さて、いよいよ病気へのプロセス最終段階に入っていきます。
食生活やライフスタイルが改まらず、カラダに負荷がかかり続けた先に待っているのが、臓器や血管の一部が肥大したり硬くなったりする「形態変化」という状態であることは前回お伝えした通りです。
それでも改まらなかった場合、私たちのカラダは、重要な臓器を守ったり、カラダ全体の機能をなんとか保とうとして、体内にある過剰物や有害物質をカラダの中の一ヶ所に集中的に溜め込もうとして働きます。これが「局部集中」といわれる症状です。これはカラダに毒がまわらないようにするためのカラダ自身の苦肉の策なのです。
例えば、扁桃腺炎。
マクロビオティックでは、扁桃腺という器官にリンパ系の浄化作用があるため、毒をここに一時的に集めて浄化を促そうとするカラダの働きのためにここに炎症が起こるのだと考えます。
ところが対症療法的に捉えて、扁桃腺の切除手術をしてしまうと、この浄化作用がうまく働かなくなったり、結局は腫れやリンパ腺の炎症を引き起こしやすくなってしまったりします。
こうした浄化機能を持つ器官を除去することで、血液の質が悪化したり、ことに赤血球の慢性悪化を招く原因となることもあります。
個人的な話ですが、私の診させて頂いているクライアントさんで、数ヶ月前から顔面部や首、後頭部の痛みやめまいを覚え、耳鼻科や脳神経外科で診てもらっても原因が何一つわからず、うちの治療院を訪ねて来られた方があります。
聞いてみると、数年前、胆石の痛みがあったことから訪れた病院で、医師から胆のうを切り取っても術後の生活に何も困ることはないから手術すべきとの説明を受け、手術を受けたものの、術後から原因不明の不快な症状があちらこちらに出始め、仕事ができないほどの苦痛をともなうようになったため、当院へ来られたとのことでした。
全身のエネルギーの流れの調整を目的とした施術を続けていくうち、この方は仕事も以前より苦痛なく行えるようになり、大好きだったサイクリングも楽しめるまでに回復しています。
おっしゃるには「どうもあの胆のうを摘出した後あたりから自分のカラダが自分のカラダでないようになり、アレルギーのような症状も頻繁に出るようになった」とのこと。「カラダにとって不要なものなど何一つないんだなと今は思っています」とクライアントさんは強調されます。
もちろん、胆のう切除と体調不良を結びつける科学的データがあるわけではないので、一概に原因がそうであると断定することはできませんが、やはり、カラダは60兆個の細胞が互いに協調しながら運営しているわけで、もし可能であるならば、カラダに負荷をかけることなく切らずに整えられる道を選びたいものです。
マクロビオティック的には、先にあげた炎症症状や腫れが現れる部位によって、摂取した食物の影響をみていきます。例えば、肉や卵、チーズなどの過食によって問題が起こる場合は、前立腺や卵巣、膵臓、肝臓、肺などの器官に集中して腫瘍や腫れが生じやすく、牛乳の摂取が過ぎれば、乳房や子宮、あるいは咽頭などに腫瘍が生じやすいと考えます。そして、そうした腫瘍のうち悪性化したものががんになってゆくとみるのです。
以上が病気に至るまでの5つのプロセスであります。最初から覚えていますか?
では、もう一度おさらいしてみましょう。
①排出=排泄
②蓄積
③機能減退=機能不全
④形態変化
⑤局部集中=局在化
以上の5つでしたよね。
もちろん、早い段階で病気の兆候を発見して手を打てば、カラダは深刻な状態に陥らずに健康を回復してゆくでしょう。先へ先へと進むにつれて状況は深刻化し、なかなか改善まで持っていくのが難しくなってしまうのは言うまでもありません。
なので、病気へと至るプロセスを知ってふだんから自分自身のカラダのサインに耳を傾け、健康状態をチェックしておく必要があるのです。そして、食生活やライフスタイルに修正が必要なところがあれば、速やかに修正し改めることが肝心です。修正するための方法論がわかっていれば、なにも病気を恐れることはありません。
カラダのどの部分を見ると何がわかるか?
マクロビオティックでは「望診法」としてそれら方法論が体系づけられ、誰もが活用できるようになっています。それについてはまた別の機会にお伝えしますね。
それでは、今日はこのへんで。
健康で生き生きした毎日をお送り下さい。
★今回の記事は、マクロビオティックの師・久司道夫先生(故人)のお話を参考に執筆させて頂いています。偉大な思想と健康のための実践法を残されたとても大きな師でした。今も先生の映像を時々拝見し、初心に戻るよう心がけています。
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