この季節、街を歩いていると、どこからともなく聞こえて来る「石焼〜き〜イモ〜、イモっ」の宣伝文句。
ホクホクに火が通ったサツマイモほど、私たち庶民の食欲と郷愁をそそる食べ物はありません。これからクリスマス、お正月と華やかなイベントが増えて食卓がご馳走で彩られるまでの間こそまさに旬。サツマイモは私たちの心とカラダを満足させてくれるありがたい食物の一つです。
しかし、世間一般のサツマイモにまつわる誤解と「ある風評」がその価値を下げていることに業を煮やした私は、今回こうして記事を書き、そのあらぬ噂を払拭することを決意しました。
そのあらぬ噂とは大きくあげると２点。
①サツマイモを食べ過ぎると太る。ゆえにサツマイモはダイエットの敵である。
②サツマイモを食べるとおならが出る。ゆえにサツマイモは臭いおならの真犯人である。
これらの風評は決して正しくはない。実は、あのアメリカのNASAが、将来、人類が宇宙に長期間滞在するようになり、食料を自給自足する際に栽培する作物として、最も注目していた食品の一つがサツマイモなんですから。
いつか人類は環境悪化により住めなくなった地球を脱出して他の惑星に移住しなければならない日がやって来る。そんな未来を想定してあのアメリカの NASA（アメリカ航空宇宙局）が宇宙開発事業に血眼になっていたのは皆さんご存知のことと思います。
そこでは将来、人類が宇宙に長期間滞在するようになった時、食料を自給自足する際に栽培する作物として、これまで稲や麦、芋類の研究が重ねられてきました。その候補の中で、NASAが最も注目していたのは、サツマイモだというのです。
●サツマイモ 心なしかザルに入ったサツマイモがスペースシャトルに見えてしまうのは私だけでしょうか。
サツマイモは、荒れた土地でも栽培が簡単な上、まず手がかからない。しかも、エネルギー源となる糖質が多く含まれている食べ物ですから、日本でも江戸時代には、飢饉や食糧難の際、全国に広まり多くの人の命を救ってきた食品なのです。
もともと芋類は、米や麦などの穀類同様、糖質を多く含むことから主食としている民族もありますが、サツマイモは、ビタミンやミネラルも含まれているので、穀類と野菜を併せ持った栄養素バランスを有することから「準完全食品」とも呼ばれています。
また、茎や葉も食べることができ、調理法も幅広く、様々に活用できるという理由から、ＮＡＳAでは現在も宇宙環境に適した新しい品種改良の研究を進めているそうです。イモと宇宙は、意外なところで繋がっているのです！
サツマイモといえば、根を食べるのが主流です。ゆえにサツマイモは大根、人参、ごぼう同様に「根菜」といえます。ちなみにジャガイモも根菜と捉える人が多いですが、それは間違い。あれは地下茎が肥大化してできたものなので、アスパラなどと同様に茎を食べる野菜で基本的にカラダを冷やします。
サツマイモは葉や茎部分も食べることができ、東南アジアなどの多くの地域では、それらを食べるのが普通です。日本でも近年、農林水産省農業研究センターが葉も食べられる新品種「エレガントサマー」を開発しました。苦味がなく、サクサクとした歯触りで、和え物やサラダとしても食べられ、もちろん根の芋の部分もおいしく食べられるそうです。
将来、温暖化などの異常気象の影響で食料不足が心配されますが、サツマイモのように無駄なく利用できる食べ物はきっと救世主となることでしょう。実は栄養面にも優れ、特に女性には食べていただきたい美肌成分も多く含まれているのがサツマイモなんです。
サツマイモには食物繊維が多く含まれ、お通じが良くなることはご存知ですよね。でもそれだけじゃなく、抗酸化成分も多く、美肌のために、また生活習慣病予防などにも優れているのです。
サツマイモの食物繊維は、消化できない不溶性のセルロースで、腸を刺激して便秘の予防・改善に役立ちます。またサツマイモを切った時に、切り口に出る白い汁はヤラピンという成分で、便を柔らかくして便通をよくする働きがあります。腸内環境が良くなれば、便秘による肌荒れなどを改善することはもちろん、腸は免疫力にも関わる臓器ゆえ、免疫力向上に役に立つことはいうまでもありません。
しかも、サツマイモはビタミンCを多く含くみます。本来、ビタミンCは加熱すると減りますが、サツマイモはでんぷん質が表面を包み、ビタミンCを保護して減るのを防いでくれるのです。
また若返りの鍵を握るビタミンE、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸、そして紫芋などにはアントシアニンも豊富に含まれています。これらの成分はすべて、老化や生活習慣病などを引き起こす原因となる活性酸素を除去する抗酸化作用があるのです。サツマイモさんありがとう！
サツマイモを好きな女性は多いけれど、それは理にかなっているといえます。なぜなら、美容にも良いから。シミやそばかすの原因となるメラニンの生成を抑制する効果があるのです。しかも、サツマイモから抽出された成分は、美白効果のあるアルブチンと同様な働きをするのです。
しかし、サツマイモは、主成分が炭水化物＝糖質であり、味も甘いことから、食べると太る食品と考える人は多いもの。しかし、蒸したサツマイモと米飯のカロリーとを比較してみれば、サツマイモの方がカロリーは少なく、しかも脂質はほとんど含まれません。
結果、栄養源でありながら太りにくく、美容にも良いともなれば、美しくなりたい女性は積極的に摂るべき食品と言えるのではないでしょうか。
「サツマイモを食べ過ぎると太る。ゆえにサツマイモはダイエットの敵である」という風評。それゆえ私は、冒頭に述べたように、そんな噂を払拭したいわけであります。
誰が言い出したのか、「サツマイモを食べるとおならが出る」ともよく言われます。だからなのか、ホクホクに焼けた美味しい石焼きイモを食べたいのにじっと我慢している人も多くいる始末。
では、本当にサツマイモを食べるとおならが出るのでしょうか？
・・・残念ながらそれは本当です。
原因は、サツマイモが豊富に食物繊維を含んでいるところにあります。大腸にたくさんの食物繊維が含まれると腸内細菌の働きが活発になり、それが多量のガスを発生させるのです。
次に、「サツマイモのおならは特にクサイ」と言われることがあるようですが、しかしこれはとんでもない間違い！
実験の結果、サツマイモを食べて発生するガスはほとんどが水素で、硫化水素、インドール、スカトールといった、あの嫌なニオイの元となる成分は全く含まれていないことがわかったのです。
水素はご存知無色無臭の気体。むしろ、サツマイモはおならの回数は増やすけれど、匂いのほうは薄めてくれるというのが正解です。
つまりは、私が声を大にして言いたいことはこういうことです。
「サツマイモを食べて出るおならはクサイ匂いの真犯人ではない！」
⭐️ さあ、あなたも年末年始は思いっきりサツマイモ。クサイ匂いの原因ではないとわかった今、恥じることなど一つもありません。放屁したっていいじゃない。腸も元気で免疫アップ、美容にも良いこの食品。でも、どうせ食べるならやっぱり無農薬だよね！
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