現代に伝わる不思議な話
あなたは東京都豊島区巣鴨にある曹洞宗の寺、萬頂山高岩寺をご存知でしょうか?
いかにもしかつめらしいこの寺の名前に一瞬緊張が走り、脈拍が高くなって脇汗をかかれた方も一定数おられるに違いない。けれど心配しなくてもいいのです。この寺こそは「トゲぬき地蔵」の愛称で庶民から愛されている延命地蔵菩薩のご本尊なのであります。
昔々、小石川の田付又四郎という人の妻が、産後の容態が悪くていろいろな手当をほどこすも効果なく、日頃信仰している地蔵尊を熱心に祈願したところ、ある晩、黒衣の僧侶が枕元に立ち、「私の像を川に流しなさい」と告げ、「印像を与える」といったそうな。
目覚めると、枕元に地蔵尊を刻んだ小さな木片があり、これで一万体の御影を作って川に流したところ、妻の病気は回復し健康になった。
この話を聞いた西順というお坊さんが、その御影を是非頂戴したいというので、田付氏は、これを2枚差し上げた。しばらく経ったある時、西順と親交のある毛利家の女中さんが誤って針を呑み込んでしまったため、この地蔵尊の御影を飲ませたところ、御影を貫いた針が吐き出されたそうな。
トゲ抜き地蔵に頼らなくても大丈夫
…この御影の霊験が「とげぬき地蔵」の由来といわれています。
しかし、今は令和5年。霊験あらたかな御本尊は秘仏のため非公開なので残念ながら直接拝むことはできません。しかし、寺の前でお線香を焚いて煙を浴びたり、御本尊の代わりに設置された「洗い観音」を撫でることは可能です。また、御本尊の姿をかたどった御影にも延命のご利益があるそうで、本堂を参拝した後、脇の窓口で100円を納めれば、紙に描かれた御影を5枚もらえます。これは「飲むお札」として知られており、からだの悪い所に貼るだけではなく、口から飲み込むと効力を発揮するそうです。
でも、高岩寺から遠い所に暮らす人には無理な話。では、遠くに離れた人にはトゲを抜いたり、病気を直したりするご利益が得られないのかといえば、さにあらず。日本全国どこにいたって、ご利益は得られるのです。では何によってご利益が得られるのか?
…それは、食べ物です!
知恵ぐすりを活用しましょう
幼い頃、私が体調を崩すと、母や祖母はその不調に合わせた料理をつくってくれたものです。風邪をひけばからだを温めてくれるショウガ湯や、下痢になった時には胃腸をいたわるリンゴの葛湯。台所にはさまざまな食材を漬けた薬酒が並び、軒先には四季折々の野草や野菜が干されていました。 でもこれは、何もうちが特別ということではありません。ひと昔前の日本の家庭ではごくごく当たり前に見られた光景なのです。
私たち日本人は、身の回りの食材に備わる「健康を支える力」を引き出して用いる術を長い歴史の中で編み出してきました。 先人にかかれば、道端に生えているのは雑草ではなく薬草、野菜の皮だって生ゴミではなく薬です。 先人の知恵の結集ともいえるそれらはまさに「知恵ぐすり」。
知恵ぐすりは、先人が先祖代々伝えてきた民族の知恵の結晶であり、宝です。食材のもつ薬効がきちんとからだに作用して理に適っています。 まだ栄養学や科学が発展していない時代から、体験的に必要な食べ物を私たちの祖先は取捨選択してきたのです。しかし西洋医学が根づくことにより、知恵ぐすりの数々は台所から追いやられてしまい、今では、頭痛薬、胃薬、鎮痛剤といった市販薬とサプリメントが、家庭の救急箱に入っています。
私たちのからだは、毎日の食事によってつくられています。 ご飯がエネルギーになり、肉や魚が細胞をつくり、野菜が体の機能を保ってくれる。だからこそ「ちょっと具合が悪いかな」といった程度の不調ならば、医者や薬、ましてやトゲ抜き地蔵に頼らなくても、食材の力を借りることで改善できるのです。
トゲを抜くならこの食品
今、自分はどんな不調を患っているのか?それを癒すためには、何をどう用いるべきなのか?。自分のからだに向き合い、その声に耳を傾けることは毎日を丁寧に暮らすことにつながります。食材の薬効を活かす 「知恵ぐすり」を上手に活用して健やかな暮らしを楽しむ人が増えれば、この国は文化的にも再び豊かになります。
夏場は何かと野外活動が多く、無意識に植物や木のささくれに触れ、トゲが刺さってしまう機会があったりします、では、トゲが刺さってなかなか抜けないなんていう時にはどうすれば良いか?
知恵ぐすりでは主に2つの食品を用いてトゲを簡単に抜くことができるのです。それをご紹介しましょう。まず1つ目は「はちみつ」、2つ目は「そば粉」です。順に説明しますね。
はちみつでトゲを押し出す
深くまで刺さり、なかなか抜けないトゲというのはあるものです。ジンジンした痛みも気になり、イライラは募るばかり。 そんな時、使ってほしいのが「はちみつ」です。方法は超簡単。患部にはちみつを塗ってしばらく放っておくだけ。実ははちみつには傷ついた皮膚が傷口を塞ぐのを促す力があり、その働きによって皮膚が自然とトゲを押し出そうとするのです。放置しておく時間は、そうですね、10分くらいでしょうか。見事に抜けます。
ただし、この方法、1歳以下の子供さんに用いてはいけません!理由は、1歳以下の乳児だと、はちみつを食べることによって乳児ボツリヌス症にかかることがあるからです。もちろん、はつみつは栄養価の高い食品なのですが、赤ちゃんにリスクが高い食品となるのです。
乳児ボツリヌス症は食中毒の一種ですが、国内では、保健所が食中毒として報告した例は1986年以降3例、医師が報告した例は1999年以降16例あります。また、アメリカでは毎年100 例以上の報告があります。便秘が数日間続き、全身の筋力低下、脱力、哺乳力の低下、泣き声が小さくなる、顔面は無表情となり、頸部筋肉の弛緩により頭部を支えられなくなるといった症状を引き起こすことがあります。 ほとんどの場合、適切な治療により治癒しますが、まれに亡くなることもあります。
ボツリヌス菌は熱に強いので、通常の加熱や調理では死にません。誕生後数年を経て成長した幼児や小児、また大人になってしまえば神経質になることはありませんが、1以下の乳児には与えないようにしましょう。
ソバ粉でトゲを吸い上げる
そば粉もトゲには優れた効き目を発揮します。ここでご紹介する「そば粉の酢練り」も、昔から日本人が行ってきた伝統的な手当て法です。これも方法は簡単。お酢を加えてドロドロになるまで練ったそば粉をトゲの上にのせてしばらくおいておくだけ。そば粉とお酢が肌の水分とともにトゲを吸い上げて抜けやすくしてくれるのです。こちらも10分ほどトゲのある患部にのせておくだけ。無事にトゲが取れた後は傷口の消毒も忘れないでください。
多くの日本人がこのような伝統的な手当法を、現代に復活して自分たちでトラブルに対応できるようになったら、きっと高岩寺のトゲ抜き地蔵さんも商売上がったりで真っ青になるに違いありません!(笑)
⭐️ なんとネットでは、東京巣鴨でしか手に入らないあの「とげぬき地蔵茶」が購入できると知った。巣鴨の実店舗でも大変人気のお茶。香り高く注いだ時のお茶の色が実に良い。独特の苦味もファンにとっては堪えられない魅力であろう。敬老の日のプレゼントとしてもありだと思う。
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