世界中に病気がなくならない理由
生物の生命活動の根底には、細胞の酸とアルカリのバランスがあり、そのバランスを左右するのが、目には見えないほど小さき者。すなわち、空気を好み酸性を司どる好気性菌と、水素を好みアルカリ性を司どる嫌気性菌であることは、前回すでにお伝えした。
そして、その双方のやりとりにおいてイオン化反応が起こり、電気エネルギーが発生することも述べた。この電気エネルギーこそが生命エネルギーである。細胞の核酸にはDNAやRNAが存在するが、核酸の主成分は好気性菌が抱えた酸素なので、酸素はすなわち生命そのものと言っても決して言い過ぎではない。その核酸の周囲にアルカリ性を司どる嫌気性菌が存在することでイオンの交換が行われる。これが電気なのだ。
細胞内の酸とアルカリ、つまりは好気性菌と嫌気性菌のバランスが崩れるとイオン化反応による発電現象が低下して、細胞がバッテリーの役割を果たせなくなる。これが続けばエネルギーが低下が常態化する。これこそは、私たちが普段「病気」と呼んでいる現象だ。
細胞の酸とアルカリのバランスは、なぜ崩れたのか?そこに自然環境が関係してくる。地球上の大切な四大元素を長い年月かけて汚してきた結果、私たちの体内環境もまた、現在、悪化の一途を辿っているのではないか?
ものが腐るプロセスについて考えた時、空気中、及び土壌の中にいる微生物はどのように関与しているのだろうか?
微生物は自然界において物質のまとめ役として関与する。実は、私たちの身体の細胞や血液、リンパ、骨や筋肉なども、体内で微生物が協力してまとめあげている。組成役と言っても良いかもしれない。それにより身体は発育し、成長し、維持される。
陰陽論に当てはめてみると、好気性菌は男性的に陽性に、嫌気性菌は女性的に陰性に働く。これらの酸とアルカリのバランス、男性と女性のバランスが取れていれば、全ての微生物は善玉菌、あるいは中立的な菌として、身体をまとめるためにうまく働いてくれる。それはまるで微生物による生命の綱引きのようだ。
しかし、この好気性菌と嫌気性菌の量的なバランスが崩れだすと、好気性菌は細胞にとって分散、離脱、崩壊の作用をもたらし、嫌気性菌は腐敗、分解、消滅の作用をもたらす。細胞にとっては悪玉菌として働き始めるわけだ。嫌気性菌の数が多くなり悪玉化すると癌やアトピーの原因ともなる。
医学的には、癌はウィルスや発癌物質によってもたらされる異常細胞の増殖が原因と考える意見は多いけれど、その根本の原因はこうした酸・アルカリのバランスの乱れにより、細胞が嫌気性菌によって腐敗に向かうことにあるに違いない。
細胞は本来、それぞれが生き物だから、一定の期間の中で新陳代謝を繰り返している。もしも、ある細胞が死んだとしたら、その周りにある細胞が細胞分裂しながらその欠損を埋める。ところがどこかにバッテリーの働きが弱った細胞があれば、細胞分裂する力がないために死んだ細胞の欠損を埋めることができなくなってしまう。
そうして死んだ細胞はそのまま体内で腐り続け、その周りの細胞もそれにつられて腐っていく。これこそが癌やアトピー発生の根本原因なのであろう。腐る現象は好気性菌と嫌気性菌のバランスが崩れたために嫌気性菌が悪玉化して腐敗、分解、消滅へと向かう一連のプロセスのことなのだ。
私たちの腸内にも無数の腸内細菌が存在するが、大きく分けると善玉菌、日和見菌、悪玉菌の3種に分けられ、その理想的比率は2:7:1で善玉菌が悪玉菌よりも多いことが良しとされる。この中の日和見菌というのは、基本的には善でも悪でもない中立な菌で、時の形勢を見て善側についたり、悪側に加勢したりするどっちつかずな菌なのだ。
これって、人間社会にも似てまいか?善人が2割、悪人1割、時々善人になったり悪人になったりする普通の市民が7割という比率はまさにこの世の様相そっくり。
閑話休題。ある実験で腸内の悪玉菌を全て取り除き、0にしたところ、しばらくして日和見菌の中から新たに悪玉菌に変異するものが現れてその比率は結局取り除く前と同じになったと聞いたことがある。また、理想的比率である2:7:1も、食事や環境による変化で腸内環境も影響を受け、善玉の割合が増えたり悪玉の割合が増えたりしながら、一定の範囲内で変化しているうちは腸内は健康ということだ。
当時の医療レベルの問題はあったにせよ、昔の日本人は現代人よりもずっと元気だったのではないか。ここに厚生労働省作成の医療費比率のグラフがある。1955から2011年までのわが国の医療費割合の推移であるが、1955年と比較してこの上昇割合は異常とは言えまいか。人口はどんどん減少しているというのに。
50年前と比べても、病気そのものが増え、病人の数も増えているのは明らかだ。国民の医療費も増大する一方で2019年時点で過去最高の43.6兆円を超えた。
昔は癌やアトピーなどの難病も今ほどは多くなかった。生活環境も今とは異なり、生きる上で大切な水の質もずっと良かった。一般的に水の酸素濃度というのは湧水ほど酸素濃度が高く、レベル12ほどある。とろりとして甘みを感じる水だ。ところが現在の水道水のレベルは平均4程度。これは酸素が少なくなるのがその理由だ。
では、なぜ酸素が少なくなるのか?
水道水を大量に確保するために、各地にダムを造る。しかし、ダムの水には上流の山林やゴルフ場に使用する除草剤や農薬が流れ込んでくる。農薬は強酸性なので当然水は酸性化する。さらにはダムに貯められた水には直射日光が当たるのでどんどん蒸発して水からは酸素が逃げていく。
自然の河川であれば、山から海へ流れ着くまでにクネクネと蛇行しながら川岸に水が打ち付けられ、その振動により水が活性化し酸素を新たに取り込むことができた。しかし、現代は河川の周囲をコンクリートで固め、しかも河川そのものを曲線ではなく直線に加工してしまった。これでは水に泡が立たないし、酸素を取り込むことがすは気ない。
そうして家庭に運ばれた酸素の少ない水道水にはさらに塩素が加えられる。塩素そのものは水に溶けると酸性を示す上、もともとは強い毒性を持つため、人類初の本格的な化学兵器として第一次世界大戦でドイツ軍が使用したものだ。
もちろん水道水にはかなり希釈して使われるため、すぐにそれで健康被害が起こることはないし、それにより殺菌・消毒の働きもしているのだが、一抹の不安は拭いされない。このような酸素が不足し、薬品添加した水を日頃から飲んでいることも国民の健康状態悪化と関係があるのではと思う次第である。
人間が健康に生活する上で、体内で活動する微生物の存在が欠かせないわけだが、その微生物の生存にとって現代の環境は決して最適とは言えない。
大自然の地層はまるで天然のフィルターのような役割をしている。雨が降れば、この地層の中にある砂や小石が雨水を濾過しながら水をきれいに浄化してくれるからだ。昔、人々はそこに井戸を掘って何十メートルも地下にある地下水を汲んで飲み水にしてきた。
しかし、現在、世界中で大量の農薬が使用されている。それは浄水器の上に農薬を撒くに等しい。毎日、大量の農薬が使われることで虫が死に、微生物が死ぬ。数年前から果実や花の受粉に一役買ってきたミツバチが減っている現象がクローズアップされたが、そこに関係するのがネオニコチノイド系農薬だ。
これは、ニコチンによく似た成分の農薬で、おそらく現在、世界で最も広く大量に使用されている殺虫剤だ。脊椎動物よりも昆虫 に対してより強い神経毒性を持つため、2000年頃からそれまでのヒトへの毒性の高い有機リン系農薬に代わって使われるようになった。水に溶けて根から葉先まで植物の隅々に行きわたる殺虫剤として農地や公有地など広範囲に使われている。
しかし、ネオニコチノイド系農薬の使用拡大とともに、世界各地でハチの大量死が報告され始めた。
自然界において生命は全て有機的に繋がっている。何かを特別に取り出したり、排除することはできない。昆虫はもちろん、私たちの体内で生命活動の立役者として働いてくれている好気性菌や嫌気性菌だって目には見えないけれど立派な生き物だ。何かを寄り分けてそれだけを排除したり殺す行為は、天に向かって唾する行為にも等しい。その刃はやがてこの身に降りかかる。
人類の終わることない病との戦いの背後には、こうした自然界の繋がりを忘れた調和を欠いた振る舞いが要因としてあるのではないか。
農家の人たちだって、農薬を使いたくて使っているわけではないと思う。しかし、消費者が形のきれいな虫食いのない野菜を求めるために、やむを得ず野菜を売るため農薬を使わなければならないのだろう。
しかし、虫は農薬を撒かれると、種族保存の本能から卵の数を増やす。そして逆に虫が増えて、人間はさらに強力な農薬を大量に撒く。どこまでいってもイタチごっこで、こうして土壌も水も空気も汚されていく。
振り返れば80年代くらいから、エイズ、O-157や狂牛病、そしてエボラウィルスやMRSA、今回の新型コロナウィルスまで実に短いタームでウィルスや微生物由来の病気や感染症が次々に登場してきた。これは小さき者達の人類に対する反乱であり、逆襲とは言えまいか。
私たちの腸内環境を整えてくれる大腸菌だって微生物である。人間はこの微生物の働きなくして栄養の吸収、不要物の排泄はできない。一日たりとも生きることはできないのだ。人間の身体をまとめ上げ、形成しているのももとはと言えば微生物。これら微生物を殺傷するのではなく、いかに融和、共生していくか。
そこにこそ、現在、世界中に存在する疾病を減らし、解決するヒントがあるように感じている。
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