暮らしの革命〜地球に負荷をかけない

もうふた昔前くらいのことになるだろうか、大阪府のゴミ焼却場から大量のダイオキシンが検出されて、マスコミが大騒ぎしたことがあった。ダイオキシンは非常に毒性が強く、生殖や成長面の問題を引き起こす可能性があり、免疫システムやホルモンに障害をもたらし、発がん性もあると報じられたが、いやいやそれほど神経質になることもない、という意見もある。

が、一生活者としては、ダイオキシンのもとになる物をなるべく消費しないことが今の自分にできることと思っている。20世紀後半は、科学の発達や産業革命によってものすごいスピードで暮らしの革命がなされた時代といえる。そもそも、革命なんてものは、王様や政府の圧政や侵略などに対抗して人々が立ち上がってなされたものだが、人類の生活革命は「楽」と「便利」に向かって、まっしぐらに駆けてきた感がある。

その結果、私たちは大量の化学物質を毎日取り込み、男性の精子がかなり減少したり、女性の乳がんや子宮がんが急増しているわけで、そうした問題をみていると、戦争や疫病による危機よりもっとタチの悪い、ジワリジワリと迫ってくる姿なき侵略者のようにも思えてくる。

私たちは常日頃、メディアやコマーシャルによって感情を動かされ、無意識に行動を促されているがそれらが騒ぎ、勧めてくる一見便利な物が、少し考えてみれば、ちっとも必要ない物だったりもする。

21世紀の暮らしの革命は、そう難しいことではない。他人の価値観に流されず、自分の頭で考えて行動すれば良いだけなのだ。そのためには、自分自身の暮らしのコンセプトをしっかりと構築してあらゆる選択にそれを投影すれば良いのだ。それによりダイオキシンの出ない暮らし方を生活術として創造していくこと。革命が必要なのは、私たち自身の頭の中なのだ。

⭐️ ダイオキシンは、もともとベトナム戦争時の米軍による枯葉作戦で使用された枯葉剤に含まれる猛毒だった。そのダイオキシンはベトナムの兵士・民衆はもとより米韓の兵士にも今なお深刻な被害を与えている。しかし、その汚染による被害は戦争のみならず、現代の環境破壊としてこの日本でも広く影響を与え続けている。国際的報道写真家が二十余年の取材で世に問う渾身の一冊！