてお話したいと思います。
口から肛門に及ぶ長い消化器。その消化器の中で、食道と胃の境界部分があるのですが、そこを「噴門(ふんもん)」と呼びます。噴門はふだんは閉ざされているのですが、食道から食べ物が下りてくると開き、食べ物が通過すると再び閉じるようにできています。それゆえ、普通ならいったん胃に入った食べ物が食道に逆流することはありません。
ところが、次から次へとご馳走が入って酷使されると、噴門部分に異常が起こり、その開閉がうまくいかなくなって、胃の内容物が逆流してしまうのです。実はここが大きな問題で、いったん胃に入ってしまった食べ物というのは胃液まみれで、胃液に含まれている塩酸がデリケートな胃の粘膜を刺激して、まるで胃が焼けるような感覚を覚えてしまいます。これが一般に言われる「胸やけ」のメカニズムなのです。
そうした胃の内容物が逆流して起こる病気の一つに逆流性食道炎があります。忘・新年会シーズンに多くの人が体験する食べ過ぎ飲み過ぎ。この時に起こる胸やけも、多くがこの逆流性食道炎によるものなのです。もしも、その程度がひどくなれば、びらんや潰瘍(かいよう)ができて痛みとともに出血までしてしまいます。怖いでしょ。
胸やけの原因は、ほかに胃潰瘍や十二指腸潰瘍、急性胃炎や慢性胃炎などもあります。食道がんの初期にも胸やけが起こる場合がありますし、胃がんでも食後にげっぷや吐き気、食欲不振などが続きます。一時的なものなら大丈夫ですが、何度も繰り返されるものについては一度専門医の診断を受けられることをおすすめします。
また、もともと胃液の中の塩酸濃度が高い人なんかも胸やけを起こしやすいです。なので、ふだんから胃酸や胃の粘膜の状態を正常に保つように心がけたいものです。
では、どうすれば胸やけを防ぐことができるのでしょう?
まず第一には、暴飲暴食をしないこと。一回の食事の量を減らし、消化の良いものをよく噛んで食べること。そして、リラックスを心がけること。これらが大切です。
さらには、予防や改善のために、食べ物ならば何を摂ると良いのでしょう?
一般的には、リラックスをもたらす成分であるテアニンが含まれているお茶や、粘膜を保護し炎症を鎮める成分であるビタミンUが含まれているキャベツなどあげられると思います。もちろん、これらの食品を意識して摂られると良いことは確かです。
しかし、私はこれらに加えてもう一つ、日本における伝統的な民間薬をぜひともオススメしたいのです。
・・・それが「昆布の黒焼き」です!
「黒焼き」という調理法は、日本においては古くから民間伝承の健康法としても伝えられてきました。例えば、穀物や動植物などの食材を黒焼きにすることで、もともとの成分とは異なるカラダに有益な物質が発生して、薬として用いることができるのです。玄米の黒焼ならば、血液の浄化や滋養強壮に役立つし、梅干しの黒焼きならば、腹痛や下痢止めに抜群の効果があります。
よく勘違いされるのが、黒焼きとコゲが同じものと思われること。基本的に黒焼きは、空気を遮断して高温加熱して作りますが、コゲは空気に触れた状態で単に焼き過ぎた状態でカラダに悪いです。しかし、黒焼きはいわば食品を炭化させるわけでカラダに良いものとなるのです。
備長炭や竹炭などは、アルカリ性ミネラル成分が豊富に含まれ、塩素やトリハロメタンなどの有害化学物質を解毒する作用があるため、昔から日本では水や空気の浄化を目的に利用されてきました。また、人間の腸にはものすごい数の微生物が存在しますが、 炭はその腸内微生物をミネラルで活性化し、腸の働きを改善する働きがあるのです。
そうしたことから、先人はあらゆるものを黒焼きにし、炭化させて薬として用いてきたのです。
では、いよいよ昆布の黒焼きの作り方についてお伝えします。
ちなみに私はアルミホイルを使います。アルミホイルについては、自然食や健康に気をつけていらっしゃる方の中には、アルミ成分が溶け出すことを恐れて使わないという方も多いかと思います。我が家でも基本的にアルミ鍋は調理に使いません。しかし、アルミホイルについてはその便利さも捨てがたく、用途によっては上手に活用しています。
そう何度も作らないことと、それほど長時間の加熱ではないため今回はアルミホイルを使った作り方をお伝えします。なぜアルミ製品が良くないかについては長くなるので今度改めて書きます。もしも、これをお読みの方でアルミホイルを使いたくない場合は、蓋つきで空気が入らないタイプの鍋を用いても黒焼きすることができます。手順は次の通りです。
①一枚の昆布を細かく切って、それをまとめてアルミホイルに包む。
②それをフライパンに入れ、弱火から中火で蒸し焼きにしながら時々ひっくり返す。
③たまにホイルの中を見ながら黒焼きにする。(*火の強さにもよるが20〜30分かかる)
④十分炭化して黒くなったら火を止める。
⑤冷めたらコンブをすり鉢に入れ、すりつぶして粉末状にして出来上がり。
こうしてできたものを1日に5g程度摂取します。水を用意して飲み込むか、水に溶かして飲んでも構いません。長く胸やけが続いている場合はこれを数日から一週間ほど続けます。私の場合は一度飲むだけで効果てきめんです。
昆布に含まれるヨードの含有率はほかの海藻をはるかに上回り、新陳代謝の活発にし、甲状腺ホルモンを作る働きが報告されてるほか、血管を若く保ち、高血圧の予防にも効果がある食品です。
昔から漢方でもこの昆布が胸やけに良いことから「昆布丸」なる薬も作られています。また、この昆布の黒焼きは胸やけよりも咳やぜんそくの特効薬として広く知られています。普段から常備していて、夜、しつこい咳が出て眠れないなんて時に用いると、その効果のほどに驚かれる人も少なくないはず。先人たちの知恵には本当に脱帽です。
しかし、それほどまでに優れものの昆布ですが、食する上で注意すべき点があります。
①食物せんいが多く、食べ過ぎると逆に消化に悪い
食物せんいはもともと消化の悪い食べもので昆布はこれを多く含みます。胃腸の調子が悪い時に食べ過ぎれば、腹痛を招いてしまったりする場合があります。用いるのは少量で良いのです。
②ヨードが含まれているため、食べ過ぎると逆に甲状腺の問題を招く
先にヨードは甲状腺ホルモンを作る働きがあると書きましたが、大切なのは摂取量で、多く摂り過ぎても少な過ぎてもどちらも甲状腺機能低下症を引き起こすことがあるのです。日本人の場合は、1日に3mg程度なら、摂っても健康に問題は認められないと言われています。
ただ、甲状腺に炎症がある場合、ヨードの摂り過ぎで甲状腺機能低下症を起こす場合があるのです。その場合、だるさやむくみ、皮膚の異常乾燥、寒がり、むくみ、便秘や肥満、月経異常などの症状をもたらします。
いくら良い薬といえども、摂り過ぎれば逆にカラダにとってマイナスを生むのは昆布の黒焼きとて同じこと。そこをわかった上で上手に活用されると益すること多しの良薬であることに変わりありません。
私も年を重ねて、若い頃ほど暴飲暴食をすることもなくなりました。なので、このところ胸やけとは無縁の正月を送っています。しかし、若い頃は大酒飲みで食いしん坊でありましたので、忘・新年会が続くこの時期はいつも胸ムカムカの日々を過ごしておりました。そんな時に試してみたのが今回ご紹介した昆布の黒焼きだったのです。
自分で作って試してみたところ、まるで胃の粘膜を覆っていた黒雲がすっきりと晴れていったかのような爽快感。「昆布の黒焼きすごい!」と思わず唸ったほどです。あの時の奇跡のような改善の瞬間を今でもはっきりと覚えています。
思えば、私は学生時代から胃弱に悩まされ、「恵命我神散」なる漢方系の胃薬に大いにお世話になっていたのですが、その主原料もやはりガジュツの根と昆布の粉末でした。昔の人は、胃腸系の問題には昆布が有効であることをちゃんと知っていたのですね。
そんなわけで、これからまだまだ新年会が続くというあなた。一度騙されたと思って昆布の黒焼きを試してみてください。私が今回書き綴った「胸やけに昆布の黒焼きがやけに効く話」にきっとご納得いただけるはずですから。
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