震災は背骨に現れる

心と体

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九州・熊本はまだまだ余震が続いているようです。現地で不安な気持ちで毎日をお過ごしの皆様に心よりお見舞い申し上げます。

以前も記事にしましたが、地震のような予期せぬ自然災害は、私たちの心とカラダに影響を及ぼします。前回はそのストレスや不安を克服するための自分でできる調整法についてお伝えしましたが、今回は、人が人にしてあげられる方法がありますのでそれをお話したいと思います。ご家族やお友達どうしでぜひ活用して頂きたいと思います。

 





 

■背骨に危険が現れる■

昭和の整体の名人に野口晴哉先生がいます。野口先生は野口整体の創始者であり、生前は施術についての人間離れした数々のエピソードを持っておいでです。

その野口先生曰く、「人間の身体は地震の前になりますと、その危険を本能的に身体で察知して、背骨に変化が現れます」

地震前にナマズが暴れたり、犬や猫がやたらと鳴いたり、飼い主に知らせて回ったりという報告がありますが、魚や動物のみならず私たち人間のカラダ、特に背骨も無意識に反応し、危険を知らせているのだと野口先生はおっしゃっていました。

その背骨がどこかといえば、12個ある胸椎のうち、4番と8番で、地震を予知する時には、事前にここに変化が現れると言うのです。胸椎4番と8番は心臓に関係していて、これらの場所が硬く強張ったり、押すと痛く、人によっては、地震の起こる数日前から動悸がしたり、呼吸が乱れたりする症状が出ることもあります。

地震前の自然の変動には、地下のプレートの動きや電磁波の急激な変化がありますが、そうした影響を地震の揺れ以前に私たちのカラダは危機として感じ取って、反応しているのではないかと考えられます。

 

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●胸椎4番と8番の位置

 

 

■地震後も続くカラダの不調とは?■

また胸椎8番は消化器系にも関係していて、さらには胃と関係が深く、地震前には「なんとなく食が進まない」とか、「大好物なのにいつもほど美味しく感じない」といった食欲の減退が起こる場合も多いです。実際、地震が起こってから、ショックやストレスによって食欲の減退がその後も長く続いてしまう方もいらっしゃいます。

また、地震後によくある症状としては、めまいがするとか、地震かと思って周囲を見ても、実際は揺れていないという経験のお持ちの方も多いでしょう。これは「地震酔い」という症状で、過去の東日本大震災の時や、今回の九州熊本地方を襲った大きな地震の後は、余震が頻繁に来るため気持ちが落ち着かず、カラダが過敏になって、小さな地震でも大きく感じ取ってしまうのです。これらは、自律神経の乱れや平衡感覚の不安定によっても症状をより大きくしてしまいます。

 

■人が人にしてあげられる手当て■

地震がカラダに与える影響は大きく、たとえ被害が少ない小さな地震でもカラダには何らかの影響を残してしまうものです。そんな時、ぜひ試して頂きたい処置法があります。

野口整体には「愉気(ゆき)」と呼ばれる調整法があります。非常にシンプルな方法で、言ってみれば一種の「手当て」です。例えば、誰でも、腰が痛ければ無意識のうちに腰に手がいきますよね。

「腰が痛いのは、きっと足の筋肉が衰えたからだ。ということは足のどこかに手を当てたほうがよさそうだ」なんて、いちいち考える人はいないと思います。自然と痛むところについ手がいくものです。この「つい、手がいく」という感覚が大切で、こうした本能的に取ってしまう行動に無駄なものは無いと野口整体では考えるのです。

 

■愉気の方法■

さて、その愉気の方法なのですが、痛い所や普段から気になる所に、手を当てて意識を集注することから始めます。心を静かにして、触った感じ、手が触れた感じを丁寧に味わうようにします。数分すると、その場所が暖かく、慣れてくると「熱い」くらいに感じられるかもしれません。

特に今痛んでいる所というのは少し熱を帯びているものです。カラダを修復しようとして熱を帯びているのですから、手を当てるということはそれを手伝うことになります。

野口整体は、この「手を当てる」ということが基本にあります。様々なツボを押さえたり、刺激したりするのもやはり「手」であることに意味があり、器具で刺激されたのとは、感じが違うのです。

問題のある場所や気になる場所に手を当て、意識を集注させるだけで良いのです。「早く治れ」とか、「良くしてやろう」などというのは雑念の一種です。そうした意識的な「作為」は、相手の無意識に伝わってしまい、自然な回復を邪魔してしまいます。無心になって触れるのです。その方が効果があります。

 

■震災後の不調に対して愉気をするポイント■

先にお話ししました震災後の不調につきましては、その愉気を用いて、次の場所に愉気を行います。

①胸椎3・4番、8番

②両耳

③頭部第2調律点

③の頭部第2調律点についてお話ししますと、人は神経的な緊張が続く時や、感情の起伏が激しい時、それにより頭が疲労して神経過敏になってくるとこの場所が緊張萎縮してきます。さらにその度合いが激しくなれば、弛んで鈍くなってきます。この頭部第二調律点はお腹の筋肉と連動していて、頭部第二調律点が弛んで鈍くなりますと腹直筋が硬直してくるのです。

よく怒っている状態のことを「腹が立つ」などと言いますが、まさに人が怒っている時は、実際にお腹の筋肉が硬く盛り上がった状態になるのです。同時に、頭にある頭部第2調律点周辺の頭蓋骨の骨が開いて隆起し、わずかに飛び出したようになるのです。まさに鬼のツノのある場所です。鬼とは、私たちの感情の中に住まう怒りやイライラのことを言うのではないでしょうか?

ストレスが溜まった時にも、この場所が硬くなり、少し盛り上がったように感じられるものです。震災のショックやその後の暮らしでイライラした時にもなんらかの変化がこの場所にあるはずですので、①や②の場所に合わせて、人に手を当ててもらって愉気をしてもらうと心が落ち着き、呼吸が深くなるのを感じられるはずです。ぜひ試してみて下さい。

 

■頭部第2調律点の愉気■

③の頭部第2調律点については、もう少し詳しく説明させて頂きますね。

この場所は、目の中央をまっすぐ上がった線と耳の前をまっすぐ上がった線を結んだ時に頭の上で交差する二点を言います。

方法は、まず相手に仰向けで寝てもらいます。術者は相手の頭の上の位置に正座をして構えます。左右の手の親指をそれぞれ左右の頭部第2調律点に軽く当て、左右のうち鈍い方・気の通りの悪い方を患側とします。

他の四指は側頭部に支えるように添えておきます。左右の頭部第2調律点に親指を当てたまま、患側の鈍い感じ・気の通りの悪い感じが健側と同じような感覚になるまで、左右を揃えるようなイメージで愉気をします。ここが整ってくると左右の違いがなくなり、相手の呼吸が深く感じられるようになってきます。その感覚が得られれば調整成功です。

 

 

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●頭部第2調律点の場所

*施術は相手に仰向けになってもらって行います。

 

大げさかもしれませんが、たかが手を当てるだけなんて思わず、生命に触れるつもりで 、深いレベルのコミュニケーションのつもりで、丁寧に静かな心で行って頂きたいと思います。

お子さんやお友達がどこか痛がっている時でも、この方法で治りが早くなります。どこが悪いか解らない時でも背骨の上を触っているだけで何となく気になる場所がわかったりすることもあります。もし正しい場所がわからなくても、気持ち良いと感じられる所に手を当ててもらいましょう。

たとえ理屈がわからなくても、難しい訓練を積んだ経験がなかったとしても、どうぞ近くにいる人同士でお互いに手を当て合って、「気」の交流と感応を感じてみて下さい。きっと内なるチカラが湧き出してきて元気になるのを感じられると思います。

本ブログをお読みの読者の中には、実際、震災に遭われて現在避難中の方もおありかと思います。不安がつのり、やるせない気持ちでお過ごしのこととお察ししますが、どうか心とカラダを整えてこの難局を乗り越えて頂きたいと願っています。関係するすべての方々が一日でも早く元気を取り戻し、事態が収束へ向かいますようにお祈りしています。

 

 

⭐️ 野口先生のその卓越した人間観察、カラダ観察のセンスは、時代が変わっても決して古くなることはありません。読むたびごとに新しいヒントを頂ける素晴らしい教科書です。これからも一生読み続けていきたい一冊です。

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