東洋医学の役割

私は日頃、治療に東洋医学的コンセプトを持ち込んで行っている。そのコンセプトが何かと言えば「全体性」である。

西洋医学によっては治療ができない、あるいは見放されたという病気も世の中にはある。そんな時、では東洋医学なら何とかならないかと考える患者さんもいる。そういう患者さんに、東洋医学は「治らない事だってあるよ。でも治らない事も受け入れて、その残された年月を笑顔で生きていくという考え方もあるんだよ」と諭す。

「頑張って何が何でも病気を克服しましょう」という考え方を伝えるのも必要ではあるが、そういう病気に対して無理に頑張れというのではなく、「めげず、落ち込まず、それを笑顔で受け入れ、淡々と生きていくという考え方も一つにはあるんだよ」と伝えられるのが、東洋医学なのではないかと思っている。

最近、西洋医学で匙を投げられて、あるいは医師から否定的な言葉を投げられ傷ついて来院される難病を抱えた患者さんが多くいる。

私は医師ではないから、そうした方々に対して執刀したり投薬したりはできない。しかし、東洋医学の全体性の観点から、症状の意味や人生における病気の役割などをお伝えして、患者さん自身の見ている風景を少し変えていくお手伝いはさせて頂けるのではないかと考える。中には意識の変化と共に劇的に症状が改善する場合があるからだ。

病気について、落ち込まないこと、めげないこと、一喜一憂しない事。良くなったとか悪くなったとか、症状に対し一喜一憂するのではなく、めげずに笑顔で淡々と受け入れながら生きていく。

そういった強さをお伝えできるのも東洋医学の役割のような気がする。そこには全体性と、生命に対する深い信頼がある。

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