朝の断食はカラダに良いよ

最近では「デトックス」という言葉が随分と市民権を得た感があります。

デトックスとは、つまりは排毒、排泄。

腸という器官は私たちの心とカラダに大変深く関係しています。しかし、四六時中、のべつまくなしに食べ物を食べていたのでは、腸が休まる機会がありません。これまでの栄養学ではこの点があまり考慮されずに、その食品に含まれる栄養成分やカロリーの量をもとに食べ方が指導されてきました。

しかし、それらはあくまでも食べる前に割り出された数値にしか過ぎません。いくら栄養バランスが優れているからといって、腸内で全てが吸収されるとは限りませんし、かえって消化器系にダメージを与える場合だってあるに違いありません。

■もっと「出すこと」にウェイトをおこう！■

栄養学の本を読んでも「入れる」ことばかりが書かれていますが、実際にはそれと同じくらい「出す」ことだって大切なのです。では、具体的にはどのようにして出せば良いのでしょうか？

そこでオススメしたいのが「ファスティング」＝断食です。といっても全く食べないことをススメようというのではありません。食べないことそのものに目的があるのではなく、あくまでも腸の働きを休ませ、活性化させていくことが大切なのです。

医師で大腸が専門の新谷弘実先生が提案される朝のファスティング法は、無理がないので私も支持させて頂いてます。方法はいたって簡単、次の通りです。

■新谷先生の朝のファスティング法■

①前日の夜八時くらいまでに夕食をすませる。

②朝起きたら、多めに水分を摂る。

③季節の果物を頂く。

④お昼まで加熱した食品を口にしない。

このうち、②の水についてはもっと細かく言えば、色々な条件があるにはあるのですが、まずは「市販のミネラルウォーターを常温のままで飲む」というところから始められると良いでしょう。その際、500mlのボトルを数回に分けて飲むのが目安になります。

季節の果物を頂くというのは、豊富に含まれる酵素の働きで自然に消化吸収されていくという利点があるからです。体内に取り入れても腸の負担が最小限ですむ他、ビタミンやミネラル、食物せんいなども豊富に含まれています。これらの栄養素は消化・吸収・排泄をサポートするために働いてくれるため、腸が過重労働から解放され、腸にたまったゴミの処理に専念できる環境を作ってくれます。

できれば午前中は、果物と水だけで過ごすようにし、昼ごはんまでは腸を休ませる習慣をつけるのです。前日の夜8時までに夕食を済ませていれば、翌日の昼12時までは約16時間の断食が可能になるというわけです。約16時間といえば、実に１日の3分の２。この変化は大きいです。

■朝のファスティングの注意点■

ただ、気をつけねばならないのは、果物を摂りすぎないこと。いくら良いと言っても果物は果糖を多く含む食品。摂りすぎはカラダの糖化を進めてしまいますからね。

また、昼ごはんや晩ごはんもできれば和食で腹八分目を保ち、消化器に無理をかけないこと。腸内環境が変わっていけば、自然に腸に負担のかからないものを好むようになってきます。

そして、昼ごはんと晩ごはんの前にもそれぞれ水をしっかり飲むこと。そうするとカラダの排泄作用が高まって老廃物が排出しやすくなるのです。しかし、この時はあくまでも水で補うことが大事です。お茶やコーヒー、清涼飲料水は含みません。一般的に良い飲み物のイメージで受け取られることの多い果汁100%のジュースも「濃縮還元」と書かれていれば、製造の過程で加熱処理されているため、みずみずしい果物の生命力を補給していることにはなりません。単なる糖質の液体にすぎない場合があるので要注意。

■まずはお掃除。そこから全ては始まる■

こうしたファスティングの良き点は、何も腸に飲み作用するわけではありません。一定の空腹時間を確保することによって細胞に溜まっている「ゴミ」も効率よく取り除くことができるようになるのです。

しかも、細胞内で「オートファジー」と呼ばれるリサイクルシステムが発動し、タンパク質のゴミをアミノ酸に分解し、再びタンパク質合成の材料にすることができるのです。

逆に言えば、食べてばかりいる人というのは、腸だけではなく細胞にもゴミを溜めてしまうのです。オートファジーだって働きゃしません。こうなると栄養成分の高いものをいくら摂ったっていいことありゃしません。まずはお掃除。そこから全ては始まるのです。

⭐️ 新谷先生の主張は至極まっとう。免疫力を高めて病気を予防するための、生活術、習慣、運動、食生活など身近にできるアイデア満載。免疫力を低下させる一番の原因ストレスについては懇切丁寧な解説がありがたい。