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東日本大震災と風俗嬢

東日本大震災と風俗嬢

あれから11年が経つ。あの悲惨な出来事が起こって僅か数日で営業を再開した風俗店があり、大盛況だった事実は案外知られていない。

「あんな時期に風俗へ行くなんて、だから男は情け無い」そう思う女性もいるかも知れない。しかし、あんな状況だったからこそ、災害で大切なものを失った男達は癒しを求めたのだろう。

震災後、風俗嬢として被災地で勤務した9人の女性へのインタビュー集を読んだ。

ある風俗嬢は両親を津波で亡くし、一時は鬱になったが仕事に復帰した事で生きる望みを取り戻した。客から優しい言葉をかけてもらったり、客の壮絶な体験談を聴くうち、彼女は店のブログに自身の境遇を綴り始めた。やがて、「この女性になら自分の気持ちが分かってもらえる」と感じた男性達からの指名が入るようになった。彼女は客のどんな凄惨な話にも耳を傾け、時には一緒に泣いた。苦しみや悲しみを共有できる人がいる事実は絶望の淵にいた男達にとってどれ程有難く、心強かった事だろう。

風俗店は、現実世界とは一線を画した特殊な世界。だからこそ男達は現実では晒せない素の苦しみや自分の弱さを露わにできる。彼らは性的な繋がりのみならず、人としての結びつきを得て、生きる力を奮い立たせていたのかも知れない。

いつの世も、人には人が必要なのだ。

今日のこの日、災害で亡くなられた全ての御霊に鎮魂の祈りを捧げ、生きとし生けるもの全ての幸いと世界の平和を祈る。

*トップ画像は本文とは関係がありません。画像はこちらから拝借しました。

https://storys.jp/story/7918

 

 ⭐️ 昔から「性」の奥には、生命の不思議が隠されていると感じている。生まれることと死ぬことの間に必ず存在するのが「性」だ。「性」の字は、「生きる」に「心」が寄り添っている。しかし、世の中では「心」を忘れた肉体と快楽のみの性ばかりが語られる。男たちの「生きる」を女性の存在が陰で支えているのは確かだ。しかし、一方で女性達は、それぞれに孤独で過酷な人生を、一人でもがき苦しみながら戦ってきたのではないか。風俗嬢は、心優しき天使である。にも関わらず、彼女達の職業の本当の価値と意義が社会的には黙殺されたままだ。全ての人が幸せになってほしい、心からそう願わずにはいられない。

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