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微生物が人類救済の鍵を握る

微生物が人類救済の鍵を握る

産業革命以降の急速な技術の発達に伴う環境の変化が目に見えぬレベルで作用し、微生物の世界のエネルギーバランスを崩し続けていることはすでに述べた。私たち人類は、今まさに酸性に傾いてしまった土を、水を、空気を、本来の性質である中性に戻さなければならない。

各分野であらゆる試みがあることは、ある。例えば、農業であれば慣行農法から有機農法に転換する農家さんがいたり。しかし、わが国では消費者の指向や認識の問題も含め、なかなか軌道に乗っているとは言い難い状況である。

現在のわが国の農業について言えば、その多くを化学肥料である窒素肥料に依存している。窒素とは、空気中に存在する元素の一つで、空気の約80パーセントを占めている。無味無臭で色もなく、目や耳では確認することができないが、DNAやタンパク質の元となるアミノ酸の原料になり、生物が生きていく上では必要不可欠な元素だ。

また、植物の光合成に必要な葉緑素も窒素によってできるため、植物にもとっても大切な栄養素だ。しかし、植物はそれをそのまま吸収、利用することはできないため、土壌に含まれる窒素を微生物が分解して無機化し、吸収できるように助けている。このしくみを利用して人間は窒素肥料をつくり出した。空気中の窒素ガスと水素を反応させることによって、合成アンモニアを発生させ窒素肥料を生産する方法が発明された。

その窒素肥料の代表的なもののひとつに硫酸アンモニアがある。

 

■化学肥料の問題点■

硫酸アンモニア、略して硫安(りゅうあん)は、窒素のみを含む単肥で比較的安価な上、一度土壌に入れるとひと月は効果が持続するため、農業のビギナーでも多くの人が使用する。

確かに土壌へなじみ、作物への吸収率も良いため、良く実る。しかし、これは肥料というよりは、植物の根が硫酸という成分を良く引っ張る性質を持っているため、その植物の周辺にある物質を盛んに引き寄せ、見た目には植物の栄養を吸収しているように見えているだけとの指摘も一部ではある。

硫酸アンモニアは肥料ではなく、周囲の物質を引き寄せる役目をしているだけだとしたなら、もし硫酸アンモニアを使ったとしても周囲に何も引き寄せる材料がない場合は逆に植物の成長を妨げる要因となってしまわないだろうか。

確かに化学肥料は、与える量も計算でき、作物の成長を見ながら調整することはできるし、コントロールができる。それにより農家が安定して収量を上げてきたのも事実だ。しかし、長く化学肥料だけに頼ると、必ず土が痩せてきて、土壌からの栄養成分を作物に与えることができなくなってしまう。

それがなぜ起こるかと言えば、長期にわたる化学肥料の使用によって土壌に棲む微生物のバランスが崩れるからだ。さらに大量に農薬を使えば、微生物が殺傷され、農薬成分は20〜30年は土壌に残留してしまう。

 

■全ては微生物の働きによって維持される■

農薬や化学肥料によって侵食された土壌は、その多くの微生物が死滅し、生存しているものもその力が弱まっている。そこに微生物の餌としての有機物を大量に与えたとしても十分分解できずにそのまま腐食し、炭酸ガスを発生させるだけで元気な作物は育たない。

これからの時代は、今までにない発想をベースにした土壌に負荷をかけない新しい農業の誕生が望まれる。現在の有機農業も農家の皆さんの大変なご努力で、昔に比べて遥かに良い作物ができるようになった。しかし完成までの途中過程と感じる。今後は、より微生物にフォーカスした新たな農業によって土を蘇らせる必要がある。

そのためにはもっと微生物の生態について深く知ることだ。人間は食物を食べ、その食べたものを歯や胃腸など消化器官が細かくして、それを腸内の微生物が食べることによって維持されている。胃や腸は微生物の棲み家であり、腸内の微生物が食物を分解してくれなければ、便が体内に長く停滞し、私たちは生きていくことができない。腸が消化吸収するのは、食物の栄養成分はもちろんのこと、微生物の分泌物や微生物そのものも含まれる。

微生物はタンパク質の塊であり、ミネラルを有する。これらの栄養素と原子、電子を吸収し、さらに体内の微生物が元素の転換を行って、血液や筋肉、骨などの人体を創り出しているのだ。原子転換は、日々、私たちの体内で微生物を媒介として行われているのである。

 

■新たな文明の夜明けは日本から■

微生物なしには細胞が生きていけないし、育たない。動植物を育てるということは、言い換えれば、微生物の住み良い環境を与えて、微生物の好むエサを与えてあげることに他ならない。その条件さえ整えば、細胞が元気になり、生物はいきいきと活動し出すのである。

そうした視点に立った新しい農業技術は、もうじきアジアから、そしてこの日本から誕生すると予感している。

国連食糧農業機関( FAO)の発表によれば、世界の土壌は今、25%が著しく劣化しており、44%は中程度劣化しているそうだ。合わせて約7割の土壌がすでに劣化しているのだから事態は深刻だ。

しかし、その一方で、世界21カ国58地域で認定されている世界農業遺産のうち、36地域がアジアに、そしてそのうちの11地域がこの日本にある。(2019年11月現在)。世界中を見渡してみても、日本ほど多い国は他に見当たらない。しかも、他国に比べ国土が狭いにも関わらず、だ。

農薬、化学肥料を使用している慣行農法が主流でありながらも、このような優れた農地を維持してこれたのは、農家の方々の日々の努力と、そして日本の土の中で、微生物がすごく頑張ってくれたからだと思う。そこには、農薬や化学肥料が登場するずっと前から、日本人が伝統的に築き上げてきた匠の技があり、尊い微生物の働きがある。

人類の新しい文明の夜明けは、この日本から、微生物との真の共生を通じてもたらされるに違いない。

 

⭐️ 日本人は千年以上もの昔から発酵させることで様々な発酵食品を創造してきた。他の民族には見られない麹菌だけを純粋培養した見事な発酵方法により微生物を味方につけてきたのだ。今後、その技術があらゆる分野に応用され、人類が日本を中心に新たな文明の夜明けを迎えることは間違いない!

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