「ひと夏の恋」などと申します。
夏というのは、露出も多く、何かこう異性がより魅力的に見える季節でもありますね。
とても輝いて見えるわけです。
若い独身男性だったら、気になる女性を今度、海に誘ってみようかなとか・・・
思うわけです。
恋愛って不思議です。好きな人のことを考えただけで、何かその日一日が満たされ、幸せな気持ちになってしまう。「人生バラ色」、なんてたとえもあるけれど、本当に目の前の風景がキラキラと輝いて見えたりとか、しますよね。
実は、これらの作用にホルモンが関わっているってご存知でしたか?
PEA、フェニール・エチル・アミンの略です。
人が恋に落ちている時、脳内からこのPEAが大量に分泌されているということが、最新の脳科学でわかってきました。そして、この効き目が凄いんです!
例えば、全くオスに興味を示さないラットのメスに、この物質を注射するとすぐに目の前にいるオスに向かって激しく交尾を求めます。
また、PEAは、性欲を高めるだけではありません。神経を興奮させ、やる気を起こさせ、脳に最大級の快楽を感じさせてしまう物質なんです。
ちょっと怖い、ヘンなホルモンでしょ。
だから、私はこれを「ヘナモン」と呼んでいます。
で、人はどうもこの「ヘナモン」を分泌させてくれた相手に対して恋をする、ということがわかってきたんです。ここで重要なのは、恋をすると分泌されるのではなく、分泌した時に恋をしたと脳が錯覚すること。
なので、これを悪用すれば、意中の相手にヘナモンを分泌させて惚れさせることも可能なわけです。実際、これを女性に注射して恋の奴隷にしてしまう悪い男性もいます。
そのヘナモン、手に入れたいって?
ヘナモン、実は裏社会で高額で取引されています。
「覚醒剤」という名前で。
よく、覚醒剤を使うと眠らずに徹夜で仕事が出来たとか聞きますよね。恋に落ちるだけでなく、人をスーパーマンにしちゃう薬が覚醒剤。このヘナモンと覚醒剤は成分が全く同じなんです。
こうしたホルモンを人間の脳が作り出せるということに、神秘を感じます。でも、あの恋愛中の、異性に気に入られようとする必死の努力って尋常じゃないですよね。これほどのチカラ、一体自分のどこにしまってあったの?と思うほど。(笑)
結婚という人生の一大イベントに男女を結びつけるため、神様はこのように私たちをプログラムされたわけです。そして、面白いことにこのヘナモンは、不安や緊張している時にしか分泌されないしろものなのです。
なので、男女が出会い、恋をして付き合い始める頃が分泌のピーク。結婚して二人の関係が安定してしまうと、そこから急速に減少していきます。期限付きのホルモンなわけです。
実際、分泌量を測定したヘレン・フィッシャーという人類学者がいて、彼女によると一般的な夫婦は結婚後4年目になると同じ相手に対しては全くヘナモンを分泌しなくなるという結果を突き止めているのです。なので、離婚する夫婦も4年目に別れるケースが最も多いそうです。
私は、この事実を知った時、落胆するよりはむしろ、神様ってさすがだなと思わずにはいられませんでした。
なぜなら、ヘナモンが覚醒剤と同じ成分だとしたら、そして、際限なくヒトの脳から分泌され続けたとしたら・・・皆、廃人になっちゃいますよね。覚醒剤を長期間常用した人と同様に。なので、ちゃんと抑制機能も合わせて設定している神様って凄い!と思ったわけです。
衝動的な恋愛の欲求は私たちの原始脳が司っています。本能を担当する脳なので、ヒトも脳のこの部分を使って他の動物同様に恋の欲求を起こすことはできるのです。そして、ヘナモンを分泌してドキドキ、ワクワクしながら相手に夢中になる。以後、分泌が4年位は続いて最後は打ち止め。
さて、それから先は相手の中に原始的な衝動以上のものを見つけられるかどうかですね。
例えば、お互い相手に尊敬できるところを見つけるとか、共に人生の目標を見つけてパートナーシップを育てていくとか。そういう知性的な部分を司る脳を活用することで男女の関係は続いていくものなんです。本能を超えた結びつきが出来るかどうか?これこそが人類における、男女和合の最終的なテーマなのですね。
『星の王子様』のサン・テグジュペリも言ってます。
「愛とは、お互いを見つめ合うことではなくて、一緒に同じ方向を見ることである」
恋愛からスタートして、関係を通じて人間性を高め、人生の学びを深めていく。ヒトにはかようにうまく出来た仕組みが用意されているのです。
恋愛の夏。積極的に恋しましょう!
・・・といっても、未婚の方たちね。私はじめ既婚者の皆さんは、現在の配偶者の新たな魅力を再発見する季節にしましょう。ここんとこは、きちんと強調しとかなきゃね。(汗)
注:文中の「ヘナモン」とは、私が勝手につけた名前です。人にこの話をする時は、使わないで下さい。後で笑われます。正式名称はPET、フェニール・エチル・アミンです。
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