これからの季節、なんとも楽しみなのが、かぼちゃの登場です。私の暮らす北海道はこれから本格的なかぼちゃの旬を迎えます。スーパーに所狭しと並ぶゴロンとした深緑色の半球体。そのパックリと割れた内部はまるで黄色い抽象画のようです。
デザインの世界において、緑色と黄色の組み合わせというのは「かぼちゃ配色」といってあまりセンスのよろしくない色合いとして敬遠されがちなのですが、私はむしろ「自然らしさ」を最も感じさせる最高の色の組み合わせじゃないかと思うのです。
アートはもともと自然の中にある「美」に感応した人間が自然を模倣することから始まりました。だとすれば、かぼちゃはまさに芸術の秋にふさわしいアート感覚溢れる野菜のひとつといえましょう。
でも、そんなかぼちゃにも現代日本の食事情は「農薬」の使用が欠かせないのです。それはなぜでしょう?
本来かぼちゃの旬は6~9月。なので、このほかの季節はスーパーには輸入物が並ぶことになります。だから日本では年中かぼちゃが手に入るわけなのですが。
しかし、輸入物で気になるのが、そう、ポストハーベストの問題なのです。正式にはポストハーベスト農薬といって、収穫後に農薬や添加物を使用することを意味します。
保存したり、輸送したりする際に作物が傷んだり、虫が発生したりするのを防ぐための処置であり、日本では行われず輸出国側で処理されたものが日本へと運ばれてくるのです。
一般的に畑で使われる農薬というのは、時間の経過とともに蒸発したり、分解したりしてもともとの量が減っていくのですが、ポストハーベスト農薬の場合は農薬をかけて保存することを目的としているため高い濃度のまま残ってしまうので、ここが問題なのです。
しかも、案外、輸入時のチェック体制も整っていないことはすでに様々な方面の調査から指摘されています。
けれども、ただ不安に思っているだけでは問題は解決しません。だからこそ、自分でできる対処をしなければならないのです。
ではどうすれば良いのか?
それは「選び方」と「下ごしらえ」の方法にあります。
<選び方>
一個売りの場合は、皮の縦縞の模様がはっきりしているものを選びます。また、半分にカットされているものは、タネがぎっしりと詰まって果肉より引っ込んでないものを選びます。
なぜなら、これらの特徴はどちらも栄養豊かな良い土壌で栽培された証拠なのです。ゆえに栽培時の農薬の使用量も少ないとみて良いでしょう。
では、もう一つの「下ごしらえ」についてですが、次のようにします。
<下ごしらえ>
まず流水を使って、たわしかスポンジで皮をゴシゴシとこすり洗いします。通常、30秒以上洗うと表皮に付着した農薬やダイオキシンは落ちるといわれます。
マクロビオティックでは、皮も用いて食用としますが、そこまでこだわらない方や残留農薬が不安な方は、さらに「かすりむき」をして皮を取り除かれると良いでしょう。
「かすりむき」とは、包丁を使って皮をところどころ削ぎ落とすことをいいます。これにより、かぼちゃが切り分けやすくなったり、味がしみ込みやすくなったりします。また同時に皮の深部に溜まった不安物質をお湯に溶け出しやすくしてくれるのです。
それならいっそ皮を全部むいてしまえば良いのではと思われるかもしれませんが、それではかぼちゃのせっかくの栄養成分や旨味成分もなくなってしまいますし、調理した時に煮崩れを起こしてしまいます。これではもはやアート感覚溢れる野菜とは呼べません(笑)。
さらにもう一ついえば、かぼちゃを煮る時に途中でお湯を替えるのも安全を期す上ではありなのです。
切ったかぼちゃを鍋に入れ、ヒタヒタの水を加えて火にかけます。そして、かぼちゃの表面が透き通ってきたなら、ここでお湯を一旦捨ててしまうのです。この時、お湯の中には農薬やダイオキシンなどの不安物質が十分溶け出しています。
それから改めてヒタヒタの半分くらいの水を加え、味付けをして弱火で柔らかくなるまで煮るのです。ここまですれば、輸入かぼちゃにおけるポストハーベストの問題はほぼクリアできます。
ただ、今までお伝えしたのはあくまでも旬を外れた時期に食べる輸入かぼちゃについての対処法です。まさにこれからは北海道も待ちに待った国産かぼちゃの旬!
ポストハーベスト農薬の心配がないとれとれのかぼちゃを心ゆくまでお楽しみください。皮まで利用したいマクロビオティック派のあなたも、私も、国産かぼちゃなら安心して食べられます。
芸術の秋、収穫の秋、目の前にゴロンと転がった美しいかぼちゃに敬意を評して食欲の秋にも乾杯しましょう!
⭐️誠に僭越ながら、世界一美味しいかぼちゃは北海道産だと思います!なぜなら海外で出会った外国人にも「Hokkaido pumpkin is the best in the world!」と絶賛されたからです。おまけに有機ときたもんだ!あなたもぜひ一度世界一の味をご賞味ください!
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