中国の古くて新しい四つんばい健康法

健康法

 

思うんですけどね。中国って国は不思議です。

昔からこの国は人が大勢いるので、ユニークな発想が色々と生まれやすいのです。

以前、中国を旅した時、朝の公園で太極拳をする人々を目にしました。凛とした朝の空気。どこまでも広がる大地。ゆったりと動作する人々。私はそこに悠久を感じました。

私がずっと個人的に興味を持って研究している「導引」もこの国がルーツです。現在、市民権を得た感のある「気功」も実は比較的新しい言葉で、古くは「導引」といわれることが多かったのです。

導引の「導」は、呼吸によって「気」を導き、「引」はカラダを伸ばすという意味があります。手足のひねりやツボの刺激などを取り入れながら気の流れを良くしてカラダが本来持っている自然治癒力を高めます。動作、呼吸、意識の3つをバランスよく用いて気を導き、健康の保持増進、病気の予防治療を目的とした一つの歴史ある健康法、それが導引なのです。

さまざまな健康法を生み出してきた中国ですが、最近流行っているという「奇妙な健康法」をネットで見つけました。




■今、中国で流行る新種の健康法■

朝、中国各地の公園では、導引や太極拳、スワイショウなどいろいろな運動をする人たちを目にします。ところが、最近そこに奇妙な運動をする人たちが現れたというのです。その様子は当局のテレビによって伝えられ、映像をYou Tubeでも確認することができます。

河南省の鄭州市商城遺跡公園には、腰をかがめて背中を丸め、地面に四つんばいになってはい回る人たちが増えています。 四つんばいで歩行運動をする人は、高齢者から若者まで年齢もさまざまで、その数もざっと40人ほど。

運動中の孫さんはこの奇妙な「四つんばい健康法」をして半年が経ったと言います。かつては高血圧で首肩が凝って仕方がなかったそうです。ところが今じゃ首肩は凝らなくなり、血圧も下がったと言うのです。仲間の中でも最も速くはい回れるという段さんは今年90歳を超えたにもかかわらず、カラダはたいへん健康。「彼は毎日のようにはい回り、みんなも彼のことを手本に真似しています」と孫さんは語ります。

地元の中医院治未病センターの主任医師は「四つんばい運動は、中国に伝わる伝説の医師である華佗の『五禽戯』に端を発し、野生動物の動きを真似て、健康を目指すものであります。はうことで全身の体重を手足に分散させ、カラダの各部位、特に腰椎の圧力を軽くし、慢性腰痛、脊柱に絡む病気に治療効果を発揮します。同時に全身運動としても、ふだん使わない筋肉を運動させ全身の筋肉や靭帯、骨格を強くするのでオススメです」そう語ります。

 

 

●中国のテレビニュースで伝えられた「四つんばい健康法」

 

■二足歩行ゆえの問題点■

猿から人間へと進化し、四足歩行から二足歩行へと移行した人類。ならば、四足歩行に戻ることは退化じゃなかろうか? そう考える人もいるかもしれません。

しかし、困った時はシンプルに考え、基本に戻ることで問題を解決できる場合があるのです。一見奇妙に見えるこの四つんばい健康法ですが、誠に理にかなっている点と、これによく似た運動がすでに古くから導引の中にも存在するのです。

人間以外のほとんどの動物は四本足で歩きます。効率からいえば、四本歩行のほうが負担が少なくより効率的だと思いますが、実は全ての動物の中で最も長い距離を移動できるのは、私たち人間です。

アフリカの砂漠に暮らすブッシュマンは狩猟採集民族ですが、彼らの狩りの方法は、獲物の後を何日も歩いて追いかけるのだそうです。やがて獲物が疲れてきた頃に、矢を放って仕留めるのだとか。それが可能なのは、動物よりも人間のほうが長距離を疲れずに歩ききれるからです。しかし、安定感という点で言えば、当然、四本足の方がずっと安定しています。

二足歩行には次のような欠点があるのです。

 

①二足歩行は不安定

人間は立っている時、静止しているように見えますが、本当は前後左右に微妙に体を揺らしながらバランスをとっています。これが完全な静止状態だと、ちょっとした振動を受けても簡単に倒れてしまうのです。

 

②二本足は脊椎への負担が大きい

頭を含む上半身の重さが重力の影響を受けてダイレクトに脊椎や仙骨にかかってしまいます。それゆえ、私たち人間は、野生動物には存在しないはずの肩こりや腰痛に悩まされるのです。

チンパンジーやゴリラ、猿なども直立して二足歩行ができるように見えますが、彼らが二本足で歩くのは短い時間に限られる上、歩き方は、カラダを真っ直ぐにして膝を曲げ、よちよち歩きをしている感じです。膝を曲げて歩くのは、曲げることにより直立のバランスを取れるからです。

人間も背筋は伸ばしていますが、脊柱自体はゆるやかなS字状のカーブを描いていて、このことにより、脊椎にかかる重力が適度に分散されているので個々の椎骨への負担が少なくなり、体幹でバランスを保つことができ、猿のように膝を曲げてバランスを取らなくても直立姿勢が保てるのです。

腰痛に悩まされる人の多くは、この脊柱のS字カーブがあまりなく、前かがみになっていたり、前かがみの姿勢でバランスを保つために、骨盤の角度が下がってきます。そして脊柱と骨盤でバランスが取りにくいために膝を曲げて歩くようになり、姿勢はますます悪くなります。そうしたことが椎骨そのものやそれを支える筋肉や靭帯に過度に負荷をかけることになり、慢性的な不調やコリ、痛みをもたらす原因になるのです。

 

■人間の始まりは、四つんばい歩きから■

実は、そうした苦痛を改善するために、あえて人類の進化の過程を逆戻りして四足歩行し、負担を強いた椎骨や筋肉、靭帯に休息を与えてあげるのもひとつの健康法となるのです。

私自身も、治療院にぎっくり腰で担ぎ込まれてこられたようなクライアントさんに、赤ちゃんがするようなハイハイ歩きをしばらくの間していただくと、自然と立ち上がれるようになって痛みが改善してしまう例をいくつも見てきました。

人間が赤ちゃんから成長する過程でなくてはならないのが、このハイハイ歩き=四つんばい歩きです。

赤ちゃんも初めはうつぶせになって、手足、腰を一生懸命動かしていたはずです。それがある時、右のお尻を上げると腹に力が入って右ひざを床に押すことができ、自然と前進できたはずです。次に左のお尻を上げると同じく膝がお尻の方向へ上がり、床を押してさらに前進できたはずです。しだいに面白くなって交互にお尻を上げては膝で床を押し、前へと進みだしたのがハイハイ歩きだったわけです。

これは人間の遺伝的に組み込まれた生理運動であり、約2年間を一生懸命はうことによって、二足歩行の準備と基礎固めをしていく動きとなるのです。このようにかつて赤ちゃんだった頃、自然に行っていた動きを思い出し繰り返してみることはカラダ全体の機能を整え、生活の中でつくってしまった不自然さを解消するのに役立つのです。

腰痛などで立ってまともに歩けなくなったような状態においても、今一度動作のスタイルを一つ手前の原初の状態に戻し、ハイハイ歩きをすることで、再び二足歩行に備えるための準備をする、つまりはカラダを修復するための運動としても活用できるのです。

 

■あの有名アスリートも取り入れていたハイハイ歩き■

これらのことは、一部の治療家のみならず、プロのアスリートも知っていてトレーニングに活用している人は大勢います。繰り返し行うことで身体バランスを本来あるべきカタチに戻してくれるため、バランス感覚が要求される運動選手やダンサーのみならず、プロレスラーや格闘家なども実践しています。あのアテネオリンピックで金メダルをとったハンマー投げの室伏広治さんがこのハイハイ歩きを取り入れていたのは有名な話です。

室伏さんは選手時代、人並み外れた筋力を持っていたがゆえ、故障が多く困っていたそうです。しかし、そんなカラダを本来の体感バランスに戻すため、人間の原初状態の運動であるハイハイ歩きに着目してトレーニングに取り入れたところ、故障することが少なくなり長い選手生活をトップアスリートとして活躍することができたのです。

 

●選手時代の室伏広治さん

写真はウィキペディアよりhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%A4%E4%BC%8F%E5%BA%83%E6%B2%BB

 

■四つんばい健康法のやり方■

そのハイハイ歩きからさらに一段階進化したものが、今中国で流行しだした四つんばい健康法と言えます。論より証拠、まずはあなたも試してみてください。

ただし、血圧の高い方など人によっては頭に血が上り、めまいを覚える場合があるかもしれません。頭痛のある時や体調の優れない時は無理して行わないでください。また、膝や肘、手首・足首の関節に問題のある方にはオススメできません。必ず障害物のない広い場所を確保して行うこと。それらの点をご確認いただき、レッツ・トライ!

 

①四つんばいになる。

②手のひら、足の裏は浮かさず、床にぴったりつける

③肘、膝もできるだけ曲げずに伸ばす

④ゆっくりと手足を使って歩き出す

⑤前方に移動し、時に後方、そして左右横、さらには斜め方向と変化をつけて歩く

⑥首は反らず、顔は床に向けながらこれらの動きを5分ほど繰り返す

 

これらを毎日行うことで、骨盤の歪みが自然に矯正され、慢性腰痛が改善されます。また、余分な脂肪を燃焼し、無駄に突き出たお腹やお尻を引き締めてくれます。そして、冒頭登場した中国人医師が述べたように、ふだん使わない筋肉を運動させることにより全身の筋肉や靭帯、骨格を強くしてくれます。

 

さあ、そうとわかったら、中国だけで流行らせないで、日本でもこの古くて新しい四つんばい健康法を皆で実践してみようではありませんか。公衆の面前で行うことに躊躇しないあなた!ぜひ私にご一報ください。

この札幌でも志望者が50人集まったら、今年のゴールデンウィーク、市内の大通公園あたりで皆一緒に四つんばいデビューいたしましょう!連休の青空の下、集団四つんばい行進なんて壮観じゃないですか。

「私も参加希望します!」

そんなあなたの熱いメールをお待ちしています!

 

 

⭐️ 盛先生は、中国気功の達人にして精神科医。原理編に始まり、症状ごとの実践編、気功法の基本や按摩、薬膳法、季節の過ごし方など詳細に紹介されています。日本にいながらにして本場中国の技と思想に触れられるなんて、私たち全く素晴らしい時代に生きてます!

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