私の暮らす札幌にもみぞれが降り、明日には立冬を迎えます。凛と張り詰めた冷たい空気。この時期、風邪をひかれる人も多いのではないでしょうか。
私の周りにも、咳をしている人、喉の調子の悪い人、熱が出たという人がそろそろ現れ始めています。
「なんだか風邪にかかったみたい」あなたなら、そう感じた時、どんな風に対処されますか?すぐにお医者さんに診てもらう?風邪薬を飲む?
・・・私なら、まず試してみるのが、「大根湯」。
大根湯は、日本に古くから伝わる民間療法の一つです。マクロビオティックな生活をされている人にはもうおなじみのお手当法の一つですね。風邪の流行る時期ですし、今回、改めてこの大根湯について取り上げてみたいと思います。
野菜の効用というものは、もうそれはそれは数えきれないほどにあります。そもそも野菜自体が種類多くあって様々な働きをするのに加え、異なる種類の野菜を合わせて使うことにより、相乗的な効果が期待できるわけです。
まだ今のように医療が充実していなかった時代の人たちは、経験的にそうした野菜の効用や組み合わせ方を知っていて、家族や友人に病める人があれば手当してあげ、互いに助け合って暮らしていました。
そうした伝統が、「おばあちゃんの知恵袋」として各家庭で行われ、国民の健康生活の大きな支えとなっていたのです。
今回ご紹介します大根湯もそうした先人の知恵の中から生まれてきたお手当法の代表作なのです。
大根湯を作る上で主役となるのは、大根です。
今時期旬を迎える冬大根は大変栄養価に富み、カロチン、ビタミンC、食物せんいが含まれ、皮の部分には毛細血管を柔軟に保ち、皮膚に栄養を運び、ビタミンCの吸収を助けるビタミンP(ヘスペリジン)も含まれています。
また、消化酵素オキシターゼは消化を助けるだけでなく、発がん性物質を解毒し無毒化してしまうほどの免疫力を強化してくれる物質なのですが、これも含まれています。なので、大根湯を作る時には、皮を向かずにそのまますり下ろしてください。
さらに、以前にもお伝えしたことがありますが、だいこん下ろしは、下ろしてから時間が経つと、20分後にはビタミンCが80%に減少してしまいます。なので、作りおきせずに、飲む直前に作るのが原則です。
また、気をつけていただきたいのですが、実は大根湯には二種類あるのをご存知ですか?
マクロビオティックや食養生の世界で大根湯といえば、「第一大根湯」と「第二大根湯」の二種類があり、それぞれ目的と効用が異なるのです。それらを間違えないように、まずは整理してみたいと思います。
●第一大根湯の目的と効用
これは、解熱剤、発汗剤として用いると効果のある大根湯で、風邪に対して用いるのもこちらのほうです。初期症状であれば、大変よく効きます。また、合わない肉や魚を食べてお腹を悪くした時の毒消しとしても用いることができます。
●第二大根湯の目的と効用
これは、前立腺肥大、慢性腎臓病、膀胱炎などの時や、尿の色が濃い時や出が悪い時に利尿剤として用います。もし、効果を強めたい場合は、最初に第一大根湯を飲んでから第二大根湯を飲むとさらによく効きます。
さて、大根湯の目的と効用についてわかったら、いよいよ実際に作ってみましょう。作り方はシンプルでそう難しいものではありません。材料を用意できたら、分量を間違えないようにして、レッツトライ!
<材料>
・大根おろし 盃3杯
・おろし生姜 大根おろしの1/10の量
・天然醸造醤油 盃1.5~2杯
・番茶 360~540cc
<作り方>
①器に大根おろし、おろし生姜、醤油の順に入れる。
②熱い番茶を注ぐ。
③できるだけ温かなうちに飲みきる。
<注意>
一日一回作って飲み、これを三日間続ける。必ず一回作ったごとに飲みきること。風邪のひき始めには、大根湯を飲んだ後、布団を頭からしっかり被って布団蒸しのようにしていると全身から大量に汗をかき、随分と熱が下がります。
ただし、虚弱体質の人や、心臓病、結核性の病気を持っている人は行わないでください。
<材料>
・大根おろし 90cc程度
・白湯 180cc程度
・天然塩 大根おろしの2%
<作り方>
①鍋に大根おろし、天然塩を入れる。
②熱い白湯を注ぐ。
③火にかけ一度煮立ててから、すぐ下ろす。
④できるだけ温かなうちに飲みきる。
<注意>
一日一回作って飲み、これを三日間続ける。必ず一回作ったごとに飲みきること。第二大根湯は基本的に陰性な療法の一つなので、熱があるとか陽性な原因により尿の出が悪くなっている場合に用いると効きます。
また、大根おろしは生のまま飲まずに必ず一度煮立てること。一日に何度も用いることは避けてください。
・・・いかがでしたか。飲んでみましたか?そう嫌な味ではないでしょう?
もともと材料は野菜が中心であり、食品ですから、案外受け入れやすい飲み物ではないですか?良薬口に苦しというけれど、これなら抵抗なく飲めるでしょう。しかも、用法・用量を守っていれば、化学薬のような副作用もありません。
もしもあなたが、この冬、「風邪にかかっちゃたかも」と思ったら、病院へ走るよりも、薬局でお薬を買うよりもまず先に、一度お家で試してみてください、この大根湯。
きっとその効果に驚かれ、先人たちの知恵の偉大さに感謝の思いが湧いてきて、心の奥がほっこりと温かくなることでしょう。
⭐️日本に伝わる食べ物を使った伝統的な手当法。それはマクロビオティックにより次世代へと伝えられています。あなたもこの古くて新しい手当法に触れて、偉大な先人たちの智慧の蔵を覗いてみませんか?
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