そんなに種類が必要ですか?危ない住まい用洗剤。

暮らし

 

一体いつから私たちの暮らしは、こんなに数え切れないほどたくさんの種類の洗剤が必要になったのでしょう?

住宅用、食器用、ガラス磨き用、トイレ用、それにパイプ用洗剤・・・。ふらりとスーパーに立ち寄れば、陳列棚に並ぶ色とりどりの洗剤の容器、容器、容器・・・。それらはご丁寧に各用途別に開発されたメーカー一押しの汚れが簡単に落とせる優れた製品たち。

けれども、ちょっと待った!!

それらの棚をよく見れば、「混ぜるな危険」で知られる「カビ取り用洗剤」だって並べられておりますよ!このような洗剤を知らずに使ってしまうと、いくらきれいに見えたって、実は住まいにとっては逆に不衛生で危険な状態にしてしまう代物もあるんです。今回は、そんな困った洗剤のお話です。




■洗っているつもりで、擦り込んでいるという事実

「住まい用洗剤」なる製品が世の中にあふれ出したのは一体いつの頃からでしょう?

確かにドアやフローリング、カーペットや畳、戸棚に電化製品など・・・住まい用洗剤をシュッとひと吹き、布にスプレーして軽く拭くだけで、あら不思議!こびりついた汚れだって簡単に落とすことができます。

例えば、ガラスや冷蔵庫だったら、1平方メートル当たりにつき5回ほど直接スプレーすれば、「二度拭きなし」と製品に書かれている通り一度拭くだけで汚れはサッと落とせてしまえるのです。

でも、考えてみればそれほどまでに強力な洗剤なわけです。しかし、これだけで目に見えぬ洗剤がすっかり拭き取られているとは考えにくい。洗剤成分が家中に薄く塗られたまま放置されているということは、家人に敏感肌の人がいたならば、きっと触れば肌荒れを起こしてしまうことも考えられまいか。

たとえ見た目にきれいだとしても、家の中には危険性のある化学物質が何層にも塗り込まれた「危険ハウス」になっていやしないか、そうした懸念が持ち上がってくるのであります。

 

■目に見えない洗剤がそこに残っています!

では、なぜこうした合成洗剤というのは、使用した後、薄く残っていることがわかりにくいのでしょう?

それは見た目に泡立ちしにくい薬品が使われているからです。泡立ちの良い洗剤ならば、泡を拭うために何度も拭き直さなければなりません。何度も拭き直しが必要であれば、住まいはさっぱりとして清潔になります。しかし、それではメーカー側は売りにくい。それゆえ怠惰な消費者を当て込み、「二度拭きいらず!」とか「家中カンタンさっぱり!」をキャッチフレーズにして売るのです。

住まいの洗剤の多くは、用途として電話機や冷蔵庫などの家電製品などにも使用できるとうたっています。しかし、合成洗剤がそこに残っていることを考えれば、気持ち悪くて触れられないと思いませんか?

危険性ということで言えば、エアコンのカビを防いで嫌な臭いをを消臭する効果のあるスプレー式洗剤も筆頭にあげられるでしょう。これらは防カビコート効果で、エアコン内のカビや雑菌の繁殖を防ぎ、臭いの発生を抑えるのが宣伝文句です。

しかし、使う時には要注意!これらの成分には催奇形性のあるカビ防止剤TBZ(チアベンダゾール)が含まれている場合があります。もしあなたが使われるならば、換気を良くして、マスクをつけ、目に飛沫が入らないように注意する必要があるのです。

 

■消臭を兼ねたトイレ用クリーナーは要注意!

「トイレ用クリーナー」の中にも、お掃除目的だけでなく、たった一本でまとめて嫌な臭いを消してくれる消臭効果までうたっているものが最近増えてきました。

これらの洗剤は、トイレ使用前後の消臭を目的としていますが、便利だと喜んでばかりもいられません。なぜならもともとこれらの製品は「洗剤」なのですから。

空気をきれいにしようとして洗剤を部屋にスプレーする人はいませんよね。しかし、そうした今までにはなかった価値観をメーカー側は新たにつくり出して私たち消費者に商品を売りつけているのです。もしも多くの消費者がトイレを使用する前後にトイレクリーナーをスプレーするようになったなら、この国の合成洗剤による空気汚染はますますひどいことになってしまいます。

しかも消費者は、出費とスプレーの手間が増えるにも関わらず、これで本当に清潔になるどころか、大腸菌や便のついた手でこのスプレーに触れて、毎回触れる度に手に大腸菌をつけてしまうことになるのです。

当然、その大腸菌は、そこからドアノブやペーパーホルダー、温水洗浄器のスイッチや水道栓などにも付着するわけで消臭洗浄スプレーを使った人の手もトイレも使う前より汚染され、かえって不衛生になってしまうのです。

 

■次塩素酸ナトリウムを含む洗剤には注意!

しかし、もっと怖いのは、やはり「カビ取り用洗剤」でしょう。この洗剤の多くは主成分に次亜塩素酸ナトリウムが使用され、同時に住まい用洗剤と同様の合成洗剤も使われています。

この次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする塩素系洗剤に、酸性タイプの洗浄剤を混ぜたために塩素ガスが大量発生して過去にいくつかの痛ましい死亡事故が起こったのです。

塩素ガスは目や皮膚、気道に対して腐食性があり、吸い込むと粘膜の痛みや、腫れ、ただれなどの症状を引き起こします。また、さらに多くの塩素ガスを吸い込めば、胸部圧迫痛や呼吸困難など、最悪の場合、死に至ってしまいます。

そのために業界はスプレー式の次亜塩素酸ナトリウムの含有量の上限を3%、汚れ落ちを強める強アルカリ剤である水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの上限を1%とするよう自主規制しました。それからは、死亡事故は起きなくなっています。

しかし、これにより危険性が皆無となったわけではありません。というのも不注意で起った死亡事故以外に、意図的に洗剤を使って自殺した高齢の男性がいたからです。

その人は70歳代男性。うつ病を患い、精神科で薬物治療中。ある晩、浴室にガムテープを貼り密閉状態にしてから、浴槽内でトイレ洗剤のサンポール(塩酸が主成分)と台所洗剤のキッチンハイター(次亜塩素酸ナトリウム含む)を水に混ぜて発生した塩素ガスを吸引し自殺を図りました。家族が浴室からの刺激臭に気づき、換気を試みて、救急車を要請したものの、病院に搬送され数分後に呼吸が停止して死亡したニュースはまだ記憶に新しいところです。

 

■メーカー側も消費者に注意を喚起はしていますが・・・

この後、ネット上の裏サイトでは、スーパーや薬局で売られている家庭用洗剤を用いた中毒自殺の方法が公開され、社会問題にもなりました。

現在は、家庭用品品質表示法によって、塩素系洗浄剤には「まぜるな危険:酸性タイプの製品とまぜると有害な塩素ガスが出て危険」の表示が義務づけられ、メーカー側は注意を喚起しています。

通常、塩酸を含むトイレやタイルの洗浄剤と、次亜塩素酸を含む漂白剤やカビ取り剤を混ぜると、塩素ガスが発生します。

この塩素ガスを吸引すれば、気道粘膜の水分と接触することにより反応して、塩酸や次亜塩素酸が産生されて、呼吸困難や過呼吸、咳が出て胸が熱くなります。さらには、目に痛みを感じたり、頭痛、嘔吐なども発生し、最悪の場合、死に至ります。塩素は、もともと化学兵器として、テロなどの目的で使用される可能性もあり、十分留意すべき化学物質なのです。

そのようなものを含んだ製品が「住まい用洗剤」として流通し、カンタンに手に入ってしまう現状について、今まであなたは考えてみたことがありますか?これらの製品を家庭で利用するには危険が高すぎると思いませんか?

 

■安全、きれい、何にでも使える。私のおすすめは「コレ」!

では一体何を使えばいいの?ということになりますが、

そこで私は、「重曹」をおすすめします。もともと重曹は食品添加物として認められているくらい、口に入れてもいいほど安全性の高いものです。現在はスーパーや自然食品店でも扱っていてカンタンに手に入ります。ちなみに私たちのカフェでも置いています。

可能であれば、500g以上の容量があるものを購入されると良いでしょう。というのもこれ一つで何にでも応用がきくからです。

例えば、台所のシンクやレンジはもちろんのこと、お風呂の床などどんな所にも使えます。ただ、ガラスなどの傷つきやすい素材は避けたほうが無難かも。なぜなら重曹そのものが研磨剤の働きもするからです。

ただ面白いことに重曹は水には溶けないのですが、お湯には溶けるんです。そこでその性質を利用して水で薄めれば、粒子を研磨剤として使い、汚れを磨き落とすことができます。

また、換気扇などの頑固な汚れが気になるところであれば、この重曹に酢と石けんを混ぜて「重曹クリーム」を作って塗っておき、一晩寝かせて翌日こすれば汚れをきれいに落とすことができるのです。

これがあれば、カビ取り用洗剤だって必要ありません。カビで黒くなった部分にこのクリームを塗って、やはり翌日こすればカンタンにきれいにすることができるのです。もちろん、その後は、カビの発生した場所の換気を良くしておくことは言うまでもありません。もしお風呂場であれば、換気扇を少しの間回しっぱなしにしておくのも良いでしょう。

なお、重曹クリームは次のようにして作ることができます。

 

<重曹クリームの作り方>

重曹1カップ、粉石けん小さじ2杯に、水500ccを加えて良く混ぜ合わせ、そこに酢を大さじ1杯加えてかき混ぜれば出来上がり。実にカンタンでしょ!

 

今までわが家では、エコ的な洗剤など、いくつかの製品を長年愛用してきました。もちろんそれらの優れた点はそれぞれにあり、今も家には常備していますが、この重曹を導入してからはそれらの出番が減っています。重曹でたいていのことは解決できてしまうからです。住まい用洗剤というジャンルにおいてはほぼこれだけでカバーできてしまいます。

 

重曹についてはまだまだ書きたいことが山ほどあります。最近、私などは重曹を使って歯磨きしています。実はそこで得た発見も面白いんです!

重曹、この興味深い物質についてはまた別の機会に触れてみたいと思っています。どうぞお楽しみに!

 

 

 

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