食欲がすすまぬ暑い夏でも、目の前にスッキリと洗い上げられたざる蕎麦を目にすれば不思議と食べたい気持ちになるもの。キラキラと水滴光る麺を箸でひとつまみして口に運べば、あの風味豊かな鰹だしの香りと甘い蕎麦の香りが一つになって、そこには至福の世界が広がります。
あなたはお蕎麦が好きですか？・・・私も大好きです。好きすぎてもう呼び捨てになんかできない、蕎麦さまと、「さま」をつけて呼んで差し上げたいくらいです。
しかし、世の中にはあの高貴な穀物である蕎麦さまを痩せるための「ダイエット」の名目で召し上がる御仁もあるという。
はっきり申し上げます！それって間違ってます。いかがですか？目的通りに痩せることができましたか？あるいは一時的にダイエットに成功したとして、それがずっと安定した状態におありでしょうか？
答えは「否！」だと思います。なぜなら「理由」があるから。
心から蕎麦さまを愛していて、その味に恋し、豊かな風味に惚れ込んで、好きだからという理由でランチに召し上がるのであれば何も文句はございません。
しかし、世の中には安直に蕎麦は植物性食品、見るからに素食、そんな単純な理由で痩せるためのダイエットも良いだろうとランチに蕎麦を選んでいるというお父さんがやたらと多いのであります。
そのようにして蕎麦さまにご自身の健康、痩身を委ねてしまうのがそもそもの間違い。蕎麦がダイエットに良いなんて勘違いしてると痩せるどころか確実に太ってきますよ！その理由について申し上げたいと思います。
蕎麦を食べているのにどんどん太ってしまう人。太る理由には大きく分けて２つあります。
１つ目は、これからダイエットにのぞむにあたり、食べ方が自己流になって自分だけの独りよがりな解釈になっていることです。
例えば、昼にカロリー制限をしたとしても、その見返りとして夕食だけは好きなものを好きなだけ食べても良しとしたり、昼は制限しているので途中で間食しても良いだろうと、１日の摂取量全体で総カロリーの帳尻合わせをしてしまったり。
とにかくその時の気分や自己判断で食べるものを決定している人は、いくらランチを蕎麦食にしてカロリーを控えていたとしても痩せることは到底無理な話です。
理由の２つ目は、蕎麦だけという単品メニューにより、栄養バランス的には偏ってしまい、その結果、エネルギー代謝がうまくいかなくなるのです。
確かに、蕎麦は他の穀物に比べれば必須アミノ酸のリジンが群を抜いて多く、栄養的にも価値ある健康食品とはいえます。
また、蕎麦に含まれるルチンは、ビタミンCの活性化を促して毛細血管を強くし、動脈硬化の予防や血液循環の改善に役立ち、高血圧予防に大変良いものです。しかし、そのほかの栄養素は？というと、先の２つの栄養素が特化しすぎていて残念ながらほとんどないのです！
一般的にカラダが健康を保つ上で必要な栄養素というのは約60種類といわれています。これらの栄養素を１日3食の食事で摂取するのが理想です。
つまりはできるだけバラエティーに富んだ食品を少しずつ摂るべきで、単品メニューだけ食べていたのでは栄養バランスが悪くなり、結果、代謝を悪くしてますます太りやすくなってしまうのです。
例えば、お父さんが毎日ランチで召し上がる、かけ蕎麦。これにはビタミンA、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンB12がほとんど含まれていません。これらは全て代謝に必要な栄養。なので代謝がうまくすすまないのです。
せっかくビタミンCを活性化してくれるルチンが蕎麦に含まれているにもかかわらず、なのです！こんなもったいないことはありません！
なので、もしランチに蕎麦を召し上がる際は、栄養的にも、そして腹持ちを良くするためにも、天ぷら蕎麦や山菜蕎麦、カレー南蛮など、具がたくさんで上からのぞいた時に麺が隠れてしまっているようなメニューをお選びください。
そうすれば、麺からは炭水化物が摂れて、お肉、卵、海老などからはタンパク質も摂れ、青菜やネギからはビタミンCや食物繊維を摂ることができます。
もちろんざる蕎麦の喉ごしの良さという魅力はわかります。けれど、それは時々にして、普段はこんな風に蕎麦さまを多層面から、総合的に捉えて楽しまれると、美味しい上に栄養バランスも向上し、代謝も活発となり、満足感も出てきます。
そして、結果的に間食が減り、蕎麦さまを召し上がりながら体重も減るという。一石二鳥の蕎麦ダイエット、私の提案する新しいガイドラインに、あの蕎麦さまも、今頃きっと膝を打って喜ばれているはずです。
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