化学物質が多動児の異常行動を引き起こす

心と体

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今から40年以上も昔のこと、アメリカの小児科医ベンジャミン・F・ファインゴールドマンという方が、人工着色料や防腐剤、殺菌剤によって子供が突然暴れ出したり、落ち着きがなくなるなどの多動現象が起こることを報告しました。そして、それらの子供に大量の砂糖、カフェイン、人工着色料、香料、保存料を含んだファストフードや清涼飲料水といったいわゆるジャンクフードを食べさせないようにすると、しばらくして子供たちの多くが落ち着きを取り戻したというのです。

しかし、年月は経っても、その報告が功をそうすることはなく、悲しいことに多動性障害と診断される子供の数は、現在、世界的に増えています。

 





 

■世界的に多動児が増えています■

米疾病対策センターの調べによると、アメリカで2006年から2008年の2年間に発達障害と診断された子どもは、10年前と比較して約180万人多く、この間、自閉症の患者数は約300%も増加し、ADHD(注意欠陥・多動性障害)は33%増加しています。

さらに、同センターの統計によれば、アメリカで生まれる赤ちゃんのうち、10〜15%が何らかの神経発達障害を持ち、症状名はつかなくても神経障害一歩手前の子供たちを加えるとさらに多くの予備軍が存在します。

この異常事態は何もアメリカだけの話ではなく、世界中の何百万という子供たちがこうした障害の影響を受けています。日本でも子供の数が減り続けているにもかかわらず、特別支援学級に通う子供の数は増え続けています。

 

■一人当たり年間26.6㎏の食品添加物■

これらの原因の背後に、先に述べた添加物や化学物質の存在もあることは否めません。昔に比べ、日本人の食生活が大きく変わったことにより、加工食品や外食が増え、それにともなう使用量も増加の一途をたどっているからです。

タール色素で着色された菓子類、牛脂とカラメルで着色し植物性タンパクを混ぜたミートボール、肉と同量かそれ以上の添加物で水増しされたハム・・・消費者の低価格志向に足並みをそろえるようにして使用量は年々増加し、2010年には国内の食品添加物使用量がとうとう1兆円を超えました。

食品科学新聞の調査結果をもとに計算すれば、これは1 人当たり 1日 に73g、1年間で実に26.6kgの食品添加物を私たち日本人は摂取していることになります。これは何も子供の発達障害や多動現象の原因に限ったわけではなく、近年問題になっている種々のアレルギーや成人病、がんの増加とも関係が深いのは明らかです。添加物や科学物質は私たちの暮らしを便利にした反面、健康を害してもいると言えるのです。

 

■ますます増える新しい添加物■

では、これらの化学物質がなぜ多動性障害と関係があるのかというと、それは脳に対して影響を与えるからです。化学物質のうちのいくつかは、健康な脳の発達に不可欠なホルモンの働きを阻害するとみられています。まだカラダの出来上がっていない発達途中の子供や乳幼児は、成人に比べて遥かに科学物質による悪影響を受けやすいのです。

脳を変容させる可能性のある添加物の一つに人工甘味料があります。この人工甘味料は多くのソフトドリンクや、菓子などの加工食品に入っています。「砂糖の害」が言われるようになってから登場した比較的新しい人工甘味料にアスパルテームがあります。これはアメリカのブッシュ政権時代に米国国務長官だったドナルド・ラムズフェルドによって安全審査のチェックを逃れ(彼はモンサント傘下にある世界的な製薬会社GDサールの会長を務め、アスパルテームの販売利権を手にしていたから)、「問題のない添加物」として広く市場に出回ることになりました。

アスパルテームは、ショ糖の約200倍の甘みを持ち、アスパラギン酸とフェニルアラニンという2つのアミノ酸が結合して出来ていることから、代謝されてもアミノ酸に分解されほとんどカロリーにならないとして、多くの食品で積極的に使用されています。

しかし、過去に日常的にダイエットコークを摂取していたアメリカ人俳優がパーキンソン病を発症したことで、その原因がアスパルテームではないかという議論が盛んに行われるようになりました。ヒトへの長期の安全性試験の報告がないため、安全・有害のどちらとも言えないのが本当のところなのです。にもかかわらず、毎年、同じようにして新たな食品添加物が政府の認可を受け、食品に添加されていきます。結果、それらの生産量も消費量も増える一方なのはお伝えした通りです。

 

■子供たちの脳を傷つけないために■

子どもたちの脳をこれ以上傷つけないために、私たち大人がこれからできることは何でしょう?毎日の暮らしの中でちょっと気をつけてみるだけで改善の助けとなる方法を4つあげてみました。

 

①食品を購入する際、食品表示をしっかり確認し、添加物の多い加工品の購入を避ける

以前から、出産前におけるタバコやアルコールの摂取によって胎児が影響を受ける可能性は指摘されていましたが、それに加えて着色料や人工甘味料の長期に渡る摂取が子供の発達障害や多動症を悪化させることはすでに調査の結果明らかです。親御さんがそうしたことに関心を持ち、日頃の食生活において気をつけ、子供さんにも理解させ、安全な食品を選ぶ意識を身につけさせることが大切です。

 

②過度の外食に気をつける

長引く不況と消費者の低価格志向によって、ますます食品の質が低下しています。本来、手間暇かけたものはコストがかかるもの。それを低価格に抑えようとすれば、どうしても原価を下げる意外にありません。そこへ安価な中国食材にお呼びがかかります。残留基準値をはるかに超えた農薬や日本で禁止されている食品添加物の使用など、未だに問題が多いにもかかわらずコストを考えて使用する店は多いもの。安価なメニューを提供できるにはそれなりの理由があるのです。外食する際は、内容と安全性を考えて店を選び、利用が多くなりすぎないよう心がけることが大切です。

 

③栄養不良に気をつける

脳の働きは膨大な数の神経細胞が電気信号をやりとりすることにより行なわれます。その時に必要になるのが栄養です。インスタントラーメンやおにぎりなど炭水化物に偏った食生活を続けていると、神経伝達物質が不足したり上手く受け渡しが出来なくなったりして、イライラしたり、キレたり、衝動を抑えられなくなったりします。

脳の神経細胞も、セロトニンやドーパミンなどという神経伝達物質も、すべて「食べたもの」から作られています。ですから原料となる栄養素が不足すれば、脳はたちまち正常に働かなくなり、異常が生じるようになります。

脳細胞を構成する栄養素は脂質が約60%、タンパク質が約40%と、臓器の中でもっとも脂質が多いのです。脂質の内訳はコレステロールが約50%、リン脂質が約25%、DHAが約25%です。神経伝達物質はアミノ酸などから出来ていて、ビタミン、ミネラルもその生成には欠かせません。セロトニン・ドーパミンなどの神経伝達物質がバランス良く働いていると、精神面も体調も安定します。

日本では、栄養によって脳を健康にするという考え方はまだ一般的ではありません。しかし海外では「ブレインフーズ」と呼ばれる栄養素を摂ることで、脳の健康を維持するという考えが広く知られています。

ご飯や麺類、パンなどの炭水化物が多すぎませんか?コンビニ弁当やインスタント製品、冷凍食品の頻度は多くありませんか?お菓子をたくさん食べていませんか?野菜や海藻はちゃんと食べていますか?

これらのことに注意して、食生活全体を見直し、必要な栄養の摂取に努めることが大切です。

 

④暮らしの化学物質に注意する

現在、私たちの暮らしは様々な化学物質に囲まれています。そうしたものの中には、細胞の代謝に関わるホルモンに作用して、その働きを低下させるものがあることが知られています。

例えば、胎児の段階で甲状腺ホルモンが低下すると、脳の発達や分化に影響して多動症を引き起こすことがあります。甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンの一つであるトリヨードチロキシンは胎児の脳の発達・分化に関わりますが、ダイオキシンやPCB(ポリ塩化ビフィニル)などの環境汚染化学物質が、このホルモンの作用を低下させることがわかってきました。つまり、環境汚染化学物質も発達障害や多動症の原因のひとつと考えられるのです。

人が1日に摂取する物質の80%は、周囲の空気から取り込まれるといわれています。家庭内の空気汚染を減らすことも発達障害や多動症の原因を取り除き、症状の緩和につながります。建材や家具、壁紙などの接着剤、合成樹脂、消毒剤、防腐剤、脱臭剤、タンスや押入れで使う防虫剤などの製品を選ぶ時にはその品質に注意し、危険なものは使用しないこと。赤ちゃんが生活するスペースや、子供部屋など、これらの化学物質が揮発しない環境を用意してあげることが大切です。

 

今、改めて思うのは、社会現象というものは、私たち自身が作り上げているものです。近年増えている多動児の異常行動だって、もとはと言えば、私たち大人が作り上げてしまった社会の中で起こるもの。そういう意味では、大人である私たち全員に責任があります。すべての子供たちはこの星の未来を担う大切な財産。その財産を健やかに朗らかに守り育む上で、求められるのは私たちの意識の転換と新しい行動です。ともに改善の一歩を歩み始めましょう!

 

 

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