気の強い食べもの

食と健康
close-up of a woman eating a large piece of cake

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中国には、「気の強い食べもの」というのが存在します。

日本で言う、いわゆる「傲慢さ」を表す「気の強い」ではありません。「気」(=生命エネルギー)を強める食べものという意味です。

気の強い人というのは、血液循環が良く、活動的で行動力に長け、くよくよしないイメージ。けれど、よく食べ、よくしゃべり、よく動くゆえ、すぐにエネルギーを使ってしまいます。なので、気を強くする食べものを意識して摂る必要があると言うのです。

気を強くする食べものって、いったいどんな食べものだと思いますか?

代表選手は、ニラ、ネギ、生姜、ニンニク。中でも、ニラとニンニクが横綱級に最強です。仏教のお坊さんは、昔からこれらのものを避けてきました。それは「気」が強くなりすぎて、元気になりすぎ、煩悩が生まれやすくなったり、闘争心や欲求が強まり、自我をコントロールするのが難しくなることを体験的に感じていたためと思われます。

古くからアジアでは、修行の妨げになるとの理由からこうした食べもの「五葷(ネギ・ニンニク・ニラ・らっきょ・あさつき)」「三厭(肉・鳥・魚)」を遠ざけてきた地域というのが多くあります。日本でも同様のものとして精進料理があります。

五葷についてですが、これは一般的にはあまり知られていないかもしれませんが、煩悩を強めるのみならず、大自然の気を傷つけてしまうものとされています。

 


 

■陰陽五行の分類表■

中国に古くから伝わる陰陽五行では、天地の間に循環する気を木、火、土、金、水の五つのパターンに分類します。

木は火を生じ、火は土を生じる、というように、天地の間のすべてのものは互いに生かしあう性質を持ちます。しかし逆に、マイナスの気が生じれば、互いに相殺してしまう流れとなってしまいます。例えば、水が火を消し、金(刃物)が木を切ってしまう、という風に。

 

 

五行 木   火    土    金     水
五臓 肝   心    脾    肺     腎
五官 耳   眼    玄    鼻     口
五常 仁   礼    信    義     智
五戒 殺   淫    妄    盗     酒
五葷 ニラ らっきょ ニンニク アサツキ  ネギ
五情 喜   楽    欲    怒     哀

 

五葷もこの五行に対応しているのですが、人間の五臓(五つの臓器)、そして人間が本来的に備えている五つの徳=五常、また人が戒めるべき五つの戒=五戒にも対応しています。

例えば、五行のひとつ「木」は、徳では「仁」にあたります。なので、木や植物はその特質として、「仁」、他者を生かすというような性質を持ち合わせているわけです。

「木」に対応する五戒(いましめ)は、「殺」であり、またこれに対応する五臓(臓器)は肝臓です。

ですから、殺生すると、人間の徳である「仁」の気が傷つけられ、これが過ぎると肝臓を痛めてしまうと考えられます。

人間の持っている五つの徳は「仁」、「義」、「礼」、「智」、「信」ですが、これは心の持ち方です。なので、「仁」の心というのは単に殺す殺さないの問題だけでなく、人を見下げたり批判中傷したりする心も精神の上での「殺」に当たるため。このような心が過ぎると、肝臓には良くないといえるわけです。

こうした五情を乱してしまう恐れがあるのが五葷の植物であり、これらを摂りすぎてしまうと、言行は乱れて苦悩や煩悩がさらに生じ、五戒の禁を破ってしまいやすくなるので注意せよと昔の人は戒めたのです。五戒で言うところの「妄」、「殺」、「淫」、「盗」、「酒」、これらはいずれもトラブルに結びつきやすいので気をつけよということです。

私はお坊さんではないので、これらのことも踏まえた上で、気が弱まっているなと感じた時には意識してこれら五葷のものも用います。けれど、摂りすぎたり、長く続けないようには気をつけています。

例えば、真夏にはカラダが熱くなりすぎないようにネギや生姜はほどほどにするとか、心を落ち着けて精神を集中させたい時などは、あえてこれら五葷のものを摂らないようにしたりとか、状況に合わせてこれらの考え方を活用するようにしています。

気は、元気の気に通じますよね。

気が弱っている時には、気の合う人、波長の会う人と会ったり、おしゃべりしたりすると気が充電されて元気になるのを感じますし、逆に気の合わない人と一緒にいると、自分の気がさらに吸い取られてしまうのを感じたりすることもあります。

総じて、外出が面倒になったり、人に会いたくなくなったりした時というのは気が弱くなっている証拠。そうした時には、五葷に代表される気の強い食べものを摂って気分を上げたり、好物のものをバランス良く食べて気持ちのエンジンをかけるように心がけています。

でも、思ったのだけれど、誰にとっても大好物の食べものこそが、その人を一番元気にできる食べもの=気を強くする食べものと言えるのかもしれません。甘党の人にとっては、五葷の理屈よりも、目の前におかれた一個のケーキのほうが大いにやる気に火をつけてくれるのも真実ですよね。

 

 

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