死なないための歩き方

運動

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先日、「ジョギングでカラダを壊さないための10の秘訣」について書きましたが、今回はもっと過激に「死なないための歩き方」というタイトルで、何事もほどほどが良いというお話をしたいと思います。

実際、ほどほどが良いのです。

元来、日本人は根が真面目でとことん追求する気質を持っていると思います。その気質が戦後経済における奇跡の復興を成し遂げ、全国民の生活を向上させた原動力ともなったと思うのですが、もうそろそろ、私たちも「ほどほど」というものの効用を踏まえた上で、のんびり生きるモードに入っても良いのではないかと感じているのです。

それは、健康法や食事法、運動法についても言えると思います。もちろん、それぞれの分野において、真剣勝負の時というのはあります。しかし、その時が過ぎたなら、心もカラダも休ませて、リラックスとともに次の変化を待つくらいの余裕があった方が、モノゴトをより深く楽しめるのじゃないか、今回はそんなお話です。

 





 

■動脈硬化の原因、それは頑張り過ぎ■

日本人の死因の第1位はがんですが、第2位、第3位の心疾患、脳血管疾患を合わせると、がんと同じくらいの人々が亡くなっています。これら、心疾患や脳血管疾患の大多数が動脈硬化が原因で起こります。また、心疾患や脳血管疾患は、命を落とさずにすんだ場合でも、寝たきりや生活の制限が必要となることが多く、日本人の健康な生活を守るためにはこれらの動脈硬化疾患の予防が重要であることは言うまでもありません。

動脈硬化は、血管が詰まる病気です。血管は、もともとはきれいなパイプ状の形をしていますが、血流中の様々な物質が悪さをして、血管内を傷つけるのです。若い頃は、血管内の傷をキレイに修復する力がありますが、歳を重ねると、傷の修復が間に合わなくなります。その結果、血管内が細くなったり、でこぼこした状態になったりします。

激しい運動をしている時というのは、人は心臓から大量の血液を送り出します。その血液が、流れにくくなった血管を通ろうとすれば、当然、血管は詰まってきます。「激しい運動ができるほど、健康度も上がっている」という認識は間違っているわけなのです。

 

■なんでも増やせば良いわけじゃない■

ウォーキングは、誰もが手軽に始められることからジョギングと並んで人気のあるエクササイズです。しかし、昔から万歩計を腰にぶら下げて「毎日1万歩を歩けば健康になれる」と信じ、やがてそれは健康スローガンとなって「1日1万歩以上歩こう運動」としてみるみるうちに世の中に広まりました。

「毎日1万歩以上歩いてさえいればOK」という誤った認識がさらに発展して「歩けば歩くほど健康になる」という考えになり、1万歩よりも2万歩、2万歩よりも3万歩というふうに距離をさらに伸ばす人も現れます。

しかし、実際のところ、運動のし過ぎは、健康に効果がないどころか、逆に健康を害することになります。なぜなら、し過ぎると免疫力が低下するからです。

私の知人に市民大会にも毎年出場するマラソンマニアがいまして、毎回、記録を縮めることを生きがいにしておりました。記録が向上するのが嬉しくて、さらに複数の大会に出場。寝る間も惜しんで練習に励んでいたところ、下肢の痛みと痺れを訴え、病院で診てもらったところ動脈硬化とのこと。彼は見た目も太っておらずカラダが絞れていていたって健康そう。しかし、血管はボロボロ。過度なマラソンは彼にとって激しすぎる運動だったのです。

 

■理想的な運動量とは?■

これは何もマラソンだけに限ったことではありません。ジョギングやウォーキングについても同じことが言えるのです。

実はそこには、「健康に効くウォーキング」とか「効果的なウォーキング」というゴールデンルールが存在するのです。残念ながらそれは、まだまだ広くは知られていません。そのため、「健康のためにちゃんと歩いているよ」と自負している人が健康を害してしまっているケースが、数多く見られるわけです。

確かに、「1日の歩数の多い人ほど糖尿病の発症リスクが低下し、脳卒中や心臓病などによる死亡リスクが減少する」という研究結果はあります。1日の歩数を1万歩に増やすと、死亡リスクが46%減少すると英国のオックスフォード大学とオーストラリアのジョージ国際健康研究所の研究チームによる研究の結果明らかになりました。しかし、そこでも大切なのは、バランスです。やり過ぎに害があるのは先に述べた通りです。では、ちょうど健康のためにちょうど良い指標があるのかという話ですが、あります。

日本人の平均寿命は、男性が79・94歳、女性が86・41歳。高血圧症、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、認知症、ガンなどの生活習慣病や健康不安を数え上げればキリがありません。しかし、こういったすべての病気に対しても「ある指標に基づいたウォーキング」が効果的であるということが、研究の結果わかってきたのです。では、それはどのようなウォーキングなのでしょう?

 

「8000歩/20分」これが重要な数字です!■

それこそが、やり過ぎでなく、足りな過ぎもしない「ほどほどの運動」なのです。このほどほどの運動こそが、あなたを健康にするゴールデンルールとなるのです。

では「ほどほど」の運動とはどんなものなのでしょう?

「ほどほど」にはしっかりとした指標があるのでしょうか。実は、それがあるのです。1日24時間の総歩行数を「8000歩」として、そのうち中強度の運動(歩行)を行う時間を「20 分」とします。そして、この2つを組み合わせた数字がゴールデンルールの指標となる数字なのです。

「8000歩を20分でこなすウォーキング」

ちなみに「中強度」の運動とは、「なんとか会話ができる程度」の速歩きを指します。散歩のように鼻歌が出るようなの歩き方だと、ゆっくり過ぎ。逆に競歩のように、会話ができないほどだと、速過ぎというわけです。この数字を導き出したのは、東京都健康長寿医療センター研究所 運動科学研究室長の青柳幸利さん。

 

■ウォーキングを避けるべき時間帯■

青柳さん曰く、速歩きをするのに、「最も適した時間帯」が1日のうちにあります。

あなたは一体何時だと思われますか?次のうちからお答え下さい。

①早朝、②日中、③夕方、④就寝前

 

正解は、③の夕方なのです。逆に最も良くないのは、①の早朝なのです。なぜかといえば、人間の体温が1日のうち最も上がるのが夕方の4〜6時頃なのです。夕方に速歩きをすれば、筋肉に刺激が与えられ血液の巡りが良くなります。そして、ピークの体温がさらに上がり、最高体温と最低体温の差は広がります。また、夕方のピーク時を過ぎると、徐々に体温が下がり、就寝時の体温に下がるわけですから夕方の体温が高ければ就寝時の体温も高くなり、起床時よりも就寝時のほうが高くなります。そして、平均体温も上がり免疫力も向上します。

また、起床時の人のカラダは、カラカラに乾いた状態です。それは血液がドロドロの状態であり、そんな状態で、いきなり運動を開始するとどうなるでしょう?

当然、心疾患や脳卒中が起こるリスクが高くなります。事実、脳卒中や心疾患の発症を時間帯別に見ると、午前中に集中しているのです。脳卒中や心疾患を予防しようと思って始めたウォーキングがかえって仇になって病気が発症してしまったら本末転倒ではないですか。それゆえ、あなたの健康を維持するためにも、起きてすぐののウォーキングは避けるべきなのです。

 

■ウォーキングをどれだけ続ければ効果が出るか?■

では、その「8000歩を20分でこなすウォーキング」をどのくらいの期間続ければ、実際の健康効果が期待できるのでしょう?

その大きな目安は、2カ月とのこと。理由は、2カ月で「長寿遺伝子」にスイッチが入るからです。長寿遺伝子とは、体内で細胞の損傷を防いだり、エネルギー生産に影響を与えたりしている「サーチュイン」という酵素をつくる働きを持つ遺伝子のことです。

長寿遺伝子は、誰もが持っている遺伝子であるにもかかわらず、普段は眠っていて、いつどのようにすれば活性化するのかまでは解明されていませんでした。ところが、その後の研究で、「1日20分程度の中強度の運動を2カ月間続けることで、長寿遺伝子のスイッチが入る」ことが証明されたのです。

ちなみに、せっかく長寿遺伝子にスイッチが入っても「8000歩を20分でこなすウォーキング」生活を2カ月間ほど休むと、長寿遺伝子は残念ながら再び眠りについてしまいます。時々休むのはアリとしても、ゆるゆるとほどほどに続けることが大切ということなのです。頑張りすぎは長く続かなくても、ほどほどだとモノゴトは長く続けられますもんね。これはきっと人生の極意にも通じます!はい。

 

 

⭐️ 青柳先生のご指摘は、きっと皆さん目からウロコ。でも、決して無理なことじゃない。むしろ、健康に生きるにはほどほどが大切なことがとてもわかりやすく書かれています。マラソンマニアのあなたにも得るところ大。これからは頑張りすぎず、ゆるゆる楽しみましょう!

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