服用する薬の種類が恐ろしいほど増えていく理由

健康への道

 

思うに、おそらく病気というものは、太古の昔からありました。

しかし、ここ100年くらいの間に、その質が大きく変化してきたのではないかと感じています。それは、病気にも「自然な病気」と「不自然な病気」の二つがあって、最近、特に多いのは「不自然な病気」ではないかと思うのです。

いわば、「多くの現代病はナチュラルではない不自然な病気」

なぜそう思うのか?

西洋における17世紀のニュートンの登場、そしてそれに続く18世紀の産業革命以降、科学というものが大きな発展を遂げ、医学もそれにともない高度に発達しました。そして、私たち人類は今までその恩恵に浴してきたわけですが、同時に失ってしまった「大切な視点」というものがあります。それは何か?

・・・「全体とのつながり」です。




■中心から離れ、迷走する人類

全てのものは、互いに関連し合いつながって存在しています。しかし、科学とは観察する対象を観察者である自分とは切り分け、分析することによって、人類に益する要素を抽出していく学問です。これは現代医学についても同じことが言えます。

切り分けることにより新しい事実が見出され、それが人類の幸福に寄与するのはもちろんありがたいことです。しかし、そこから得られる恩恵があまりに飛躍的でエキセントリックだったため、人類は長い間、自然とのつながりや全体とのつながりを忘れてしまいました。

エキセントリックという言葉は、普通じゃないことを意味する英語で、語源はギリシア語の「中心から外れる」という意味の言葉です。まさに私たちは、信じられないほどの便利さや、夢のようなその効用にひれ伏し、なかば妄信的に科学や現代医学を暮らしの中に取り込んできました。

その結果、何が起こったか?

人類の健康問題に関して言えば、それぞれの地域で平均寿命は伸びたものの、病気や疾病の種類は増え、男性の精子の数がどんどん減り続けているのです。

 

■平均寿命も医療費も共にうなぎのぼりという現実

少し古いですが、こんなデータがあります。

1901年、アメリカ合衆国における平均寿命はわずか49歳でした。しかし、2000年には77歳となり、100年間で57%も伸びました。多くの人は、これは暮らしが良くなり人々が健康になったからだと思うことでしょう。

しかし、それは半分正解、半分不正解と言えます。なぜなら、寿命が伸びた理由を調べると、それは食料の安定供給や衛生面の改善、また救急医療により乳幼児死亡率が下がったことが主たる原因で、そのあたりを考慮すると、実際には平均寿命がわずか2、3年伸びたにすぎないからです。

いや、むしろ、昔に比べて寝たきり老人は確実に増え、延命治療が行われます。平均寿命が伸びたように感じられるのは、そうした延命治療の要素も大きいと言えるでしょう。おまけに年々増大する医療費が国家財政を益々圧迫します。健康に関して言えば、大変心もとない状況にあるというのが私たち現代人の暮らしの現実なのです。

 

■全世界で減り続ける精子の数

上がり続ける平均寿命と医療費。それに対し、年々急速な勢いで減り続けているものがあります。

それが男性の精子の数です。例えば、アメリカ合衆国の健康な男性を対象にしたある研究によれば、1901年から2001年までの100年間で精子の数が驚くべきことに50%も減っているのです!

同様にイスラエル・ヘブライ大学の調査でも、1973年から2011年までの間に、北米、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドなど6大陸50カ国に住む4万2935人の健康な男性を対象にしたデータでは、38年間の比較で、精子が9900万/mlから4710万/mlに減っているとの報告がありました。これは実に59.3%の減少で、一年間で1.4%ずつ精子が減っている計算になります。

しかし、研究チームは、調査の結果、精子の数や濃度が減少した原因を全く明らかにしていません。生活スタイルの変化による内分泌異常や、農薬や化学物質などの影響など原因として考えられることは多々ありますが、真の解明には至っていません。

 

■なぜこの世から病気がなくならないのか?

現代において、それほど人類の健康は向上していない。いや、むしろ不健康になってさえいる、私はそんなイメージを持っています。

その理由の一つは、多くの人が健康不安を持って毎日を暮らしているから。思うに私たちの意識というのは、対象とするものが当たり前に存在するのものであれば、過度に気になるということはありません。

例えば、普段あなたは心臓を意識して生きていますか?

ほとんどの人は、日常、心臓を意識することはないと思います。なぜなら、それは心臓が問題なく動いてくれているから。しかし、狭心症の発作や心筋梗塞の強い痛みなどを感じた場合、私たちの意識はダイレクトに心臓に集中します。

現在、これほどまでに健康に関心をもつ人が増え、健康法がブームになること自体、多くの人が健康に対して不安を持っていることの現れではないかと思うのです。では、なぜそのように不安をもつ人が増えてしまったのでしょう?

それは、現代医学が症状を追いかけてばかりいて、病気の原因を見ようとしないから。

病気を治すのではなく、症状を消すのに終始しているお医者さんが非常に多い印象を受けます。これは人間のカラダをパーツとして捉え、全体として見る目を失ってしまったからだと思います。お医者さんも、専門分野における知識量はものすごいのですが、専門性に特化しすぎるがゆえ、生命の全体性や自然や環境との相互のつながりを忘れてしまっているように感じるのです。

結果、病気の真の原因は放置されたまま、押さえ込まれた病症はまた別なカタチで猛威をふるい、病気はこの世からなくなりません。それゆえ、誰もが何かしら健康不安を抱えている。情報ばかりが溢れる世の中で考え方の軸がブレて病気になったり、不幸になったりする人が増えているのです。

 

■血圧が高くなった時、病院から与えられる薬と副作用

例えば、現代医学において、人が心臓病になって血圧が高くなった場合、どのような治療をするでしょう?

考えられるのは、検査した後「お薬を出すこと」です。心臓に関しては少なくとも4種類のお薬があります。お医者さんによってこれらを一つ、あるいは組み合わせて用いるのが一般的です。しかし、どれもがカラダに変化をもたらす反面、副作用をともなうのです。

 

①利尿剤を与える

利尿剤によってカラダからはたくさんの尿が排出されます。尿が排出されるというのは水分量が減ること。血液も水分を含みます。それによって血管を通る血液量が減り、血圧が下がります。

<副作用>

・頭がボーッとする。・男性の勃起現象は、海綿体における血流の増大によるもの。ゆえに血液量が減れば、勃起不全を招きます。

 

②カルシウム拮抗剤

拮抗剤によって血管が拡がります。血管が拡がれば血液の流れがスムーズになって血圧が下がります。これは拮抗剤が平滑筋のカルシウムチャンネルを阻害して組織を拡げることにより起こります。

<副作用>

平滑筋は血管だけでなく、消化器や呼吸器, 泌尿器,生殖器などにも広く分布しています。そのため、カラダ全体の平滑筋の収縮弛緩のバランスが狂い、その影響は心臓にも及びます。結果、なんと拮抗剤を与えない時に比べ60%も心筋梗塞の発生率が高まるのです!

 

③交感神経β受容体遮断薬

心臓の筋肉の力を弱めることによって、血液を押し出す力を弱め、結果、血圧が下がります。別名βブロッカーと言います。

<副作用>

血液が鬱血し、心不全を起こしやすくなったり、肺に血がたまることから呼吸困難や肝臓肥大、手足のむくみを招きます。

 

④ACE交換酵素阻害薬

血管の収縮拡張に関わるアンジオテンシンという生理活性物質があります。この物質の働きを阻害することによって血圧が下がります。

<副作用>

副作用としては、からせき、発疹、かゆみ、味覚障害などが起こります。

 

■負のスパイラルへと向かう道筋

さて、それらの薬を使うことでひとまず血圧は下がります。しかし、これでめでたしめでたしとはいきません。それらを長く使えば、当然副作用がともないます。今度はその副作用を抑えようということでまた新たな薬が処方されてしまうのです。

実はここに、近年多くの人々が薬依存の生活から抜けられない理由があるのです。これは全て、医療が症状を追いかけ、原因を見ていないことに起因します。本来、多くの病は普段の生活の中に原因があるもの。

心臓病で言えば、誤った食事からくるコレステロールの蓄積や栄養のアンバランスであるとか、過度のストレス、あるいは運動不足などが長年の時を経て症状として現れることが多いのです。本当ならば、これらの根本原因を改善することが心臓病の治癒や再発の予防となるのは間違いありません。

しかし、これらを顧みることなく、ただ薬でその場の症状を抑えて、生活そのものがなんら変わらなかったとしたら、やがて自体は深刻化し、冠動脈のバイパス手術などの外科的対処を余儀なくされます。またそこから脳卒中を引き起こし、そのための薬がさらに追加されることにもなるのです。

こうしてどんどん症状は負のスパイラルを巻き起こしてしまうというわけです。

 

■おそるべきデータと増え続ける処方薬

ここに興味深いデータがあります。

アメリカ合衆国のある統計によると、1992年の調査で、60歳以上の老人が年間に服用する処方薬の種類は平均19.6種類。それが10年後の2002年には28.5種類に増え、さらに10年後の2010年には、38.5種類にまで増えています。なんと20年間で96%もの伸びを見せているのです。

なぜこれほどまでに薬の種類が増えているのかと言えば、最初の薬は患者さんの症状を抑えるために処方されたものにも関わらず、やがてそれによる副作用が現れ、さらにその副作用を抑えるために新たな薬が処方される、という具合にしてどんどん雪だるま式に種類が増え、使用量が膨らんでいったようなのです。

本当であれば、病気の根本原因は正しい食事や運動、生活習慣などで改善できたはずです。ところがそうしたところに着手せず、薬で症状を抑えてきた結果がこの恐ろしいまでの薬の種類と使用量につながっていることは否めません。

ここから浮き彫りになってくるのは、そうした患者さんを取り巻く現代の医療システムの状況。これはビジネス的に見ればぼろ儲け。処方される薬の増大が、製薬会社、病院、医師、政治家、官僚を含む医療界全体に莫大な利益をもたらしているのです。

このシステムはアメリカのみならず、日本においてもほぼ同じであると考えられます。では、なぜこのような困ったシステムが改善もされずどんどんエスカレートしていく一方なのでしょう?

その理由は、次回述べてみたいと思います。

 

 

 

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