ベイビーのようなもの
長野県・伊那谷に暮らす仙人のような風貌の詩人がいます。
その名も「加島祥造」さん。
加島祥造さん
英米文学がご専門で、ある時出会った英文訳の老子の書『道徳経』をきっかけにタオイズムに傾倒し、英訳版『道徳経』をやさしく日本語に翻訳することをライフワークとされています。
難解でとっつき辛い印象の『道徳経』(老子の思想書)を、これほどまでに柔らかにユーモア交えて訳された文章に、それまで出会ったことはありませんでした。
私が加島さんの翻訳本に出会ったのは、今から20年以上も前。
それから、老子の教えがもっと身近に感じられるようになりました。彼は、今も伊那谷で思索と詩作の日々を送られています。
漢文が苦手という方は、ぜひ彼の本に触れてみて下さい。老子の思想のエッセンスが、スーッと水みたいに心に染み込んできますよ。彼の著書『タオーTAOヒア・ナウ』より、私の大好きなフレーズをご紹介したいと思います。
タオの働きをたっぷり持った人というのは
いわば、ベイビーのようなものなんだ。
殺める心がないから
毒心を持った相手だって、襲いかからない。
柔らかい自然な状態で弱々しく見えるが、
かえって、強いのはそういうところにある。
エナジーがまっすぐ流れるところもベイビーに似ている。
男と女が結合することなんか知らないが、
それでも小さなチンポコはいつでも立つ。
常に生気が満ちているからだ。
一日中大声で泣き叫んでも、
声がかれないのは、
タオの調和の中にいるからなんだ。
大人になって、この調和を、
このつながりを知るのが、本当の知恵さ。
ところが自分の欲望をかさねると
エナジーはベイビーの柔らかさを失って
暴力にむかう。そして
強い壮年期からたちまち
老化に至るんだ
ーーー強ければ強いほど
老化は早いんだよ。
加島祥造『タオーTAOヒア・ナウ』より。
★私の大好きな座右の書「タオ・ヒア・ナウ」。読むと心に大空が広がります。
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