ポテトチップスがカラダに良くない理由とその対策

食と健康

 

突然ですが、あなたはポテトチップスが好きですか?

あのなんとも言えない塩と油、そしてジャガイモデンプンとが織りなす魅惑のハーモニー。そう、私も子どもの頃から大好きなスナックでした。バリバリ自然食志向のわが家においても、他のお菓子に比べると砂糖など使っていないことから、親からも多少容認されていたポテトチップス。

しかし、このポテトチップスが健康を考える上ではあまりよろしくないスナックであると言ったなら、あなたはそれを聞いてたじろがれるでしょうか?

今回はそんなポテトチップスの話題であります。




■高温の揚げ油が過酸化脂質を生み出す■

私たちの大好きなポテトチップスは加工食品に分類されます。加工食品の危険性としてまず触れたいのは、過酸化脂質の害についてです。加工された食品には高温の油で揚げたものが大変多く、スーパーやコンビニで売っている弁当などもよく見てみると圧倒的に揚げ物が多いです。

揚げ物を食べるということは、最近知られるようになったトランス脂肪酸の害に加え、この過酸化脂質を摂りこむ危険性の問題があります。過酸化脂質は油と活性酸素が反応してできたもので、体内で大変な毒性を発揮し、それをできるだけ無毒化しようと私たちのカラダは酸化を食い止めるための抗酸化物質を総動員して働かなければなりません。

「抗酸化」とはわかりやすく言うと「カラダのサビを防ぐこと」。カラダのサビがなぜ起こるのかと言えば、それが「活性酸素」によって引き起こされるのです。

私たちが普段吸っている空気の約20%は酸素で、その多くはカラダの中でエネルギーとなります。そして取り入れた酸素の約2%が活性酸素になりますが、その全てが悪さをするわけではありません。ほとんどは体内に侵入した細菌から強い酸化力で体を守ったり、酵素の働きを促したりと健康を維持するために働いてくれます。

しかし、ストレスや薬物、誤った食事などにより活性酸素の量が増え過ぎてしまうと、酸化力が強力になり過ぎてこれが細胞にダメージを与えるのです。まさにこの「酸化」がサビのようなもので、美容面ではシワ、しみ、くすみ、白髪などの見た目の老化や、免疫力を低下させ生活習慣病や動脈硬化、ガンなどを引き起こす原因となってしまうのです。

 

■高温により変質してしまう食品■

活性酸素に対抗する抗酸化物質というのは、本来、より活性の強い活性酸素の害を除去したり、炎症が起きた時に速やかにそれを食い止めたりといったいわば体内の緊急事態を回避するために働かなければならない救急隊員のようなものなのです。

にも関わらず、誤った食生活によって活性酸素を普段から摂り続けているとそれを無毒化する作業のために使われてしまい、抗酸化物質がすべき本来の働きができなくなって、その結果、健康のレベルが大きく低下し、長く続けば病気になるリスクもすこぶる高くなるというわけです。

また、高温で揚げた食品というのはタンパク質が変性していることが多いもので、その害を受ける可能性も当然出てきます。一般的に揚げ物は180度の高温で揚げるものが多いですが、カラッと揚がっているものの方が美味しくて売れるがゆえ、外食産業やお惣菜なんかの場合、作る側はもっと高温で調理している可能性だってあります。

しかし、160度で揚げたものと180度以上の高温で揚げたものでは、変性の度合いが大きく異なるのです。高温になればなるほど変性の度合いもまた大きい。外食や外から買ってくるお惣菜を食べる機会が多いということは、それだけ大量の過酸化脂質とともに変質してしまったタンパク質を多く摂りこむことにもなります。

 

■「アクリルアミド」の発生がポテトチップスの問題点■

高温による変性の問題はタンパク質だけではありません。例えば、ジャガイモが含んでいるデンプンを高温の油で揚げると「アクリルアミド」という発がん性の疑いのある有害物質が発生してしまうのです。

ジャガイモを高温で揚げた食べ物といえば、そう、あなたも私も大好きなあのポテトチップス、それにフライドポテトにほかなりません!私たちは知らず知らず口にする大好きな食べ物から発がん性物質を摂り込んでしまっているわけなのです。

では、高温の油で揚げる調理法がダメならば、油を使わずオーブンで焼いたならどうなのだろう?そんな素朴な疑問も浮かんでまいります。オーブンだって、通常は200~250度という高温で調理するので高温であることには変わりはありません。しかし、熱い油の入った天ぷら鍋とは異なり、オーブンの中は空気や食品から蒸発する水分が存在するため、高温の油が直接ジャガイモと触れるのとは意味が異なります。

ベイクドポテトならアルミホイルなどで包んで蒸し焼きにしますし、グラタンならばジャガイモの周りにホワイトソースが絡まります。もしかしたら高温によるアクリルアミドが発生しないとも限りませんが、当然それは揚げ物ほどの量になることはないでしょう。しかし、ポテトチップスが問題なのは、ジャガイモを極端に薄くスライスしてしまうがゆえにジャガイモ本体がほとんど吸取り紙のように油を吸収してしまい、高温の油と直に接しない部分がない状態で調理されてしまう点にあります。

 

■ポテトチップス好きが気をつけたい3つのこと■

では、一生あの大好きなポテトチップスを食べることは叶わないのか?

いいえ、私はそこまでは言ってません。私たち人間はホモ・サピエンス。ホモ・サピエンスとはラテン語で「知恵のある人」という意味を持ちます。私たちはモノゴトのプラスとマイナスとを十分知った上で、上手にそれをバランスしていけば良いのです。

ピューマほど早く走ることのできない人間は自動車を発明し、アクセルとブレーキという正反対の機能を駆使してピューマ以上に早く、しかも安全に長い距離を移動できるようになったではないですか。

というわけで、ポテトチップスをこれからも食べ続けたいあなたのために気をつけたほうが良いポイントを3つに絞ってまとめてみました。次の通りです。

 

❶ポテトチップスを食べるのはほどほどに。(毎日はいくらなんでもやめましょう)

❷ジャガイモが好きなら揚げる以外の調理法を考えよう。

❸ファイトケミカルやビタミン、ミネラルを豊富に含んだ抗酸化食品を意識して食べよう。

 

■アクリルアミドは毒、しかし我慢もまた毒■

・・・いかがでしたか?

誰でも取り組めそうでしょう。❸の抗酸化食品についてですが、あなたはどんなものをイメージされますか?

おすすめできるものはいくつかありますが、具体的に言うなら、トマトやアボカド、人参をはじめとする緑黄色野菜、大豆製品、ゴマやナッツ類、ベリーや柑橘系のフルーツ、ルイボスティーや緑茶など良いと思います。いずれも植物性の食品です。どうしてもポテトチップスを食べる習慣がやめられないというあなたは、ぜひ意識してこれらの食品を日常摂りこまれることをおすすめします。

 

さんざんポテトチップスの害について述べてきた私だって、決してポテトチップスを「悪」と決めつけて憎んでいるわけではありません。自分自身の幼い頃を思い出せば、いつだって笑顔のそばにはポテトチップスがありましたから。アクリルアミドの存在を知ってしまった今でこそ昔ほどには大量買いすることはしませんが、それでも年に数回無性に食べたくなることはあります。

アクリルアミドは毒だけれど、しかしまた無理な我慢も人にとって毒なのです。

そんな時には私も、少し郊外にある自然食品店へと車を飛ばし、ショッピングカートの中にこっそりオーガニックのチップスを一袋入れます。もしもあなたがある日、そうしていそいそとレジへと向かう私を見かけたなら、その時は声をかけずにそっと見逃してください。

 

 

 

やはりオーガニック製品の充実というものは、いまだ海外においてのみ実現しうるものなのか?日本のメーカーさんにもがんばって欲しいなと願いつつ、私は今日も美味しくパリパリやってます。

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