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無理せず、無駄せず、継続の先にあるもの

無理せず、無駄せず、継続の先にあるもの

昔、日本初のSNSであるmixiがスタートした頃、ひょんなことから、熱海で断食道場を主催されていた牧内泰道さんという有名な食養指導家とネット上で親しくなった。

牧内さんは当時、熱海に三千坪の温泉付き断食道場を開き、薬や現代医療から見放された多くの病める人々を健康指導して治癒へと導き、社会復帰を支援する活動をされていた。私は直接お会いしたことはなかったが、何度もメールやコメントを通じてやり取りさせていただき、その思想や哲学に触れさせていただいた。

どんな時にもユーモアを忘れず、超がつくほどのポジティブな考えの持ち主で、いつも明るい内容のメッセージを届けてくださって、私は彼のそんな存在にネットでのやり取りを通じて励まされ勇気をいただいていたように思う。

玄米と味噌汁と少量の野菜でからだのゴミを取る

「病気はからだの中の汚れたゴミが原因。断食や半断食をしてからだの中を掃除してしまえば、病気の原因なんてものは、自然になくなる」というのが口グセで、医学博士の資格を活かしながら、掃除する医学、毒素を排出する医学の専門家として活躍されていた。

牧内さんの道場では、固形物全てを食さない完全断食ではなく半断食を推奨されていた。半断食とは、マクロビオティックの考え方に基づく少量の食事を摂取する方法で、疲労した内臓に休養を与え、体内の毒素の排出を促進するというもの。マクロビオティックにおいては、少量の玄米を主食とし、それに味噌汁と数種類の副菜で献立を構成する。使用される材料は、可能な限り無農薬有機栽培の穀物や野菜で、動物性の肉や卵、乳製品や砂糖などは一切使用しない。

突然のがんの告知

牧内さんがこのように道場の食事にマクロビオティックを導入したのには理由がある。彼自身、若い頃から肉が大好きで、毎日コーヒーを飲み、コーラを飲んでハンバーガーを食べるような生活を続けていたところ、33歳でがんを患った。その時すでに末期で医師からは死を宣告された。

彼は、西洋医学はもちろんのこと、東洋医学から民間療法、そして宗教による祈祷にいたるまで、治療法を求めてジプシーのように遍歴を繰り返した。良いと聞けば、ビワの葉温灸や操体法、西式健康法から始まって、宗教は創価学会や立正佼成会、生長の家の信者にまでなってみた。

「やるべきことは全てはやった。心を変えれば良いと考え、宗教もやり尽くした。それでもがんは治らなかった。もうだめだと思って、死場所を探すためインドへも行った。リシケシのヨガ道場で断食だってしたんだよ」

壁の絵から受けた衝撃と悟り

ある古い仏教寺院で、牧内さんがふと壁を見るとそこには地獄の絵が描いてあった。「ああ、俺も死んだら地獄へ行くのかな」と思って眺めていると、壁の反対側には極楽の絵があったという。よく見てみれば、両方に美味しそうなご馳走が描かれていた。

地獄の絵では、誰もが長い長い箸を持って「俺が食う、俺が食う」と争いながらも、食べ物が口に届かないために痩せこけて鬼のような顔をしている。一方、極楽にも同じ食べ物が描かれているが、皆、満足げに食べている。これこそが仏教でいう「三尺箸の譬え」である。

地獄と極楽には同じ物がある。極楽では、箸でつまんだご馳走を人々が互いに向き合って相手の□に入れてあげるので、皆、満ち足りているのだ。

「それを見てたら、何だか涙が出てきちゃってさぁ。俺はもうすぐ死ぬけど、今までを振り返ったら地獄の人生だったなと思ったの。で、神様・仏様がいるなら、もう一度俺に人生をくださいと、もう死ぬ思いでお願いしたの」

するとしばらくしてから、甘酸っぱい臭いの便が大量に出てきたのだという。

「がんの便て、臭いのなんのってひどい臭いなんだよ。からだの中の汚れだね。腐ったようなのが大量にバンバン出たとたんにスカっとして爽快になっちゃった。そして、なぜかいろんなことが分かるようになっちゃったんだよね。今日はこういうことが起こるんじゃないかとか、この角を曲がるとタバコ屋さんがあるとか、この人はこういう病気だとか、もう全部当たるの。そうなったら嬉しくなっちゃってね、世の中が金色に見えるんだ。そうか、あの人は私で、私はあの人だったんだ。みんな友達だ。みんないい人だ。きらきら輝いて生きている!」

「がんは、生き方が間違っているというお知らせなんだよね。だから、がんに感謝して、病気に感謝して、自分でこさえた病気は自分で治す。そうすれば医療費だってかからないし、消費税も上げなくて済む。どうせ人間は死亡率100%なんだから、死ぬまで生きろ!生きて生きて、生き抜け!ワハハ!」

牧内さんが残してくれたメッセージ

私自身もマクロビオティックをコンセプトにしたオーガニックカフェを経営しているため、牧内さんとは共感できる点が多くあった。そんな牧内さんがある時、「継続すること」についてこんな話をしてくださった。

「私はね、今年で75歳になるんですけど、自分のことを大元気な青年だと思ってますよ。毎日、道場に来られる多くの人々と目をらんらんと輝かせながら情熱的に語り合ってます。本だってたくさん執筆してますし、何をやっても楽しいんです」

そんな牧内さんだが、それまでの人生は意外にも失敗の連続だったという。「熱海断食道場」と立派な看板を掲げて社会的にも認知されるようになった彼の活動ではあったが、それはあくまでも最近やっとそうなっただけで、彼が活動を始めた30年以上前は「断食なんてしたら死んでしまうじゃないか!」とか、「腹が減って、そんなことできるか!」といって、誰も道場の門をくぐろうとはしなかったというのだ。

そんな時、牧内さんの奥さんは「こんな断食道場なんて看板を上げたら、私たちが食べていけなくなるでしょ!」と文句をいったという。すると牧内さんはこう返した。

「飯が喰えなくなったら、断食すればいいじゃないか」

しかし、当時はこれが笑い事にならないくらい人に見向きもされなかったそうなのだ。けれどもその後、評判が評判を呼び、大勢の人が道場を訪ねてくるようになった。牧内さん曰く、

「何でも無理したら続かないんだよ。そして、無駄しても続かない。でも、ともかく続けていくことだね。病気を克服し健康を目指す時だってそうさ。無理せずに全部遊び心でやるんだよ」

継続が人生にもたらすもの

そんな牧内さんも2012年1月19日にお亡くなりになられた。

当時、長女の平川郁さんがお父さまのブログにこう綴られていた。

「牧内泰道がこの世を卒業しました。死の直前、6次元に行く準備をすると言い、意識不明状態を約10時間続け、意識を戻した時に、『準備ができたの?』との(周りからの)問いかけに、『OK』と手で合図をした後に、とても幸せな顔をして、息を引き取りました。 牧内の願いは、叶ったものと思います。 残された者にとっては、これ以上の安堵はありません。ほんとうに素晴らしい、最後、卒業でした。 皆さんも喜んであげてください。 今まで有難うございました」

最近、私が長く更新しないでいたこのブログを再開したのは、ふと牧内さんの言葉を思い出したからだ。

「モノゴトは思いを持って続ければ、必ず現実化するものなんだよ」

人々がたった一人の例外もなく、自分の存在のルーツが宇宙に撒かれた一粒の種だったことを思い出し、互いに仲良く健康で幸せな人生を送るためのヒントを与え、この宇宙がさらに美しく豊かな空間になるようにと思って始めたブログ。無理せずに淡々と、そして遊び心で続けていきたい。

 

⭐️ 現在、残念ながら牧内さんの書かれた本が新たに増刷されることはない。ゆえに中古で探すことになる。どの本にも牧内さんの生きることへの情熱と底抜けの明るさが感じられる名著である。もしあなたも機会があればぜひ一度読んでみてほしい。ジワジワと、思うことの大切さと継続することの意味が感じられて生き方が変わるはず!

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