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石も生きている

石も生きている

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古くから世界中で信じられていた生命観のひとつにアニミズム」があります。

アニミズムとは、人間のみならず、山川草木、息とし生けるものにはすべて「アニマ」(=ラテン語で「生命」とか「霊魂」という意味)が宿るという考え方。

現在でも、アイヌ民族やアメリカインディアン、そしてオーストラリアのイヌイットなど先住民などの思想の根本には、すべてのものに霊魂が宿る、それゆえに人もモノも生きものも、互いに敬わねばならないという生命礼賛の思いがあります。

それは、生命には分類されない「石」においても同じこと。

日本にも昔から、蛇石とか、石信仰といったものがありますが、実際に石が歩いたり、モノを食べたり、成長したりする話はついぞ聞いたことがないな〜などと思っていた矢先、先日、ネットで本当に生きている石がルーマニアに存在するというニュースを見つけてしまったのです。

 

■増え続ける石■

ルーマニアにあるのは、トロヴァント(Trovant)という名の石。

その石は、まるで細胞分裂を繰り返すかのごとく、成長し分裂していくのです。トロヴァントの石は、固い石の核が中心にあり、そのまわりには、まるで殻のように砂がくっついています。この石は、極めて多孔質の砂の集まりと、炭酸カルシウムを多く含む水によって固められた砂岩の堆積から作られているのです。

トロヴァント(トロヴァンティ)という名前は、博物学者のマゴチ氏によって名づけられました。

では、なぜこの石は増えるのでしょうか?

 

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炭酸カルシウムを多く含んだ水が重要な要素となっています。トロヴァントは激しい降雨の後に、雨のミネラルを吸収します。ミネラルは石の中の化学物質と結びつき、後に反応して内部に圧力をもたらします。その圧力は常に中心から端に向かって石を成長させ、容量を増やすのです。1000年に4~5センチの割合で大きくなるそうです。

トロヴァントはたいていなめらかでとがった部分の無い形をしていることが多いのですが、円筒状のものもあれば、多くの節を持っているもの、球状のものもあります。固まる成分が不規則に分泌するため、トロヴァントはこのような一貫性の無い形で育ち、増えていきます。数ミリメートルからなかには10メートルほどの大きさに育つものまであります。

トロヴァントはその構造や、増える能力があることだけが変わっているのではありません。場所を移動する事もできるのです。さらには、根のように伸びた部分を持つもの、切ると年輪があるものもあります。これら独特な特徴を持つ理由を科学者はまだ見つけていません。

 

■生物と無生物の間■

これらの石は600万年前の地震によって誕生しました。川によって運ばれた砂の堆積物が何度も沈殿することによって砂の貯留層が作られました。

植物と岩石、両方の特徴を兼ね合わせているので、トロヴァントを生物とみなすか、無生物とみなすかは実に難しいところです。しかし、生きているかどうかなんてあまり関係ないのかも。

もともと生物は、さかのぼれば、無生物から発生してきたのです。生物と無生物はばらばらに存在しているのではなく。つながっています。つながっているという意味においては先のアニミズムの思想がぴったりくるのです。人も石も、みんな神様。

そんな生物存在の根源的な有り様を示してしまうトロヴァントは、哲学的な石と言えるかもしれません。

これらの石は見ても触っても使っても面白いようで、墓石の材料として人気があることに加えて、地元の人たちはこの石をおみやげ作りに使っているそうです。

 

もし、トロヴァントを間近で見たかったら、ルーマニアのヴァルシア郡に行くといいでしょう。コステスティ村の自然保護区にある「トロヴァント博物館」で見ることができる。

また、この成長する石は、ルーマニアだけではなく、ロシア、カザフスタン、チェコなどにもあります。実は、この日本にもあるといわれていて、中ノ島の那須神社にある石は、室町時代あたりから続く、伝説の生きる石なんだそうです。

これは、一度、訪れてみねばなるまい。

 

http://whenonearth.net/trovants-growing-stones-romania/

 

 

★この地球が生んだ鉱物という仲間たちを時々眺めては触れてみる。すると、そこに生物・無生物という垣根はないことに気がつきます。

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