ココロとカラダ、それは本来一つのものです。ココロはカラダによって影響を受け、またカラダはココロによって影響を受けてしまいます。
それゆえに、ココロの問題にカラダからアプローチしたり、ココロの問題に対してカラダからアプローチしたりができるのです。そのために、世の何には、さまざまな健康法があるのです。
カラダについても言えることなのですが、ココロの問題であっても、その「症状」だけに囚われるのは良くありません。
なぜなら、症状を消そうと思えば思うほど、その症状そのものに本人の注意がいってしまい、そこにエネルギーが注がれてしまう結果、さらに症状が重くなるのです。
咳が出て仕方がない時、無理やり咳を止めようとするよりも、その原因がどこにあるのかを突き止めて対処することにより、結果的に咳が出なくなる、なんてこともあるのです。
なので、ココロの問題に対しても同様にその原因というものを見つけて、それに対してアプローチした方が良い場合がままあります。
例えば、ストレスの原因を探していった時、本人の意識にものぼっていないような感情が原因としてある。それは、人から悪く思われたくないという感情であったり、親からもっと愛されたいという感情であったりするのです。
催眠療法のエピソードでこんな興味深い話があります。
あがり症のクライアントに対して、ある催眠療法家が「これからあなたは人前に出てもあがりませんよ」と催眠をかけたところ、それまで会議で何一つ話せなかったクライアントがスラスラと意見を述べるようになったのです。体調だってすこぶる良くなりました。
しかし、しばらくすると、ひどく疲れを感じるようになり、ついには悲しいことにそのクライアントは自ら命を絶ってしまったのです。
大きな視点から考えてみると、そのクライアントにとって、人前であがるということは最善のバランスではないにせよ、むしろ必要なことだったのかもしれません。
会議で発言できないことにより、人との無用な論争を避けるとか、そこから生ずる人間関係のストレスを回避できていたのかもしれないのです。それが、突如迷いなく発言し始めたことで、心身に過度のストレスを感じ、自分自身を追い込んでしまったということなのでしょう。
ゆえに、症状だけを消してしまえば良いのかというと、決してそうではない。
東洋医学的には、不快な症状というものは、それそのものが自然治癒力の現れだとする「症状即療法」という考え方があります。
これはきっとココロの問題にも当てはまるものであり、そのようなスタンスからココロの問題を紐解いていった時、解決できる道もひらけてくるのではないかと思います。
ココロとカラダは、ちょうどコインの裏表。
目に見える面側を支えているのは、目には見えない裏側だったりするのです。
現代において、ココロの問題は、心療内科や精神科でカウンセリングや治療を受けることが多いようですが、こうした心理学にもとづいた療法と、臨床にもとづいた心理療法にはかなりの違いがあります。
西洋の精神科医ユングやマズローが解いた心理学には大変有用なものがあり、確かに素晴らしいのですが、実践家や治療家が臨床から生み出した心理療法も机上の理論を超えた素晴らしい効果を出しているものがあります。
「何が問題であるか?」よりも、その人に対して今「何ができるのか?」というスタンスから、型にはまらないその人に合ったアプローチを見つけていくのが本来の心理療法のあり方なのです。
そこには目には見えない、生命の尊厳に対する思慕の念があるように思います。
カラダは単なる物質ではありません。単なる物質的な肉体を超えた、心や魂までも含むものであり、仏教はこれを心身一如といいます。
裏表を合わせて一枚のコインであるように、科学的手法を重視した西洋医学と、精神的手法を重視した東洋医学を合わせることで全人的なケアが可能になると感じています。
何らかのココロやカラダの不調に対して、「ココロはココロ」、「カラダはカラダ」と分けてアプローチするのではなく、カラダや感情を入り口としてココロに働きかける、その逆にココロからカラダへと働きかける、そんな総合的な健康を促す医療が今の時代求められています。
それによりココロは「心」へ、カラダは「身体」へ、今までまるで記号的に思えていた心身の存在が、もっと体温のある、生き生きとした実態をともなったものへと変貌を遂げていくと思います。医療の未来はきっと、そこにあるに違いありません。
最後に、ご自身の心身を意識し対話するためのエクササイズを一つ。5分もあればできます。どうぞ試してみてください。
<自分自身の心身への対話>
①静かなリラックスできる環境で座ります。目を閉じて、ゆったりと深呼吸を繰り返し、肩の力を抜きます。
②頭が何を感じているか? 頭に手を当てて、ゆっくりと感じてみます。そして、感じたことを口に出してみます。
③胸が何を感じているか? 胸に手を当てて、ゆっくりと感じてみます。そして、感じたことを口に出してみます。
④腹が何を感じているか? 腹に手を当てて、ゆっくりと感じてみます。そして感じたことを口に出してみます。
⑤今までの3か所の感覚を感じて、今何か思うことはあるか? もし、自分にかけてあげたい言葉、誰かにかけてほしい言葉が見つかったら、それを実際に自分に語りかけてあげます。
⑥自分の中でこれで終わっても良いという感覚を得られたなら、自分が感じた感情や感覚に「ありがとう」と伝えて終わります。
いかがでしたか?きっとあなたも、心と身体が一つのものであったことを思い出されることでしょう。日常の中でこうした意識の用い方をすることで忘れかけていた自分自身の存在の声を聴くことができます。
あなたのご成功をお祈りしています。
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