アロマオイルと認知症

アロマセラピー

2019.03.142015.06.05

■今、日本で認知症が増えている■

アロマオイルで認知症の症状を予防、改善できるとしたらどんなに素晴らしいことでしょう。

長寿高齢化大国・日本。現在、この国で認知症に悩む方が確実に増えています。

全国10市町における65歳以上の住民約9,000人を対象に行われた厚生労働省の調査によれば、2012年の65歳以上の認知症の有病率は15％であり、全国の認知症高齢者数は約462万人と推計されました。また、認知症を発症する前段階とみられる軽度認知障害の高齢者も、約400万人と推計されました。

「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」
（平成23年度～平成24年度）総合研究報告書http://sodan.e-65.net/basic/about.html

年齢別に認知症の人の割合をみると、65歳では15％ですが、年齢が5歳上がるごとに約2倍になり、85歳以上では約4人に1人が認知症であるとされています。決して少ない数字ではないですよね。

認知症は何も高齢者に限ったことではありません。最近では、「若年性認知症」といって、若い世代でも認知症状が起こるケースが増えているのです。そもそも認知症とはどんな症状を指すのかというと、介護保険法では以下のように定義しています。

「脳血管疾患、アルツハイマー病その他の要因に基づく、脳の気質的な変化により日常生活に支障が生じる程度にまで記憶機能及び、その他の認知機能が低下した状態」

この症状を起こす原因となる疾患には、アルツハイマー病、脳卒中をはじめとする脳血管障害、パーキンソン病、脳腫瘍などの他に、交通事故や強い衝撃による頭部外傷の後遺症などがあります。

中でも、アルツハイマー病による認知症の占める割合が最も高いと言われていますが、若年性のみを対象とした厚生労働省の調査においては、脳血管障害による認知症が最も多い原因であることが分かっています。

例えば、次のような症状がそのサインとなります。

■この頃、こんな症状が気になりませんか？■

・同じことを繰り返し話したり聞いたりする。
・知ってるはずの道に迷った。
・日付や曜日をわからなくなった。
・自宅の住所、電話番号がわからなくなった。
・親しい人の顔や名前がわからくなった。
・会話で、知ってるはずの単語や名前が出てこなかった。

・簡単な計算ができなくなり、計算ミスが増えた。
・最近の会話や出来事をすぐ忘れる。
・探し物、忘れ物が多い。
・今日食べたものを覚えていない。
・鍋を焦がすことが増えた。

これらの症状が気になりだしたら要注意。もしかすると認知症の前段階であるMCI（軽度認知障害）かもしれません。MCIは40代から発症します。MCIの段階で早期発見ができれば、治療効果・発症の遅延効果が高いとされています。

■アロマオイルで認知症予防＆改善■

さて、そんな認知症をアロマオイルの持つ作用によって予防、改善しようという試みが行われているのをご存知でしょうか？

鳥取大学医学部教授の浦上克哉先生は、日本認知症学会の評議員などを勤め、30年以上にわたり認知症の臨床と研究を続けるエキスパートです。

●浦上克哉先生

http://www.aricept.jp/alzheimer/dementia/2011_spring/ds03_01.html

浦上先生は、既に10年前に、3人に1人が65歳以上の高齢者で早急な認知症対策を必要としていた鳥取県琴浦町で町役場と組み、認知症予備軍の方の症状を3ヶ月で改善し、3年間で正常値まで回復させる認知症予防プログラムを開発された方で、早くからアロマオイルが脳神経に与える効果に着目され、患者さんの治療に用いてこられました。

浦上先生曰く、「人間は適切な香りを嗅ぐことで嗅神経を効果的に刺激して、ひいては、嗅覚と連動している海馬＝記憶に関する神経も活性化できる」とのこと。

人の脳には記憶を司る海馬(かいば)という部分があり、以前は、認知症を発症すると最初にダメージを受ける場所が海馬と考えられていたのですが、最近の研究では、それは間違いで、最初にダメージを受けるのは、海馬に直接繋がっているにおいを感じる嗅神経であることがわかったのです。

すなわち、嗅神経のダメージが海馬に伝わり、その他の部位にも影響して認知症が悪化するわけで、嗅神経は他の脳神経とは異なり再生能力が高く、嗅神経を刺激してその機能を再生させれば、それに繋がった海馬も活性化させ認知症の改善・予防に繋がるのです。

浦上先生は、どんな香りが嗅神経に良いのか、国内外の研究報告から分析し、選んだ香りをアルツハイマー型認知症の患者に嗅いで貰う実験を繰り返しました。

その結果判ったことは、ローズマリー・レモン・ラベンダー・オレンジの香りに脳の若返りが期待できる作用があること。また、それらを特定の方法で用いることにより、既に認知症の人でも薬物投与と同等程度に改善が可能であること。かなり物忘れが多い認知症予備軍の人でも正常に戻すことができるということでした。

先生は以前テレビにも出演され、アロマオイルと認知症に対しての効果についてお話されました。そのため、一時的にアロマショップではこれらのアロマオイルが品切れになることがありました。もしかしたら、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、どのようにして用いるか、その方法を以下に記しました。

■認知症向けアロマオイルと配合比■

●使用するもの

＊アロマオイル（いずれも植物由来の天然アロマを使用すること）

①ローズマリー　②レモン　③ラベンダー　④オレンジ

＊アロマオイル用ペンダント

＊アロマオイル用デュフューザー

●昼用アロマオイルは、集中力が高まるローズマリーと高揚効果のあるレモンをブレンド(活性系のアロマオイル)。ローズマリーは、ローズマリーカンファーといって、樟脳成分を多く含んだものを用います。これは、神経と筋肉に働きかける作用の強いオイルになります。

＊アロマオイルの配合比は、ローズマリー2滴：レモン1滴。これをアロマ用のペンダントに染みこませて、午前中2時間以上嗅ぎます。

●アロマ用ペンダント

●夜用アロマオイルは、安眠効果のラベンダーとリラックス効果のあるオレンジをブレンド(鎮静化系のアロマオイル)。ラベンダーは、真正ラベンダーを用います。これは、不眠に有効な鎮静作用と呼吸器系に有用な抗炎症作用が特徴です。

＊アロマオイルの配合比率は、ラベンダー2滴：オレンジ1滴。これをアロマオイル用の容器に染みこませたもの入れて枕元に置くか、ディフューザーを利用して拡散させ、就寝前に1時間から2時間以上嗅ぎます。

なお、これらのアロマオイルを使用する上での注意点として、

①配合比を守ること。

②肌に直接つけない。

③鼻に近づけ過ぎると嗅神経だけではなく痛みの神経を過度に刺激し、頭痛や不快感をもよおすことがあるので注意する。

天然成分とはいえ、これらに気をつける必要があります。一般的には、ラベンダーは妊娠初期の妊婦さん、ローズマリーは妊婦さん・高血圧の人・てんかんを持っている人は利用できないとされています。

また、浦上先生いわく、認知症発症の10～20年前から脳内の変化はすでに始まっているとのことなので、これらのアロマオイルの活用法は、４0代、50代の人が今からやっておくと、認知症(アルツハイマー病)予防に効果があるとのことです。実験では、１週間から１ヶ月で治験者に著効がありました。

アロマオイルが認知症に対してどのような作用を持つかの研究は、新しい分野でまだ歴史が浅いのですが、それでも顕著な効果が確認されているということは、これから先も新たなアロマオイルの可能性が見つかっていくに違いありません。植物の持つパワーってすごいと思います。そのパワーを頂きながら感謝し、私たち人間も健康を増進し、いきいきと毎日を過ごしながら地球に貢献できる存在になっていかなければと強く思います。

★昼用アロマオイルのためのアロマペンダント