続・一個のリンゴから「食物せんい」について考えてみる

食と健康

 

医療宣教師であり、栄養学者でもあるデニス・バーキット博士とヒュー・トローウェル博士、二人のイギリス人が戦後間もなくアフリカに赴任し、25年の歳月を現地で暮らし、1970年代はじめにイギリスに戻ってきたという話を前回しました。

二人の博士は、イギリスとアフリカという二つの異なる地域に暮らす人々の健康状態を長い期間にわたって比較する機会が与えられたわけです。そこでわかったことは次の通りです。

 

●アフリカでは、便秘に悩む人はほとんどいない。

●アフリカでは、心臓病やガンなど現代人がかかる病気の発生率が極端に低い。

●アフリカでは、穀物や野菜の消費率がイギリスに比べ、けた外れに高い。




■アフリカとイギリス、二つの地域の比較からわかったこと

アフリカの人々がイギリスのような先進国と呼ばれる国に多い大腸ガンや心臓病などの病気にかからないのはどんな理由によるのでしょうか?遺伝や体質といったもの以外の何かがあるのでしょうか?

そう考えた二人の博士は、これを明らかにするため、よその国へ移住したアフリカ人の健康状態についても比較・研究してみました。そこでわかったことは、先進工業国に移住し、精白米や精白小麦製品、精製塩、精製糖、精製ラードなど精製の過程で多くの栄養成分が取り除かれてしまう精製食品を口にする機会の多いアフリカ人ほど西洋型の病気が発生してしまう事実を突き止めたのです。

それは、実に遺伝的要素や体質以上に健康状態を左右する因子であったのです!

この事実を受けて、それまで「無用の長物」とされていた食物せんいは、体内で利用されずにただ排泄されていたわけではなくて、食物の一部として大切なものであるということが明らかになったのです。

 

■食物せんいの発見とともに少しずつ広がった健康志向

それでも、博士たちが1970年代にこのことを初めて発表した時には、少数の健康志向の人たちが、それまで無視されてきた全粒小麦粉や野菜、果物に戻っていったにすぎませんでしたが、現在ではアメリカ政府が発表している健康な食事の指針でも、病気予防のため努めて食物せんいを国民に摂るように勧めています。

ちょうど、この70年代というのはアメリカでも急速にマクロビオティック運動が社会的に広がり始めた頃であり、食事に対する国民の関心が一気に高まり始めた年代と言えます。先に述べた博士たちの研究データの報告とあいまって、全米各地に自然食品店が増え、玄米や全粒粉パンの愛好家が増えていくきっかけともなりました。

そして、80年代に入ると、すでに毎日食物せんいをしっかり摂っていれば、多くの医者がいらなくなるであろうことが多くの人々に認知されるようになります。しかし、事実を知っても人々の長年親しんだ嗜好や傾向というものはそう簡単には変えられないのかもしれません。

経済や所得、教育などの問題もあるからなのでしょうが、まだまだファストフード店は街のいたるところにみられ、食物せんいが足りていない人は多く存在しますし、アメリカでも日本でもさらに啓蒙の余地はあると感じます。

 

■動物性の食べ物は、食物せんいの原料にはなりません

畑でとれる野菜や木になる果物、そのいずれもが私たち人間に食物せんいを提供してくれます。食物せんいは、かつては「せんい素」とも呼ばれていました。

例えば、肉や魚、乳製品などの動物性の食べ物は食物せんいの原料にはなりません。また、精製穀物や野菜、果物からできている加工食品も役には立ちません。というのも、精製の過程ですっかり食物せんいが取り除かれてしまうからです。穀物ならばヌカが除かれ、野菜や果物だと果皮や果肉が除かれてしまうことがあります。

ポテトチップスを添えたパスタとチーズがこんもりと盛られた主食を缶入りのオレンジソーダで流し込み、食後のデザートにアイスクリームを食べたからといって、食物せんいはほとんど摂れないないのです。しかし、これが多くのアメリカ人がとってきた食事なのです。これでは肥満が解決することはありません。

基本的に人間のカラダは食物を消化すると、ほとんどの構成成分を吸収し、エネルギーとしてすぐに使う必要のないものは蓄えようとします。これとは反対に、食物せんいは私たちのカラダの中の消化酵素では消化されないのです。それゆえ、そのせんい質のかたまりはそのまま残っていて、これこそが大切な生理機能を持っているのです。

 

■食物せんいの働きと2つの種類

その食物せんいが持つ大切な機能の一つが「水を結合するチカラ」

特にリンゴに含まれる食物せんいの一種、ペクチンは、この点が抜群に優れています。食物せんいがカラダの中で移動すると、水を吸収してますます柔らかく大きくなります。そして、まるでスポンジのように膨らみ、その表面に他の物質を引きつけます。

大切な機能のもう一つは「腸を刺激するチカラ」

食物せんいは、水を含んでさらに大きくなり、食物の残りをくっつけていく結果、柔らかくて容量の大きな便となり、腸を刺激し、腸そのものの動く回数も増えていきます。食物中に食物せんいが十分にあれば、大腸内の全ての物質の移動時間も短くてすむため、無理やり大便を押し出してやることもないのです。こうした食物せんいの働きが、確実に人間の健康の分かれ目となることは確かです。

また、食物せんいには「水溶性」「不溶性」の二つがあります。

リンゴや果物に含まれるペクチンや、えん麦や豆類のさやの部分に含まれるガム質は水に溶ける水溶性の食物せんい。食物の残りやコレステロールなど消化の際の副産物を吸着してこれらを体外に排出してくれます。

一方、穀物や野菜に含まれるセルロースやリグニンなどの不溶性の食物せんいは、水分を増やし、容積を大きくして、せっせとウンコ作りをしてくれます。役割は違えど、どちらも立派な食物せんい。私たち人間はこれら異なる二つの食物せんいをバランス良く摂りこむことが大切なのです。

しかし、実際、私たちの食物せんいの必要度とは裏腹に、その摂取量は減っていっています。それは、欧米で小麦の胚芽部分を取り除き、高速で粉にひく機械が発明されてから、人々の食卓から食物せんいを豊富に含んだ食べ物が消え、その摂取量が激減したのとリンクしてほとんどの先進国や地域でも同じことが起こっています。それは、わが国とて例外ではありません。

 

■日本でも進行しつつある食物せんい不足とフルーツ離れ

農協とつながりのあるJC総研の「野菜・果物の消費行動に関する調査結果」というレポートがありまして、これによりますと、果物を食べる頻度が「週に1日、もしくは食べない」と答えた人は、30代で43%、20代以下で55%となりました。

約半数の人が1週間に野菜を1度食べるか、もしくは食べない食生活を送っていることになります。これは完全に若者のフルーツ離れであり、この傾向は年々強まっていると言います。

食べない理由には、「包丁を使うのが面倒」「手が汚れる」「ゴミが出る」というもの。

本来、生きることは、手を使うことだし、道具を使うことだし、ゴミを出すことではないですか。それを億劫と感じる若者たちって、一体生きることをなんだと思っているのでしょう?

これら若者たちの果物離れに、産地は危機感を強めています。青森県庁は県内外の小学生に「青森りんご出前授業」を展開し、栄養価の説明や試食を通じて啓蒙に躍起になっています。

総務省の家計調査によれば、29歳以下の世帯のりんご購入量は全国平均で2000年に約3.7Kgありました。それが、2016年は1.9Kgまで減少しているそうです。

前回もお伝えしましたが、100年ほど前、アメリカ人は年間平均24Kgものリンゴを食べていたと言われます。ところが現在は約9Kgと減り、かろうじてリンゴを1週間に1個食べる程度になったと言われます。

どこの国や地域でも似たような現象が起こっているわけです。しかし、ここ数十年の栄養学的見地から、食物せんいの重要性は十分人々に伝えられ、世界的に啓蒙されてきたにも関わらずです!食物せんいの不足した食生活から生活習慣病や現代病が発生しやすくなることを人類はもう知っているはずなのに、です!

便利さ、豊かさが享受されると、人間はどこまでも怠惰になって、健康に生きるための感性が逆に枯渇してしまうのでしょうか?

私は、丸かじりしたリンゴについた自分の歯型をしみじみと眺めながら、人類がこれから向かおうとしている未来について少々ブルーな気持ちになるのでした。きっとそれは、かじったのが「青リンゴ」だからという理由だけでもなさそうです。

 

 

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