平成最後の大晦日,三年番茶をすすりながら考えたこと〜友人の死とたよりないもののために。


先日、本ブログでお伝えしていました岩見沢市の自然農法家・稲葉勇人さんの農園復旧支援を目的としたクラウドファンディングの件ですが、少し前にサイトを確認してみたところ、嬉しいことに目標金額に達したようです!

フェイスブックでいいね!やコメント、シェアしてくださったり、支援したいと連絡くださった読者の方もあり嬉しかったです。リアクションくださった皆さん、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました!

目標額に達しても支援募集は来年1月17日まで続きます。勇人さんの農業活動を何かのかたちで応援したいと思われる方は今からでも遅くありません。アクションを起こしていただけたら幸いです。

https://camp-fire.jp/projects/view/115638

■インドの海で死神に出会う

さて、もうすぐ2018年が終わろうとしています。そして、今日は平成最後の大晦日でもあります。来年は平成が終わり、新しく元号も変わります。

あなたにとってこの平成30年間は、どんな時代でしたか?

・・・私自身は、一言で語りつくせないくらい色々な出来事があったとっても濃い時代でした。

青春時代と重なる昭和に終わりを告げ、成人した私は自分で働いてお金を貯め、海外を旅して回りました。今みたいにネットで簡単に情報が得られない時代ゆえ、自分で直接動いて、出会って、体験して得られた出来事は今でも心身の深いところに大切な記憶として刻まれています。

そんな旅の途上、インドのアラビア海で高波にさらわれ九死に一生を得る体験をしました。その時、死と直面しながらわが人生の最期を想いました。しかし、一人の勇敢なドイツ人女性の勇気ある行動によって私は救助され、死の淵から生還できたのです。

この時、ある種の悟りというのか、当たり前のことなのだけれど、いつだって私たちの「生」の裏にはぴったりと「死」がともにあること、そして、この一見リアリティーを感じる「肉体」は「かりそめの宿」であり、私たちの人生も儚き夢のようなものであることを実感しました。

だからこそ、人の存在は儚く、たよりない。・・・そして、美しい。

■平成の真ん中に生まれた知恵の木

帰国した私は、共通の夢を追いかけることのできる女性と巡り会い、結婚し、夫になり、子を授かって父となりました。

平成前半は夢の準備のため、後半は夢の実現のためにあったように思います。亡き祖父が求め続けてやまなかったマクロビオティックと生命の探求を、孫である私も私なりの方法で求め、妻や兄弟、家族らとともに、15年前オーガニックカフェをオープンするという夢を実現しました。

奇しくも私にとって、平成時代のちょうど真ん中に「Organic cafe 知恵の木」の誕生があるのです。

カフェをオープンしたことで、実にさまざまな方とご縁をいただきました。人は人との出会いと出来事によって磨かれ、成長・変化していく生き物なのだと思います。

■平成はテクノロジーの飛躍的進化の時代

30年という時間の経過は、人類全体にとっても大きな変化をもたらしました。特にテクノロジーにおいて、その意味は大きいと思います。

レコードをカセットテープに録音して楽しんでいた音楽はCDからMD、そしてデータ配信へと変わり、VHSテープで観ていた映像はもっと薄いLDから DVD、さらにデジタルが主流になり、電話はポケベルから携帯電話の登場、今ではもっと薄型で高性能のスマホを一人が一台持てる時代へと変化しました。

現時点での私たちの標準的な暮らしを、もしもタイムスリップした江戸時代の人が眺めたならば、きっと私たちのことをよその惑星からやってきた宇宙人だと思うに違いありません。

ある統計によれば、私たち現代人は江戸時代に生きていた人の一年分の情報量をたった一日で得ており、これを平安時代に生きていた人に換算すると彼らの一生分の情報量をわずか一日で消費している計算になると言います。

家に居ながらにして世界中の最新情報を簡単に入手でき、欲しいものはボタン一つで何でも手に入る、一見すれば科学万能の時代。

・・・でも、果たして本当にそうでしょうか?

テクノロジーが進化すればするほど、逆に私は人間という存在のたよりなさ、脆弱性を感じずにはいられないのです。

■ある友人の死の知らせ

先月、大好きだった友人の一人が突然亡くなったとの知らせを受け、私は愕然としました。

彼は私よりふた回り近くも年上で、日本で最も有名な繊維服飾メーカーを40代で自主退職した後、奥様の主宰するマクロビオティック料理教室をサポートしながら、余暇にはヨットで全国の友達を訪ねて回り、退職後の人生を謳歌していました。

三度の飯より海が大好きで、某名門大学に戦後初めてヨット部を設立し初代部長を務めた彼は、とっくに還暦を過ぎても筋骨隆々で、夏はヨット、冬はスキーにいそしみ、一年中真っ黒に日焼けした肌と真っ白な歯、そして温かな笑顔が印象的な、多くの人から愛された紳士でした。

多芸に秀で、そばを打たせたなら超一流。そんじゅそこらのやわなそば屋さんじゃ太刀打ちできないくらい美味しいそばを打ちました。知恵の木でも以前、講師として来ていただき、そば教室を開催したことがありました。

自称「病気のデパート」とおっしゃる奥様が、マクロビオティック(以下、マクロと略)に出会って健康を回復したのをきっかけにマクロの世界的リーダー久司道夫先生(故人)から教えを受けられ、ご夫婦で協力し合って地元でマクロの普及に尽力されていました。

昨年、私の父が急逝した際、お悔やみをいただいたお礼のメールを送るとすぐにこんな返事が来ました。

「こんばんは。 ご丁寧なメッセージ恐縮です。 久司先生から教えていただいたマクロビオティックの世界観をこれからも実践していきたいと願ってます。妻と一緒にまた札幌を訪れていろいろお話したいですね。 これからも友人として末長くお付き合いください。 よろしくお願いいたします」

本当に元気を絵に描いたような人で、弱さなんて微塵も感じさせず、周囲に悲しむ人がいれば、その優しい笑顔でたちまち元気にしてしまう人。私は彼との再会をずっと心待ちにしていました。

・・・そんな彼が急に亡くなってしまうなんて。しかも、あんなに大好きだった海で。

■硫黄島で起こった水難事故

退職した後、彼は、大東亜戦争でアメリカ軍との決戦地となった硫黄島へボランティアに参加するのをライフワークとしていました。

硫黄島には戦争において戦死・行方不明となった約2万名以上もの日本兵たちの骨が埋まっていました。厚生労働省が主催する遺骨帰還事業には多くのボランティア団体が参加し、今まで半数にのぼる約1万人分の遺骨が収集・帰還され、現在も活動は続いています。

英霊鎮魂の思いと愛国心から友人はここ5年ほどにわたり毎年この島を訪れていました。

ところが11月21日、水曜日昼12時過ぎ、オイルアンカー船「しんみち丸」が座礁したためオイルを抜く作業が必要になり、友人は自衛隊員とともにボートに乗ってこの作業をしていたところ、波でボートが2隻転覆。

10人が海に投げ出され、ほかの9人は無事救助されたものの、たった1人友人だけがなかなか発見されず、見つかった時にはすでに帰らぬ人となっていました。

■突然やってきた死

自身の人生を己の力で切り開き、出世コースを放棄して定年退職を迎えるよりずっと早く自主退職してしまった友人。

当時、「定年まで残れば重役のポストだって用意されているのに正気の沙汰じゃない!」とまで同僚には言われていたようです。

けれど、きっぱり会社を辞めた友人は奥様の料理教室を手伝い、大好きなヨットでクルーズして全国の友達を訪ね、余生を活き活きと楽しみながら生きました。

その様子は、今でも満面の笑みを浮かべた無数のスナップショットとともに彼のフェイスブックのページに残されています。

友人が周囲の反対を押し切って早期退職したのも、あるいは自分の早すぎる死を潜在意識のどこかで感じていたからなのかもしれない、そんなことをふと思いました。

■傷つきやすい肉体

どんなにテクノロジーが進化しても、私たちの肉体は不老不死の夢にはいつまで経っても手が届きません。

死は突然やってきます。

生の最終地点が死ゆえ、この肉体は生まれた瞬間から死へと向かっていく運命を負っているとも言えます。

それゆえに肉体は誠に傷つきやすく、脆弱なものであり、だからこそ私たち人間というたよりない存在には互いの優しさや、共感や、暖かさが必要なのだと思います。

平成最後の大晦日、治療室の掃除の合間に三年番茶を飲みながら好きな寺尾紗穂さんのアルバムを聴いていてふと耳に入ってきた『たよりないもののために』という曲。その歌詞の中から生きていく上で大切な気づきをもらいました。

進化や発展はこの宇宙の持つ本質の一要素ではあります。しかし、そこだけに目を奪われてしまうと、私たちの中のささやかで、たおやかで、柔らかな生命の本質が絡め取られ窒息してしまうように感じます。

進化はエゴをともなって方向性を誤ると時に暴力へと転化します。自然はそれに対して警鐘を鳴らします。

■たよりないもののために

この平成30年間、国内では人々が原発事故により放射能の脅威に晒され、薬剤や化学物質、兵器によるテロでも多くの人が亡くなりました。また大地震、津波、豪雨、台風など自然災害によっても多くの人命が失われた災害の時代でもありました。

それらの出来事は私たちに強烈に「死」を想起させます。文明が直線的に進化すればするほどに、逆に人類は、生命というものが循環の内にあることを自覚させるための装置である「死」を強く意識せざるを得なくなるのです。

もう不老不死の夢はあきらめて良いのではないか。私はそう思います。

私たち自身がやがては老いて死する運命の「肉体」という根城を有したものであること、存在としてたよりないものであることを認め、互いに優しさを取り戻し寄り添い合うところから次の時代の新しい文明は生まれるのではないか、そう感じています。

新しく来るべき時代は「たよりなさ」がキーワード。あなたにとって、そしてすべてのものにとって、優しさと光に満ち溢れた時代となりますように。

追伸:大好きだったシンさん、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。あなたの人生に出会えて本当に嬉しかったです。どうもありがとう。

●寺尾紗穂/『たよりないもののために』





🌟このところずっと気に入って聴いているアーティスト寺尾紗穂さん。彼女の詞といい、曲といい、声といい、ピアノといい、全部良い。癒されまくりです。珠玉の作品集、オーガニックな音楽、素晴らしいの一語です!

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