これからの季節、楽しみなもののひとつに「みかん」があります。
みかんは日本の冬の代表的な果物。あの甘酸っぱい爽やかな味覚は人を元気にします。その原産地は、現在のインド、タイ、ミャンマーあたり。しかし、最初に栽培を始めたのは中国人で、約3000年前の古い文献にその記述が残っています。日本でも歴史は古く、「日本書紀」や「魏志倭人伝」にも果物としての橘(たちばな)が登場します。
みかんはビタミンCの宝庫で、食べて健康に良いのはもちろんですが、昔むかし、この国のおばあちゃんたちは、皮も大切にしたものでした。
みかんの皮を天日や日陰干しにして乾燥したものを陳皮(ちんぴ)と呼びます。この陳皮は、体内の老廃物を排出し、血液のめぐりをよくする漢方薬として知られています。
本場中国では、熟したミカン科のマンダリンオレンジの果皮を干したものを指しますが、日本薬局方においては、温州みかん又はマンダリンオレンジの成熟した果皮と定義されています。
漢方では、香りの効果で消化器を強くしたり、食欲不振、鎮咳薬、嘔吐、頭痛などに用いられます。一般には、乾燥させてから1年以上経ったものが生薬として使われます。
作り方だってさほど難しくありません。無農薬のみかんが手に入ったら、ぜひこの陳皮、あなたも作ってみませんか?
作り方は簡単。皮がついたままお湯でよく洗います。そして水気を拭きとり、むいた皮をザルに並べて、天日か、日の当たる室内に干します。皮がカラカラになったら、細切りにして保存します。空気が乾燥するこれからの季節は陳皮作りには格好の時期です。少し多めに作っておけば、いろいろなものに活用することができます。
今回はそんな陳皮の活用法をご紹介します。
茶漉しに乾燥させた陳皮を入れてお湯を注ぐと、たいへん香りの良い「みかん茶」ができます。 煮出す手間がないので手軽に飲めます。乾燥させることで生のみかんよりも香りが深く、味も良いのです。お茶代わりに飲めば、風邪予防になるだけでなく、胃腸の働きも良くなります。
また、油を使った料理を食べる前にみかん茶を飲むと、皮に含まれる成分が効率よく使われるだけでなく、脂肪の吸収が緩やかに抑えられます。脂肪の代謝をスムーズにしてくれるのです。
陳皮をすり鉢ですったものを、みそ汁やご飯にふりかけて食べると、爽やかな香りが食欲を増進させ、体の抵抗力を高めてくれます。これからの時期、たくさん作って冷蔵庫で保存すれば、1年中このふりかけを食べることができます。 また、ふりかけを肉の煮込み料理に入れると、脂肪分を吸収してさっぱりさせ、消化を助けてくれます。
陳皮を両手にとり、布袋に入れて、お風呂に入れます。ぽかぽかとカラダが芯から温まり、香りの効果でリラックスできます。陳皮がない場合、生の皮を使っても香りと保温効果は期待できます。
みかんの皮には、「リモネン」という精油成分が含まれており、お風呂に入れることで成分が浸み出し、その酸化防止効果によって、美肌美白作用があります。
リモネンには血行促進作用や保温作用もあり、身体をポカポカにして湯冷めを防ぎ、寝付きを良くする働きや風邪予防にも効き目があります。神経痛やリウマチなどの痛みも和らぎますよ。
また、みかんの皮に含まれる「ヘスピリジン」には、喘息やアトピーなどのアレルギーを改善する効果もあり、さらにはビタミンCやクエン酸も豊富なので、ニキビ肌荒れを治し、体臭を消すのにも一役買ってくれます。
リモネンには、汚れを落とす効果や汚れを吸着する効果があるので、水垢の防止になり、お風呂掃除が楽になるのも特筆すべき点です。
さて、これほど優れたみかんの皮ですが、用いるうえでの注意点がひとつあります。
柑橘類の皮に含まれるリモネンやソラレンという成分には、紫外線を吸収して色素沈着を起こすなどの肌トラブルの原因となる光毒性があります。時間をかけて乾燥させた陳皮を用いる場合はそうでもないのですが、生のみかんの皮を用いる場合は、肌にシミを作る場合があるのです。
これを防ぐには、みかん風呂に入った後、すぐに日光を浴びないこと。
ジューシーな無農薬みかんの美味しさを味わった後、陳皮を風呂に入れて湯船に浸かる悦楽。
★ついでにポチッとして頂けたらうれしいです。ありがとうございます。
コメント