このところ、クライアントさんからよくご相談をいただくのが「お腹のトラブル」。
中でもお腹が痛むとか、便がゆるいという症状。
夏の間は、その暑さゆえ、気がつけばカラダを冷やすものを多く摂りがち。生ビール、アイスコーヒーにアイスティー、アイスクリーム、ひやむぎ、ソーメン、冷やしラーメン・・・。
それらに共通するのは、ズバリ「お腹の冷え」を溜め込む飲食物であるということ。知らず知らず摂っていたものにより、カラダの深部に冷えが生じてしまうのです。そして、秋になれば夏の間に溜まった冷えの影響でお腹がトラブるというわけ。
悪いものを食べたり、細菌に感染した場合も、それらを体外に排出するために「下痢」になります。今回は、そんな下痢が起こるメカニズムとある食べ物を使ったカンタンな対処法についてお伝えします。
下痢という現象。よく考えてみると、それは「大腸を経由した水分の排出現象」と言えます。そして、下痢によってカラダの外へと排出される水分の多くは血液からもたらされます。血液から水分を排出すると、手先・足先など末端への体熱の移動が抑えられてカラダの中心部の熱を逃しにくくし、それにより体温を上げやすくするのです。
つまりは、急にカラダが冷えてしまった緊急事態において、カラダはあえて熱を逃がしてしまう手足への血液の流れを抑えて、お腹の周りの最も大切な部分だけを局所的に温めようとしている反応とも言えるのです。冷えるとおしっこが近くなるのも、実は水分の体外への排出が目的なのです。
実際に、あなたにもし下痢する機会があれば(笑)、その時、手先足先の温度を観察してみてください。きっと冷えているのに気がつかれることでしょう。体内から水を捨てて、血液の巡りをあえて抑え、熱が逃げてしまうことを防いでいるカラダの叡智に感動を覚えられることでしょう。
つまりは、下痢という現象は、「お腹が冷える」という生命を脅かす状況に対応するため、カラダがカラダ自身を温めるために行う防御反応である、と言えるのです。
ちなみに、発汗による水分の排泄の場合は逆に「体熱を奪ってカラダを冷やす」という目的のための反応です。いずれにしてもカラダはちゃんと必要なことを知っていて調整するために下痢をしたり、発汗したり、発熱したりしているのです。それをむやみやたらに薬で症状だけ抑えようとするのは大間違い。そうしたカラダの偉大なる働きを信頼して、慌てず騒がずじっくりと回復を見守る意識も必要なのではないでしょうか。
ただね。下痢が続いてしまうと、トイレに通う回数も多くなり、トイレットペーパーを使いすぎて、肛門周辺の粘膜や皮膚を荒らして痛みを発することがあります。こうした状態は、摩擦という「物理的刺激」も原因となるのですが、もう一つ「科学的刺激」も原因となります。
というのは、下痢の便は総じてアルカリ性だから。それは下痢に含まれる「腸液」というのが強いアルカリ性を持っているからなのです。平常時は腸内の乳酸菌群がせっせと糖を分解して酸を産生し、アルカリを中和してくれます。しかし、下痢になるとこのアルカリ性が強まってしまうのです。
強いアルカリ性は、人間のカラダのもととなる大事なタンパク質を溶かしてしまいます。なので、できれば下痢の時こそ紙で拭くだけでなく、ウォシュレットなど利用し、水を使ってアルカリ性の腸液を洗い流すようにしましょう。
さて、下痢のメカニズムとそれから生じるトラブルについてお伝えしたところで、今度はそれをどう解決するかについてお話しましょう。下痢は改善したい、さりとて化学合成された薬は使いたくない、そんなあなたのお役に立てる知恵がマクロビオティック健康法の中にはいっぱいあります。
今回、私がおすすめするのは、ジャーン!!「梅醤くず」。
あなたの家のキッチンには「葛粉(くずこ)」がありますか?
葛粉は、高級和菓子の材料としても用いられ、味が良いのはもとより冷えたカラダを温めたり、緩んだカラダを引き締めてくれるありがたい働きがあります。
一般には料理する時にとろみをつける調味料のイメージをもたれる人も多いでしょう。しかし、とろみをつけるなら高い葛粉よりも「片栗粉」の方がより安価だからとそればかり使い、葛粉など今まで一度も使ったことなどないという若い人も多いようです。しかし、葛粉と片栗粉ではその原料や働きが全く異なります。
下痢を改善する特効薬「梅醤くず」をご紹介する前に、まずは葛粉と片栗粉の違いについて整理しておきましょう。
●片栗粉とは?
片栗粉は本来、ユリ科の多年草・片栗(カタクリ)の根から得られるデンプンを精製した調理用の粉を指します。しかし、現在、市場に出回っている片栗粉の多くはジャガイモから取ったデンプンです。カタクリから取った本物の片栗粉の生産量はごくわずかで、非常に高価なため、大量に生産できて安価なジャガイモが原料になるのです。
マクロビオティック的にみれば、ジャガイモは陰性な性質が強く、カラダを冷やし緩めるものと捉えられます。デンプンは加熱によって水を含んで糊化するため、この性質を使って料理にとろみをつけるために使われます。
●葛粉とは?
対して、葛粉(くずこ)は、マメ科の多年草、寒根葛(かんねかづら)の根から取れるデンプンを精製して作られる粉です。和菓子や洋菓子の材料、和食のとろみづけにも欠かせません。
葛粉は葛の根を山から掘るところから始まり、精製する過程で根を粉砕し、水にさらしてデンプン質を沈殿させます。水を替えながらこれを何度も繰り返した後、日陰で乾燥させて製品にします。冬場の水温の低い時期しか製造ができず、60キロの根からわずか9グラムしか取ることができません。信じられないくらいの手間と労力、コストがかかり、その上、希少なのです。
本物の葛の根から作られる粉は「本くず粉」と呼ばれ、なめらかで大変口当たりが良いもので片栗粉とは比べ物になりません。しかし、一般に「葛粉」として販売されているものの中には、小麦やサツマイモ、ジャガイモのでんぷんを混ぜている商品もあるので、必ず品質表示を確認の上、本くず100%のものをお選びください。
マクロビオティック的にみれば、葛は片栗粉とは真逆の、カラダを温めたり引き締めたりする陽性よりの中庸食品といえ、健康維持のため定期的に摂りたい食品の一つとなります。
なので、下痢の改善を目的とするならば、片栗粉ではなく葛粉。しかも、原料が正真正銘の葛の根である「本くず」を用いることが大切なのです!
さて、それではいよいよ下痢の特効薬「梅醤くず」の作り方をお教えしましょう。
マクロビオティックにおいて、「梅醤くず」は血液を強化し、消化・吸収を助け、エネルギーを回復させる飲み物としてすすめられています。下痢や便秘などの消化器のトラブルのみならず、アレルギーや貧血、アトピー性皮膚炎、糖尿病、血液の疾患などにも良いとされます。
<用意する材料>
・本くず粉 小さじ1杯
・梅干し 1/2~1個
・本醸造醤油 小さじ1/2
<作り方>
①小さじ1杯の本くず粉を小さじ2~3杯の冷たい水に溶いてから、さらに1カップの水を加えて溶かす。
②これをごく弱火にかけて沸騰させ、液が透明になるまで2~3分、木のスプーンかヘラでダマにならないようにかき混ぜる。
③梅ぼし1/2~1個の種を除き、刻むか、すりつぶしてペースト状にしたものを中に加える。できるだけ弱火で。
④醤油を数滴から小さじ1/2杯ほど加え、静かにかき混ぜ、さらに2~3分煮てカップに移し、熱いうちに飲み干す。
これを症状が落ち着くまで1日に1~2杯飲みます。
これ、マクロビオティックのもう一つのお手当ドリンクである「梅醤番茶」よりも断然飲みやすく、葛のまろやかさと甘みがなんとも言えず優しくてクセになります。
前述した下痢に悩むクライアントさんたちですが、多くの方がこの梅醤くずを飲んで数日のうちに、早い人ならその日のうちに症状が改善して夏の疲れを吹き飛ばし、爽やかな秋へとシフトされるのはいうまでもありません。
お腹のトラブルの救世主「梅醤くず」、ぜひ覚えておいてください。あなたも熱々のやつをぜひ一杯!
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