人間は「選別」する生き物です。対象物に価値があるのか、ないのか?自分にとって利益があるのか、ないのか?そして、必要なしとみるならば何食わぬ顔で即座にポイと捨ててしまう。
しかし、はたしてその行為は本当に正しいのでしょうか?要らないと思って捨てていたものの中に、自分がまだ気づいていない大変価値ある要素があったりしないのでしょうか?
すべては必然。案外この宇宙に不要なものなど一切存在しないのではないか。そんな哲学的なテーマが頭を駆け巡る時、そう、思い出すのは「かぼちゃの種」なのです・・・
人さまに訊ねてみると、意外と多いのです、かぼちゃの種を平気で捨ててしまう人。もちろんこの現代日本でもパンプキンシードとしてパンやお菓子に使う人もいますが、利用する人って実際それほど多くないのでは?
しかし、このかぼちゃの種、古くから漢方の生薬材料の一つとして知られた存在なのです。生薬名は「南瓜仁(ナンカンニン)」。体内の寄生虫を駆除する薬。
西洋医学の本場ドイツでも、かぼちゃの種は元来、虫下しや咳を鎮める効果のある薬として用いられてきました。
海外を旅しますと、ヨーロッパ、中近東、中央アジア、中国、インド・・・、世界中多くの地域で塩味で皮のついたものがおつまみとして売られています。私も若い頃、旅行先でよく食しました。口寂しい時、あのなんとも香ばしく懐かしい味が寂しさを紛らわしてくれるのです。
私たち令和時代を生きる日本人も、もっとかぼちゃの種の効能を賞賛しても良いのではないでしょうか?
思うに日本人がかぼちゃの種を捨ててしまうようになったのは、戦後の高度経済成長を経て、物質的に豊かになり始めたあたりからではないでしょうか?
ファミリーレストランやコンビニが乱立し始め、何不自由なくバラエティーに富んだ食べ物が得られるようになる中で、「かぼちゃの種なんて、そんなもの貧乏くさくて食べられるかよ」的な驕り高ぶりが国民の心理に生じたのではないか。
実は昔から日本でも、食養生の世界では、かぼちゃの種は前立腺肥大症や不眠症を改善するほか、母乳の出を良くしたりする効果が知られ、どの家庭においても年長者がそれをちゃんと知っていて若い世代に伝えていたようなのです。いわゆる「おばあちゃんの知恵袋」というやつですね。
そうした先人の知恵が、種と一緒にキッチンの三角コーナーに捨てられていくのは誠に悲しい。私は今こそ、そうした食の伝統をこの新しい時代にあらためて復活させたいと願うのです。
なので、あなたも私と一緒につくってみませんか?食用かぼちゃの種。
何も特殊な技術や道具が必要な代物ではありません。作り方はいたって簡単、次の通りです。
①種を洗い乾燥させる
かぼちゃを切ると内部にワタがあって、種はその中にあります。ぬめりもあるため、水でよく洗ってその後、キッチンペーパーなどで水分を拭き取り自然乾燥させます。方法はざるに広げて天日干しにします。できれば1日以上干してしっかり乾かします。
②種に火を通す
タネが十分乾いたら、それをフライパンで弱火で炒めます。熱が冷めてからハサミを使って白い部分に切り込みを入れ皮をむきます。中身が出てきたら完成です。生の状態だとむきにくかった皮もから炒りすることで簡単にむくことができます。
さて、こうして得られた食用かぼちゃの種ですが、風味豊かな状態でそのまま食べるのはもちろんのこと、白和えやサラダに使うと、より輪郭のくっきりした味わいが楽しめます。
また、パスタや煮物の完成時に上からまぶすとふんわりとしたやわらかな食感にカリッとした舌触りがプラスされてとても新鮮です。いずれにしても種を少し加えるだけでいつもの食卓がより豊かで楽しいものになるのです。
かぼちゃそのものもですが、種の部分も発がん作用を抑制したり、免疫力を高めてくれるβカロチンが豊富な食材です。βカロチンは体内でビタミンAに変換され、髪、粘膜、皮膚を丈夫にしたり、喉や気管、肺などの呼吸器を守る働きがあります。
寒くなり、呼吸器に何かと負担のかかりやすいこれからの季節にもうってつけの食材であり、お薬でもあるといえるわけです。
さて、そうとわかったらあなたも今日からはかぼちゃの種を捨てず、食材として用いて私と一緒にポリポリしちゃいましょう。
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