実在しなかったミイラ
最近、ショックを受けた。岡山県浅口市の円珠院秘蔵の「人魚のミイラ」が、地元大学による科学的調査で「造形物」だと結論づけられたのだ。寺の住職は今の心境について「申し訳ない」と語っているらしいが、私は「青春を返せ!ロマンを返せ!」と叫びたい。
私は幼少の頃、テレビでこのミイラの存在を知ってからミイラに興味を持ち、親に頼んでミイラ図鑑を買ってもらい研究に勤しんだ。成人してからは旅に出て、世界中のミイラの現物をこの目で見てきた。
エジプト、ペルー、インカ、アステカ、中国…。様々な国のミイラを見たが、世界で最も希少価値の高いミイラは日本の人魚のミイラ以外にはないと感じ、日本人である事に誇りさえ感じていた。それが調査の結果、骨格がない、人の手による造形物だというのだ。
有名なネス湖のネッシーといい、コティングリーの妖精写真といい、宇宙人捕獲写真といい、ここ数年、科学的検証あるいは当事者の告白により全て偽物であった事が明らかにされている。オカルト好きの私の好奇心を鼓舞してきたこれら数々の事象は、ことごとく「現実」という名の凶器により殺傷され、最後の砦であった人魚のミイラも、今静かに息を引き取った。
もうこうなったらこれから先、自分自身でロマンを創造するほかはないと思っている。
⭐️ 私がロマンを創造する一つの策として、私自身がミイラになりきるという選択肢がある。しかし、想像しただけでもどんどん世間というものとの間に距離ができそうでいささか怖い。とりあえずはこれを注文して、傍に置き、実行の是非を熟考してみたい。
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