ヘルシーじゃない野菜ジュースの話

食の安全

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野菜不足が言われるようになって久しい現代人。

足りない栄養素を補おうと、野菜ジュースをスーパーやコンビニで求める人は多いもの。店の陳列棚には消費者のそうしたニーズに対応した商品がズラリ並びます。

ところが、もし、あなたが健康のために野菜ジュースを飲もうと思うのなら、知っておかねばならない大切なことがあるのです。でなければ、逆に一生懸命良くないものを摂り込んでいた、なんていうことになりかねないのです。

今回はそんな「ヘルシーじゃない野菜ジュースの話」です。

 





 

■スーパーに並ぶ1日分の野菜ジュース■

現代人の生活はとかく忙しい。それゆえ、3度の食事をスーパーやコンビニ、外食ですませる人も増えています。そこで生じるのが野菜不足。わが国の厚生労働省は、そんな状況を改善すべく、「1日350gは野菜を食べよう」と目標値を設定しているわけですが、現在、日本人の平均野菜摂取量は1日300g足らず。まだ50g以上も足りないというのです。

でも、考えても見て下さい。野菜を350gって言ったって、結構な量ですよね。パスタで2人前以上はあるじゃないですか。だからこそ、手軽に不足を補うものとして、野菜ジュースが売れるわけなのですが、これらは野菜そのものの持つ食物繊維やビタミン・ミネラルがそっくりそのまま摂れるわけではありません。加工してボトル詰めしていく過程でかなりの部分が取り除かれ、破壊されてしまうのです。しかも、「濃縮還元」などと表記されたものは加熱処理しているため、熱に弱いビタミンCの摂取は望めません。

しかし、メーカー各社は厚生労働省の目標値を宣伝文句に「1日分の野菜ジュース」なんて商品を販売している始末。でも、それって本当にヘルシーですか?

 

■硝酸塩にご用心!■

野菜、および野菜ジュースを摂りこむ上で気をつけなければならないことがあります。それは「硝酸塩」についてです。

これに似たものとして「硝酸態窒素」がありますが、中身としては事実上同じものです。硝酸は窒素の酸化物で強い酸。植物の窒素肥料なのですが、そのままでは酸性が強くて使えないので、カルシウムなどと反応させた「塩」(=硝酸塩)として使います。

窒素は空気中にも土壌にも存在し、家畜や人の糞からも発生します。植物の発育には欠かせない栄養素なのですが、窒素肥料を過剰に投入した場合に問題が起こります。窒素成分は様々なカタチに変化して最終的に硝酸塩、亜硝酸になります。これらは、がんを誘発するなど極めて有害な物質なのですが、化学肥料の使用量が多い日本の野菜に含まれる硝酸塩濃度は国際的に見てもかなり深刻なレベルに達していると言われているのです。

硝酸塩は、健康な人であれば、一定量はおしっことして排泄されますが、多量に摂取した場合は排泄が間に合わず体内に残留してしまうのです。イギリス農業政策研究会の報告書によると、人間が硝酸を取り込んでしまう原因となるものは、飲料水から70%、野菜から21%、肉及び肉加工製品から6.3%となっています。9割以上が水と野菜から取っているわけです。

 

■ほうれん草が原因の集団食中毒■

WHOによると第二次世界大戦後から1986年までに約2000件の硝酸塩にまつわる中毒事故があり、実に160人の乳幼児が死亡しています。1950年代から欧米ではほうれん草が原因の乳幼児の中毒事件が相次ぎました。特に1956年、アメリカで起こった「ブルーベビー事件」は全世界に衝撃を与えました。

母親が裏ごししたほうれん草を離乳食として与えたところ、赤ん坊の顔は真っ青になり、30分もたたぬ間に亡くなったのです。この時、278人の乳幼児が同じ中毒にかかり、そのうち39名が亡くなりました。

硝酸塩が人間のカラダの中に入ると、亜硝酸塩というものに還元されます。そして、これが胃の中で肉や魚に含まれるアミンと結合してニトロソアミンという発ガン物質をつくってしまうのです。しかも、硝酸塩は血液に入るとヘモグロビンの鉄分を酸化させ、血液が酸素を運べない状態になります。そうするとカラダは酸欠状態。硝酸還元菌を殺すための胃液が充分に分泌されない乳幼児の場合は大変危険なことになります。前述した「ブルーベビー事件」はまさにそれが原因となりました。

日本ではまだブルーベビー事件のようなケースはないと言われますが、赤ちゃんの突然死や食中毒といったものは普通にあるわけで、それらが硝酸塩を多量に含んだ水で溶かした粉ミルクや、硝酸塩を多く含んだ野菜を使った離乳食を食べさせたことが原因ではないという証拠はありません。小さな乳幼児を持つお母さんたちは、このことを知っておく必要があると思います。

 

■硝酸塩の許容量■

WHOは、硝酸塩の許容量を体重50キロの人で、1日185mgとしています。しかし、日本人は1日に289mgも摂取していて、そのうちの284mgは野菜からの摂取だそうです。つまりは、野菜不足でもっと野菜を食べなければならない状況であるにもかかわらず、許容量をはるかに超えた硝酸塩を野菜から摂っているという矛盾に苦しんでいるのが私たち現代に生きる日本人と言えるのです。

また、硝酸塩は身近なところではハムやソーセージの発色剤などの食品添加物としても使われています。加工食品の過剰摂取も拍車をかけているというわけです。

けれど、「硝酸塩は食品添加物として認められているくらいだから、そんなに危険じゃなかろう」との意見もあります。しかし、硝酸塩はがんや酸欠状態を引き起こすだけではありません。アトピー性皮膚炎、アルツハイマー病、糖尿病、腎機能低下による透析患者さんなどには、高濃度の硝酸塩の摂取が症状を悪化させる原因となることがすでにわかっているのです。

こうした添加物以上に問題視すべきなのは、野菜ジュースに含まれている硝酸塩です。これは大量に摂取すると、体内で亜硝酸窒素になります。血液中のヘモグロビンが酸素を取り込む前にこの亜硝酸窒素が酸素を奪ってしまい貧血を起こす原因にもなります。

EUの基準では硝酸態窒素は野菜100g当たり0.2~0.3gですが、日本には野菜に対しての基準がなく、現段階で規制もされていません。日本の水道水の基準は1リットル当たり10mgですが、その2~18倍の量が市販の野菜ジュースから検出されたという民間団体の調査報告もあります。

 

■野菜ジュースの3つの注意点■

けれども、まるで砂糖水のごとき清涼飲料水を常飲するくらいなら野菜ジュースのほうがまだ良いのも事実。もし、あなたが野菜ジュースを飲もうと思うなら、せめて次の3つのことに気をつけて頂きたいのです。

 

①飲み過ぎに気をつけること

昨今の野菜ジュース人気で、各メーカーともペットボトルサイズの商品を販売していますが、飲み過ぎには注意が必要です。結果、硝酸塩の過剰摂取につながってしまうからです。あくまでも嗜好品の感覚で少量を楽しむのが良いかと思います。カラダに良いものと聞くと欲張ってつい摂り過ぎてしまうのは、日本人の悪いクセです。

 

②飲むなら、暖色系の野菜ジュースにすること

実は、硝酸塩は緑色の葉野菜により多く含まれます。例えば、ほうれん草、小松菜、チンゲン菜、あしたばなど・・・。これらの緑系野菜ジュースにも硝酸塩が多く含まれるるようです。それに比べ、トマトやニンジンなど暖色系、赤系の野菜ジュースは硝酸塩の含有量が少ないようです。選べる環境にあるならこちらをお勧めします。

 

③選べるなら伊藤園がお勧めかも

NPO法人「食品と暮らしの安全基金」の調査によれば、数ある食品メーカーの野菜ジュースを比較した結果、「伊藤園」から出ている「1日の野菜」が100gあたりに含まれる硝酸塩の量が4.5gと最も少なかったとのこと。これなら、1本飲んでもまだ他の野菜を摂りこむ余裕があります。直接、伊藤園に問い合わせたところ、やはり商品開発の段階で硝酸塩の過剰摂取に気をつけて原材料を調査、吟味しているそうです。私は伊藤園の回し者ではないですが、こうしたメーカーごとの取り組み姿勢の違いも、私たち消費者は知っておく必要があると思います。

 

あと、大切なのは、私たち消費者も手軽さや便利さばかりを追いかけずに、日々の食生活の中で必要な栄養素はちゃんと素材そのものから摂ること。そして、生産者さんともっと仲良くなって、安全な作物を作ろうと努力されている生産者さんを消費者として応援させて頂く心構えが必要と感じています。

安全性を求める消費者のニーズが広がれば、この国の農業もきっと変わります。20年前よりも、10年前よりも、そうした意識を持つ人は確実に増えてきています。あなたも、ぜひその輪に加わって下さい。

野菜ジュースについて考えることが、そのきっかけとなったら嬉しいです。

 

 

 

■参考資料
http://homepage1.nifty.com/tifa/kankyo_parts/kurashikan_report2012(Kubo).pdf

 

 

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