これからの時代はモノが売れずに心が売れる
21世紀に入ってから時代の様変わりが甚だしい。宇宙のルールが変わり、それが人の心や社会に大いに反映されている。例えば、その一つが「心の時代」。
20世紀はまさに「モノ」の時代であった。人類の長い歴史を見た時、18世紀の後半にイギリスで起こった産業革命は革命的に変化した。その時を境にして人類の活動は、人口増加、 エネルギー消費量、情報量、交通量…。どれを取っても飛躍的な成長を遂げてきた。
アンバランスな急成長の結果
その中でも特に20世紀後半の数十年間の成長ぶりは今までに例がないほどで、人類史上多分再び起こることがないほどに急激に成長した。それは大量生産・大量消費というカタチで続いていて、今も私たち人類はその中で生きている。結果、20世紀の百年間で化石燃料の使用量はそれまでの十数倍、工業生産量は20数倍にまで膨れ上がり、 しかもそのほとんどが1950年代以降に達成されたというアンバランスともいえるほどの幾何級数的成長の道を歩んでしまったのだ。
もしも、何も変わらずにこの傾向が続けば、今世紀中には現状の数倍規模に拡大し、環境問題はより深刻となり、生物多様性は崩壊して、多くの種は絶滅し、資源は枯渇してしまうだろう。私たちは今、文明の重大な岐路に立っているといえる。こうした文明発展パターンの危機的な欠陥を真剣に受けとめ、軌道修正と構造変革を速やかに実行していかなければならない。
しかし、21世紀に入ってこの宇宙を運行しているルールが変わったということは、それが私たち人類の精神的・感覚的な面へも影響し、私たちの思考や感性を少しずつ変えていくことになるだろうと私は見ている。そのいい例がビジネスである。
現在、生産過剰・供給過剰で先進国と呼ばれる国の多くでモノが有り余っている。ファストファッションの台頭により安価な衣服が大量に生産され、それらの古着を捨てる場所さえなくなった国はどうしているか?
有り余る古着の行き着く先は?
先進国で回収された古着は途上国、その多くは最終的にアフリカへ辿り着くのだ。このような古着の輸出は先進国では一大産業になっているが、転売というカタチだけではなく、「寄付」という名目で、アフリカに送られる場合もある。
欧米や日本でも、チャリティ団体が古着を回収してアフリカの貧しい人たちに寄付をする。そんな活動を耳にしたことがある人もいるのではないか。もちろん難民キャンプなど物資が足りていない地域であれば、一時的に助かる人もいるだろうが、技術面で進んでいるはずの先進国側でさえ大量に余った古着を処理できないわけだから、ゴミ処分場などの施設が不十分なアフリカの国々で、大量の古着を処理することはできるわけがない。そのようにして結果、処理しきれない大量の古着は現地の環境問題を引き起こす。
宇宙のルールが変わり、人間の感性が変わる
しかし宇宙のルールが変わったこれからの時代、きっと衣服や家電はじめ、ハード(商品)は売れなくなるのではないか?では代わりに何が売れるのか?
…それはソフト(良心)である。
これからは企業が「この商品は売れば儲かるぞ!」と思って仕入れても売れなくなる。それは自社の利益だけを考えて「売ろう、売ろう、得しよう」と思って得るからだ。しかし、良心のあるもの、心のこもったものは、カタチが少々不細工だったとしても売れる。手作りのもの、愛情のこもったもの、独特のもの、多少不便だったとしてもそれが「ホンモノ」なら売れる。より快適なもの、感動的なもの、楽しいもの、楽なもの、愉快なものはすべて良心をもっているから売れる。
最近毎年家の近くの札幌ドームで開催されている「サッポロ モノ ヴィレッジ 」というイベントがあるのだが、ものすごい賑わいで毎回入場者数がうなぎ登りである。これは日頃、手芸やアート作品などモノを手作りしているプロやアマチュアが一堂に介して自作を展示・販売するイベントなのだが、今年は何と25,310名もの入場者数を記録したようだ。
求められるのは心のエッセンス
すべてがハードなまでにデジタル化していく時代だからこそ、人々はソフトであるところの良心を求めるようになるからだ。そうしたプロセスにおいて、小難しい本は読まれない、売れない。マンガや横文字、写真とイラストが満載の簡単で明瞭なものなら売れるが、それ以外の思想書や哲学書、教養本、漢字が多すぎる難しい内容の小説なんかはまず売れなくなるだろう。モノの中身には「心」のエッセンスが必要であるということだ。
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