時間は存在しない

実は時間というものは存在しない、なんて事言ったなら、多くの人は「あんた、頭、大丈夫かい？」そう思うに違いない。しかし、量子重力理論的見解を突き詰めていくとそのような結論に達する。皆が考えるような、時間が直線上を過去・現在・未来と移動するイメージは頭の中でこさえられたものに過ぎない。

人は過去と未来を時系列にそって思い出しているわけではない。小学時代を思い出すのに、今から順番に時間をさかのぼって思い出すわけではない。一気に小学時代に飛んで思い出す。未来も同じ。いつでもどこでも一気に目的に飛んで思い出すことが出来る。では、何故この世界に時間というものが存在して見えるのか？

80年代に行われたある実験がある。時間が存在しない静的な世界において、一部で起きている出来事の関係性を記述すると、それはあたかも時間が存在するような振る舞いを見せた。私たちが日常的に時間を感じるのは、私たちが自分自身を世界から切り離して世界を見ているからなのだ。物事をミクロな視点で観察していくと過去と未来の違いも消えてしまう。時間は私たちの意識の中だけに存在する。

⭐️ 『時間は存在しない』、なんて挑発的なタイトルだ。著者は相対性理論と量子力学の融合を試みる「ループ量子重力理論」の提唱者の一人、イタリアの理論物理学者のカルロ・ロヴェッリ。従来の物理学で見えてきた「時間」という存在を振り返りながら、時間の流れが過去から未来へ一方通行に見えるのは、私たちの意識の罠であったのだ！