塩は大地や海の生命力が凝縮されたミネラルの宝庫であります。みそ、醤油、梅干しなど伝統的な日本の食品のほとんどに塩は含まれています。
塩は本来、食べ物を美味しくするのみならず、腐らせないために使われていました。また、昔から神道では「お清め」に使われていることからも、大変霊的な浄化作用を持っています。盛り塩など、家の気を浄化したり、クリスタルなどの貴石を浄化したり、お葬式から帰っても塩を振ります。
昔の武士は海に浸かることにより塩と水で心身を清めていました。それが現在の日本での海水浴の始まりとも言われています。
海からは海水塩も採れます。わが国では1997年に塩の専売制が廃止され、2002年に塩の販売が自由化されたことから、やっと古式製法による自然塩が市場に流通するようになりました。
その後、日本人の健康志向の高まりとあいまって自然塩ブームが起こり、現在に至るわけでありますが、自然塩だからすべて良しというわけではありません！
実は、自然塩を使う上で「注意すべきポイント」があるのです。
確かに海水塩は先に述べたようにミネラルも豊富です。しかし、海水に含まれる「ニガリ成分」、これは注意して用いる必要があります。
なぜなら、ニガリはタンパク質を極端に凝固させてしまうからなのです。もちろん適量用いるのは問題ありません。
しかし、ニガリを良いミネラルだと思って大量に長期間に渡り摂り続けた場合、タンパク質からできている人間の内臓も固まらせてしまうのです。
特に問題なのが腎臓。ニガリの過剰摂取は、腎臓に石をつくってしまったり、腎機能の低下を招いてしまいます。
豆腐を作る時に必要なのは何でしょう？ニガリです。大豆のタンパク質をニガリを使って固めているのです。
腎臓は血液をろ過しておしっこを作り、毒素を体外に排出する大切な臓器です。これが豆腐みたいに固まると腎不全などの怖い腎臓病をもたらしてしまうのです。
海水塩をフライパンで焼けばニガリ成分が飛ぶという意見もあります。確かにニガリに含まれる酸化マグネシウムはいくらか減るのですが、もう一つの構成成分である硫酸マグネシウムはほとんど減らずに残ってしまうのです。ゆえに凝固成分はそのまんま。
一昔前にニガリダイエットというのが流行りました。ニガリには糖の吸収を遅らせたり、脂肪の吸収をブロックするという噂が瞬く間に広がって起こったブームなのでした。
しかし、そんな中で過剰摂取による健康被害が出たことがあり、2004年には独立行政法人国立 健康・栄養研究所が「ニガリと痩身効果の関連性について根拠はない。過剰摂取には十分注意が必要」とのコメントを発表しました。
私はニガリで痩せられた人も実際はいたと思います。なぜならニガリには便秘を改善する働きがあるからです。
実はニガリに含まれるマグネシウムは、医薬品では「下剤」として使用されているのです。市販薬の多くは、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどを主成分としています。
これらのマグネシウム製剤は、腸内の水分を増やし、便を柔らかくする働きがあるのです。ゆえに多量に摂取すると下痢をしやすくなります。
体内の余分なものが排泄されればそれだけ体重は減ります。だからダイエットに効果があるという噂が広がったのでしょう。
しかし、一時的に痩せる効果があったとしても、腎臓に障害のある人の場合は血液中にマグネシウムが蓄積しやすくなって高マグネシウム血症を引き起こし、腎臓の機能低下を招いてしまいます。
マクロビオティックを長年続けている人に顔色が茶色っぽくて痩せている人が多いという指摘をよく聞くことがあります。その原因は玄米にあるのではないかという人もいますが、私は玄米ではなくニガリ成分にあるのではないかと思います。
そのほとんどは海水塩に含まれるニガリに原因があるのではないか。海水塩は海で捕れる魚介類、海藻、みそ、醤油にも十分含まれています。なので、健康のためにと言ってさらなる塩を欲する必要もないのではないかと思うのです。
色々書いてきましたが、実際、美味しく感じられるくらい適量の海水塩を摂ることには何の問題もありませんし、極度に精製された食塩を摂るよりはずっと良いです。
今まで国民の多くが化学合成された食塩を摂り続けてきた結果、血圧が上がり、現在日本で一般的となった減塩信仰が誕生したわけなので、海水塩を摂ることに間違いはありません。
しかし、モノゴトには必ずプラスとマイナスの両面があるので、海水塩の持つマイナスの側面も知って上手に使っていただきたい、そんな思いから今回「注意すべきポイント」としてまとめてみました。
どうか、美味しく安心な塩を適量使って、腎臓に負担をかけない健康な毎日をお過ごしください。
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