私の暮らす北海道。
冬という季節は、決して嫌いな季節ではないのだけれど、ひとつだけ残念に思うことがあります。それは、長い間、大地が雪に閉ざされ、新鮮な野菜や果物が手に入りにくくなってしまうということです。
太陽の光を一身に浴びながら、生命力を蓄え、成長していく野菜や果物をはじめとする植物。
本来、陽の光には遺伝子を傷つけ、生命に害を及ぼす紫外線が含まれています。私たち人間にとって、これらの紫外線は肌の老化を早めたり、ガンのリスクを高めてしまうもの。野外にあって、絶えず陽の光にさらされる野菜や果物にだって常に「酸化」の危険はあります。
しかし、植物たちのすごいところは、そんな酸化に対抗するチカラを持っていることです。
彼ら(彼女ら?)は、過酷な環境下にあってもたくましく成長し、次の世代に生命を託すため紫外線から身を守る生体防御機能を持つにいたったのです。
抗酸化、その優れた機能は、植物たちの持つ鮮やかな色彩に表現されています。色が濃くて濃厚な味のする野菜ほど健康に良いと言われますが、この色や味の成分がまさに「抗酸化物質」なのです。
一般に「緑黄色野菜」とは赤、黄、緑などの色の濃い野菜を指しますが、正確に言えば、色素成分のカロチノイドを100グラム中0.6ミリグラム以上含むものを「緑黄色野菜」、それ以下を「淡色野菜」と呼んで区別します。
1980年代以降、アメリカではガンの研究から「非栄養素」と呼ばれる成分にすぐれた抗酸化機能があることがわかってきました。非栄養素とは、5大栄養素である、糖質・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラル以外の成分のことでポリフェノールやクロロフィルなどが有名です。これらのことを別名「ファイトケミカル」と言ったりもします。
ファイトケミカルの代表的なものをあげてみますと・・・
⭕️クロロフィル類
クロレラ等
⭕️カロチノイド類
α-カロテン(緑黄色野菜)
β-カロテン(緑黄色野菜)
リコピン(トマトなど)
⭕️ポリフェノール類
アントシアニン類(黒豆、紫キャベツ、インゲン豆など)
フラボノイド類(柑橘類、お茶など)
タンニン類(黒ごまなど)
リグナン類(黒ごま、亜麻など)
ポリフェノール類(紅茶のテアフラビン、ココアや赤ワインのポリフェノールなど)
果物は食べすぎると果糖過剰摂取になるというのは本当だけれど、果物には、それを考えても有り余るほどのカラダへのメリットがあります。
例えば、柑橘類の黄色い色素はカロチノイド類という色素によるものですが、なかでも温州みかんに多く含まれる「β-クリプトキサンチン」というカロチノイドが、がん予防に効果がありそうだということで注目されています。この色素は、発がんの初期段階や、促進段階において、強い発がん抑制作用を示すことが分かっているのです。
また、グレープフルーツや八朔などに多く含まれる「オーラプテン」という香り成分は、皮膚がん、大腸がん、舌がん、食道がん、膵臓がんなどの抑制効果を示しています。活性酸素を除去したり、解毒酵素を誘導したりする作用に基づくことが明らかになっています。
柑橘類以外には、ベリー類も注目されています。ブルーベリーの皮には「アントシアニン」という色素成分が10種類以上も含まれています。アントシアニンには、眼の網膜にある色素体の再合成を促すなど、視力機能改善作用があるのです。
愛知学院大学心身科学部教授の大澤俊彦先生という方がいらっしゃいます。食品と生命機能の関わりを研究テーマとされています。以前、大澤先生は、日本のお米を使ったある実験を行いました。
本来、お米のルーツは熱帯地方に自生していた野生の黒い米です。野生種というのは、紫外線の強い太陽光のもとでもたくましく生き、次世代に子孫を残してきました。
研究では、黒米、赤米、白米をそれぞれ室内に保存して発芽率を調べたところ、最も発芽率が高かったのが黒米で、最も発芽しなかったのが白米、赤米はその中間ということでした。
その発芽率の違い、一体どうして生じると思われますか?
黒米と赤米の種子表面に含まれるポリフェノールの一種であるアントシアニンが、抗酸化にすぐれ、稲の成長を助ける要因だったのです。
ファイトケミカルの効果が期待できる食品をざっと並べてみますと・・・
⭕️ユリ科
タマネギ、ニンニク、アサツキ、ニラ
⭕️ナス科
トマト、ナス、ピーマン、ジャガイモ
⭕️セリ科
ニンジン、セロリ、パースニップ、パセリ、セリ
⭕️アブラナ科
キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ダイコン、カブ、芽キャベツ
⭕️ウリ科
⭕️ミカン科
オレンジ、レモン、グレープフルーツ
⭕️穀類・豆類・油糧種子
玄米、全粒小麦、大麦、亜麻、エンバク、大豆、インゲン豆、オリーブ
⭕️キノコ類
シイタケ、エノキ、マッシュルーム、キクラゲ
⭕️海草類
ヒジキ、ワカメ、コンブ
これらの食べ物にはそれぞれ、カラダの酸化を抑え、ガンや大きな病気の予防になる成分が含まれています。こうした色の濃い野菜や果物が冬の間、北海道では露地物で手に入りにくいのが辛いけれど、冬が長いからこそ旬の野菜の美味しさや瑞々しい果物の香りを大きな喜びとして感じることができるのかもしれません。
アイ・ラブ・ベジタブル。アイ・ラブ・フルーツ。
露地物を味わえる季節が今から待ち遠しい私です。
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