早寝早起きカラダに悪い?

暮らし

8635ec3a52a973fd386d51894647f4a1_s

 

「早起きは三文の得 夜なべは十文の損」

これはこの国に昔から伝わることわざで、誰でも必ず一度は耳にしたことがあると思います。

ことわざの由来は様々ですが、江戸時代に、奈良では家の前で鹿が死んでいるとその罰金として三文の支払いを求められたことから、住民は毎朝早起きし、家の前を掃除して罰則を逃れたことがその語源にあるとも言われています。

いずれにしても「早寝早起きはカラダに良いことである」。

このことを疑ったり否定したりする人はこの世にまれでないかと思います。

ところが、中国の古い文献を調べてみれば、必ずしも早寝早起きをすすめてはいないどころか、夜更かしすることを奨励する説さえあるのです。

漢方では、古くから季節と病気との間には、深い関係があると考えられてきました。これは現代医学的にも認められていることであります。例えば、秋には胃や十二指腸潰瘍が多発するし、冬には神経痛や腰痛、脳卒中などの病気が多くなる。それに気管支ぜんそくなどアレルギー性の病気も特定の季節に集中することが指摘されています。

けれど、漢方では、さらに積極的に自然現象を生理現象と当てはめて考えているのです。自然のリズムとカラダのリズムが一致した時、カラダの健康が保たれるので、自然に合わせて生きることが「養生の道」であると教えているのです。

漢方の古典『素問』という書物には、季節の生活の仕方について就寝と起床の時間を次のようにすべきであると説いています。

 


 

■素問が説く季節の過ごし方■

①春の過ごし方

春は万物が栄え、生まれてくる季節なので、夜は遅く寝て、朝は早く起き、散歩をしなさい。

②夏の過ごし方

夏は草木が栄え、花咲き実る季節なので、夜は遅く寝て、朝早く起き、太陽に当たって盛んに働きなさい。

③秋の過ごし方

秋は天の気が集まり、地の気も強く現れてくる季節なので、早寝早起きして、徐々に秋の気をカラダに馴染ませるようにしなさい。

④冬の過ごし方

冬は水が凍り、良い気が少なくなる季節なので、早く寝て、遅く起き、気持ちもあまり積極的にせず、沈思黙考して暮らしなさい。

 

早寝早起きが一年を通じての健康法のように思われている現代ですが、古来から中国に伝わる教えとは必ずしも一致しないところが面白いのです。でも、ちょっと考えてみれば、『素問』が説く教えのほうが、何となく、変化していく季節のエネルギーに合った暮らし方のようにも思えてきます。

実際に、血圧が上昇しやすい冬の朝などは、早朝に起きるよりは、目が醒めてもすぐには起きず、少し床に入ったままでまどろめる位の余裕のあるほうがカラダに良い気がします。血圧の高い高齢者にとっては『素問』のこんな注意こそ脳卒中の予防につながると思うのです。

今ある常識を少し疑ってみたり、古い時代の人たちが残した教えに時々触れて、今を見直してみることが、より良い健康のあり方を見つける鍵となるのではないか、そう思ったりしています。

 

 

★どの季節においてもぐっすり眠ってしっかり疲れがとれることが睡眠の基本中の基本。

「朝がつらい」がなくなる本―ぐっすり眠る、すっきり起きる習慣術。 (知的生きかた文庫)

新品価格
¥576から
(2015/5/27 15:46時点)

コメント

タイトルとURLをコピーしました