サバの食べ過ぎで発症した恐ろしい蕁麻疹をハーブで治した話

薬草ハーブ

 

前回、サバがうつ病や中性脂肪を防ぐのに大変素晴らしい食品であるという話をしました。しかし、モノゴトは良い面ばかりではありません。サバはアレルギーの原因となることがあるのです。これはサバの筋肉に含まれるたんぱく質が原因なのですが、症状としては、蕁麻疹(ジンマシン)、皮膚のかゆみ、かぶれ、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などがあります。また、時に血圧低下や呼吸困難など生命の危機に関わる重篤な症状が現れることもあるので注意が必要です。

私は今年の夏、サバサンドを食べ過ぎ、アレルギーを発症してしまいました。ある時、食べた直後から手足が痒くなり、掻くとみるみる間に蕁麻疹のような赤みを帯びたブツブツが全身に広がっていったのです。もう掻けば掻くほどさらに痒くなり、カラダ中、痒くてとても眠れません。その痒みは風呂に入ってもローションを塗っても引かず、もしかしたら生命に関わるのでは?と恐怖さえ感じたほどでした。

私の大好きな現代美術家の一人に草間彌生さんがいます。彼女はキャンバスや身の回りのものに果てしなくドットを描き続ける作家として世界的に有名ですが、この時の私はまるで全身草間彌生状態。入浴時、鏡に映った自分の姿を見て絶句しました。

 

●草間彌生と作品

https://tiredeyeslazybones.wordpress.com/2012/02/02/yayoi-kusama/

注)写真はあくまでもイメージであり、私の蕁麻疹と草間さんに直接の関係はありません。




■サバを食べると起こる困った症状

特定の食品を口から摂取することで、体内の免疫機能が過剰な反応を示して起こる食物アレルギー。このうちサバが原因となって起こるものは「サバアレルギー」と呼ばれます。代表的な症状は蕁麻疹、皮膚のかゆみやかぶれ、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などです。

また、この他にもサバを食べた直後にアレルギーによく似た症状を起こすことがあり、これを「アレルギー様食中毒」と言います。原因はサバに含まれるヒスタミンという成分。ヒスタミンを大量に含むサバを食べた場合、直後から2時間ほどの短い間に、吐き気や嘔吐、腹痛、頭痛、蕁麻疹、顔や舌の腫れなどの症状が出てきます。

人によっては重い症状へと移行し、気管支が腫れて呼吸困難になったり、意識障害が起こったりして危険をともなうことがあります。そんな時には、病院で医師により抗ヒスタミン剤を処方してもらわなければなりません。

このアレルギー様食中毒を防ぐには、ヒスタミンの生成を抑えることが第一です。それには水揚げした後すぐに内蔵除去などの処理をすることに尽きますが、スーパーなど小売店で販売されているものは、すぐに処理がされたものかどうかわかりません。

ヒスタミンは、サバのエラや内臓に常在するヒスタミン産生菌というのが、時間を経るにしたがいヒスタミンを産生してどんどん増やしていきます。さらに恐ろしいことに一度ヒスタミンが生成されてしまうと加熱処理しても完全に分解・除去ができないのです。

しかし、冷蔵保存することで細菌の増殖を抑え、ヒスタミンの生成を抑制することができるので、サバを購入する場合は、よほど鮮度の高いものか、水揚げしたした後、急速冷凍保存されたものを選ぶ必要があります。一夜干しなどの干物は基本的におすすめできません。

 

■私を痒みから解放してくれたある「ひらめき」

思い返せば、今年の夏はサバサンドをたくさん食べていたことは確かなのですが、それに加えて、ある時、サバ缶のサバを使ってサンドするとどんな味になるだろうとの興味から、開封して余ったサバをうっかり忘れて4日ほど冷蔵庫で放置していたことに気がつき、もったいないと思って調理し、食べたことがあり、その直後から恐怖の蕁麻疹と痒みが襲ってきたのでした。

なので、私の全身草間彌生状態は、サバアレルギーというよりは、アレルギー様食中毒だったと言えるのかもしれません。その時は、時間が経過するとサバのヒスタミン量が増えるという知識はありませんでしたし、昔に比べ、体質が改善し丈夫になった私はきっと自分の消化能力にも過信していたのでしょう。

一瞬、「魚だし、お腹壊さないかな?」とも思ったのですが、連日の様にサバサンドを食べてその美味しさの魅力に取り憑かれていた私は「ええい、まま良い。食べてしまえ!」と迷う気持ちを断ち切って4日が経過したサバをバゲットに挟んでパクリとやってしまったのです。

さて、それから起こったカラダの痒みは、想像を絶するほどのものでした。世の中には様々な拷問が存在しますが、ある意味「痒み」というのも立派な拷問アイテムになり得ると痛感しました。その夜は何をやっても痒みが引くことなく、うつらうつらした意識の中で私は絶望の朝を迎えました。

・・・しかし、その時です!

眩しい朝日の訪れともに、私の脳内に一つの「ひらめき」が起こり、「とあるハーブの名前」が浮かびました。

 

■痒みから救ってくれた魔法のハーブ

あなたは、「イラクサ」をご存知ですか?

正式な名前を「西洋イラクサ (スティンギング・ネトル)」、ハーブの世界では略して「ネトル」とも呼ばれます。ネトルはイラクサ科イラクサ属の植物の総称なのですが、ハーブなどの話題ではネトルと言うと西洋イラクサ(スティンギング・ネトル)を指すのが一般的です。

日本にも山などに自生している「イラクサ」と呼ばれる植物はありますが、それは主に、山菜ミヤマイラクサ(学名・Laportea cuspidata)と言って、西洋イラクサとは異なる植物になります。

 

●ネトルとてんとう虫 (ある意味、てんとう虫も草間彌生作品みたい)

 

この「ネトル」という呼び名は、英語の「needle」が語源で「針」を意味します。茎や葉の表面に細いトゲのようなものがあり、これに触れると刺激性物質が皮膚下に混入し、独特の痛痒さをもたらします。実はこの刺激性物質がヒスタミンなのです。これは、あのサバのアレルギー様食中毒の原因となる物質と同じです。

西洋イラクサの仲間は世界中に約54属2600種もあり、その多くが葉や茎に刺激性物質を含んだトゲを有し、人や動物が触れると痛みや蕁麻疹を起こさせることで知られています。

余談ですが、オーストラリアやインドネシアなどに自生する西洋イラクサの仲間「ギンピーギンピー」はその葉に触れると酸をスプレーされたような耐え難い痛みをおぼえることで知られています。ある時、茂みの中で便意をもよおした男性が、紙の代わりにこの葉を使ってお尻を拭いたところ、直後に焼けるような痛みに襲われ、辛さに耐えきれずピストルで自殺してしまった事例もあったほどです。

こんな風に書くとなんだか恐怖心を煽ってしまうようなハーブなのですが、実はこの西洋イラクサ=ネトルが意外なことに「痒みに効く」のです。

 

■生に触れると痒くなり、茶にて食せば薬となる

ジンマシンは漢字で書くと「蕁麻疹」となりますが、イラクサを漢字で書くと「蕁麻」となります。

もともと蕁麻疹とは、イラクサ(蕁麻)の葉に触れると皮膚が腫れることから名づけられた皮膚疾患なのです。当然、イラクサそのものに神経刺激物質のヒスタミンが含まれているわけですから痒くなるのは当たり前のことでしょう。ところが、これを乾燥させてお茶にしてうまく用いれば「痒み」や「アレルギー」に効くのです。

ヒスタミンが含まれているといえば、蕁麻疹も悪化しそうに思えますが、ネトルに含まれているヒスタミンはごく微量のため、これを摂取することでカラダが慣れてアレルギー反応を起こしにくくなるのです。これは、花粉症にポーレン(花粉)成分を含んだサプリメントが良いのに似ています。また、毒を持って毒を制すという、ホメオパシー(同種療法)的な効果とも考えられます。

ネトルはヒスタミンの他にも、フラボノイド、鉄分、クロロフィル、葉酸、カリウム、ケイ素、ビタミンB、ビタミンCなど多くの微量栄養素を豊富に含み「ミネラルの宝庫」とも呼ばれ、蕁麻疹やアレルギー以外にも貧血や便秘、関節痛、痛風、リウマチの改善にも効果があると言われています。

私が朝日を浴びながら朦朧とする意識の中で、頭に浮かんだのはこのハーブの名前「ネトル」だったのです。

 

■ネトルティー、その初めての印象

私は、個人的な興味からいくつかのハーブを乾燥させたものを複数常備しています。ちょうど良い具合にネトルの乾燥葉も持っていましたので、夜明け一番、家人が寝静まるわが家のキッチンでお湯を沸かし、ハーブティーを淹れて一口含んでみました。

・・・するとどうでしょう。ほうじ茶のような優しい香りとともに、えも言われぬ安堵感がしみじみと口中に広がっていきます。

ネトルは含有するミネラル成分が豊富なことから、若干磯の匂いに似た香りがするのですが、お茶にしてしまえばあまりクセはなくハーブが苦手な人にもきっと飲みやすいものと感じられることでしょう。血液を綺麗にする「浄化のハーブ」としても知られていますが味からもそれが伺えます。

カップ一杯のネトルティーを飲み終えてホッと一息ついた瞬間、私の中で何かスイッチが切り替わった感覚がありました。「これで痒みはおさまる」、そんな確信が得られた後、カラダも呼吸も楽になっていくのが感じられました。

そして、私は通常通り仕事をし、お昼には随分と痒みのことを忘れ、夜にはもうすっかり痒みと無縁のスッキリした状態を取り戻すことができたのです。

 

■蕁麻疹が気づかせてくれたもの

ネトルの効果、それは私にとっては大変素晴らしく鮮やかでした。今回、植物の持つ力を改めて体感させてもらいました。

私たち日本人は昔から、焼き魚には大根おろし、イカ刺しには生姜、マグロにはわさび、うなぎには山椒という風に、個性の強い動物性食品に辛味をともなう植物性食品の薬味を添えてバランスを整え食してきました。

植物というのは、動物のように大げさに動いたり、自分を強く主張することはありません。しかし、動物が活動する生命の土台には必ず植物があり、その温かな見守りの中で、私たち人間をはじめ動物は日々命をつないで生きることができるのです。植物界と動物界の交流、それに微生物の世界、鉱物の世界、水、光、空気の世界が折り重なって森羅万象をより豊かなものにしています。

私たちのご先祖様は、こうした世界のしくみを理屈ではなく感覚的によく理解していたのでしょう。目の前に起こる出来事には「ありがたい(有り難い)」と言って感謝し、食べ物にあずかる時には「(お命を)いただきます」と言って感謝し暮らしてきました。

そうした価値観をついぞ忘れていた自分。現代のように情報がたくさんの便利な世の中では、この世を動かしている目に見えない法則や、万物を生かしてくれる大切な秩序を無視して、私欲だけが刺激され、それがエスカレートしてしまう愚をおかしがちです。

いくらサバサンドが好きだからと言っても、今年の自分は明らかに食べ過ぎていました。サバの命を貪っていました。私の背中やお尻からヒレが生えてこないのが不思議なくらいです。けれども、結果的にカラダ中が草間彌生化して痒みに襲われ、それを植物の力で助けていただいた。ここに大きな気づきがありました。

最近、ネットでネトルの種を注文しました。来年の春にはうちの庭で栽培する予定です。ハーブの世界はなかなか面白いので、これからも色々実験し、ブログでもその効果を皆さんにご報告してみたいと思います。

 

■あなたにもおすすめします魔法のネトルティー

もしも、この記事をお読みの方で、蕁麻疹をはじめとするアレルギー症状にお悩みの方は、このネトルなるハーブ、覚えておかれても損はありません。

ネトルの特徴的な効果は、前述した蕁麻疹とアレルギー性症状の緩和改善作用。アレルギー症状を抑えることにより花粉症・アトピー性皮膚炎・喘息などの緩和にも有効で、花粉症が出始める春先、少し前からお茶にして飲まれるとかなり良いようです。

ネトルに含まれるフラボノイドの一種「ケルセチン」にはヒスタミンの分泌を抑制し、症状を軽減させる働きがある上、抗炎症作用もあるので、目のかゆみ、くしゃみ、鼻ずまりなどにも有効です。さらには鉄分を含み利尿作用にも優れ、貧血やむくみも改善してくれます。

ただ注意すべきことをいくつか。基本的に妊娠中の方や高血圧の方はご使用を控えてください。ネトルにはヒスタミンが含まれますが、人により、また体質によっては、微量でも飲むとアレルギーが悪化する場合があります。なので、アレルギーをお持ちの方で初めて飲まれる方は、医師にご相談の上、1日1/2杯~1杯程度からスタートして反応をみて増やしていかれるのが良いでしょう。

それでは、ハーブの持つ摩訶不思議な力にあなたもぜひ触れてみてください。信じられないほどに美しく可能性に満ちた世界がそこには広がっています。

 

 

⭐️厳しい審査を通過したチュニジア直輸入のオーガニックで良質なネトルリーフ。蕁麻疹のみならず、春になると花粉症でムズムズする方、女性特有の悩みをお持ちの方にも嬉しい効果。ほのかな酸味にふんわりとした草の香り。このハーブがあなたの暮らしの良きパートナーになることうけあいです!

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