自律神経と免疫

免疫力

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■交感神経と副交感神経■

気圧差が人間の寿命と関係するという話を前回はお伝えしました。

それによって、どうすれば健康に長生きすることができるのかが見えてきます。

ふだんから交感神経優位の状態で活動している人は、つとめて副交感神経優位のリラックス・弛緩した状態へと針を戻してやれば良いわけです。

けれど、ここで間違って頂きたくないのは、必ずしも交感神経優位が悪くて、副交感神経優位が良いということではありません。大切なのはバランスなのです。副交感神経だって、その状態ばかりが長く続けば、リウマチやアトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくなどという自己免疫疾患に罹るリスクを高めてしまいます。

要は、自律神経のバランスがくずれることによって免疫力が低下して病気になり、そのバランスを整えることによって免疫力を高め、病気を治すことができるのです。

 

■白血球を構成する3種類■

「免疫」は、カラダを病気から守るしくみで、主に血液中の白血球がその役割を担っています。白血球には大きく分けて顆粒球、リンパ球、単球の3種類があることも前にお伝えしましたよね。

顆粒球60%、リンパ球35%の割合で存在していて、残りの5%が単球と呼ばれるもので、これは血管の外に出るとマクロファージというものになり、これらがカラダの免疫力を司っています。

顆粒球は細菌など、サイズが大きな異物を食べて処理し、リンパ球はウイルスやガン細胞といったサイズの小さな異物にくっついて処理するという風に、それぞれ異物の大きさによって役割が分かれます。マクロファージは処理した異物と顆粒球やリンパ球の死骸を処理する働きがあります。

自律神経と免疫は連動していて、交感神経優位だと顆粒球が増え、副交感神経優位だとリンパ球が増えます。

私たち現代人は、ストレスにより、交感神経優位の状態が続きやすい環境にあります。働きすぎ、心の悩み、痛み止めなど薬物の長期使用によって交感神経が優位になり、顆粒球が増えた状態が続きます。

顆粒球の寿命は2~3日で、死ぬときに大量に活性酸素を放出します。体内の活性酸素の7~8割は顆粒球が放出したものです。活性酸素はとても大切な働きをしますが、増えすぎると逆にその強力な酸化力で臓器や血管などに障害を引き起こします。

これが動脈硬化やがんといった症状や病気の引き金となるのです。しかも、交感神経緊張状態だとがん細胞を処理するリンパ球が減ってしまい、がんに対して十分抵抗することができません。

 


 

■大切なのは自律神経のバランス■

反対にリンパ球が増えすぎて困る場合もあります。

顆粒球が大活躍するのは、「えさ取りが盛んな時代」。戦後のなかなか食べ物にありつけなかったような時代で、食べ物を得るためにはがむしゃらに働かなければなりませんでした。これは飢えと貧困から社会全体が交感神経優位になっていたともいえるわけですが、現代は「飽食の時代」であり、食べ物そのものはあふれていて顆粒球にとってはえさ取りが不要で、交感神経が十分活性化しない場合が出てくるのです。

そうすると今度は、副交感神経が優位になってリンパ球が増えだします。リンパ球は、自分以外のものは抗原と認識し、抗体を作ってカラダを守ろうとします。ところがこの免疫システムの働きが活発になりすぎると、自分自身を攻撃し始めるのです。リウマチ、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそく、花粉症などの主たる原因は、このリンパ球過剰によるものなのです。

また、昨今の「過剰なまでの清潔志向」も問題があります。ちまたにあふれる抗菌グッズなどがその良い例です。もちろん、病院などでは殺菌や滅菌は大切なことですが、それも過剰になってしまうと、菌を食べて処理する顆粒球が仕事を失い、いざという時に数を増やすことができなくなり、リンパ球ばかりが増えてしまいます。

発展途上国など、衛生状態の良くない地域では、まずリンパ球過剰ということはありませんが、日本のように朝シャンをして、こまめに手を洗い、きれいな水だけ飲むという除菌生活を続けていれば、リンパ球を増やしすぎて生体防御のバランスを崩してしまうのは明らかです。

例えば、先に挙げたアトピー性皮膚炎や気管支ぜんそくの子供がいて、それを改善させるとしたならどうすれば良いかというと、顆粒球が増えるような刺激を与えることです。

つまりは、自律神経を副交感神経優位な状態から交感神経優位に持っていくことです。

空腹は交感神経を優位にするので、まず食事の量を減らしてみます。そして、紫外線を浴びながら運動をします。紫外線は皮膚を黒くし、顆粒球を増やす刺激となります。また、寒さや皮膚への刺激そのものがカラダを交感神経優位に導くため、寒風摩擦も良いでしょう。緊張感を持たせるためにある程度の精神的ストレスを与えることが交感神経を優位にし、リンパ球を減らし、顆粒球を増やすことにつながるわけです。

こうした方法は、子供や若年層に用いると、病を改善し元気にさせるきっかけとなります。

自分の神経状態が、今、交感神経と副交感神経のどちらが優位にあるのかを見極め、その反対へと心身をナビゲートすることによって顆粒球やリンパ球のバランスも変わり、免疫力を高めることができるというわけなのです。免疫については、まだまだお伝えしたいことがあるのですが、今回はひとまずここまでとしましょう。

またいつか「免疫」をテーマにお話したいと思いますので、どうぞ次回をお楽しみに。

 

 

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