食べ過ぎや心の無理からくる余分な食物、マイナスのエネルギーがカラダの排出能力を超えた時、一体何が起こるでしょう？
それらは、カラダの内部に「蓄積」されます。少しずつ溜まってゆくのですね。お金が貯まるのは大歓迎だけれど、余分な食物やエネルギーは悪さをするので困りモノです。
最初は、お尻やお腹、それに肩、背中、また手足の筋肉せんいの間など、比較的に無難な場所に蓄積され、やがて少しずつカラダは肥満していきます。しかし、それでも生活が改まらない場合は、やがてそれらが内臓や血管内へと蓄積されるようになるのです。
こうした余剰物は、肝臓では炭水化物と脂肪として溜まり、筋肉ではたんぱく質と脂肪として溜まり、カラダ全身では脂肪酸として蓄積していきます。
前回にもお話しましたように、アトピー性皮膚炎などは、下痢、発熱、鼻水、くしゃみなどと同様に排出現象のひとつのあらわれなのですが、さらに有害な成分が蓄積されると、その警告信号が「かゆみ」となって発せられるのです。
それからさらに蓄積が進むと、ついにはカラダの蓄積能力の限界を超えてしまい、ついには臓器本来の機能が正常に働かなくなってしまいます。この現象を機能減退とか機能不全と言います。
これらはなにも内臓だけにとどまりません。血管の機能不全もそれに含まれ、その現象は動脈硬化とか梗塞と呼ばれます。この段階にくれば、医学的な検査で数値の異常が認められるレベルです。
現在では、医師や栄養士の多くが、飽和脂肪やコレステロールの摂取量と冠状動脈の病気との関係について指摘するようになりました。しかし、マクロビオティックの観点では、それらのものだけでなく、白砂糖や乳製品などの過剰な摂取もこれらの病気の進行と深く関わっているとみます。
では、内臓で過剰物の蓄積が最初にあらわれるのは一体どこだと思われますか？
・・・それは、肺、それに腎臓です。
これらの臓器はクリーニングの要です。これらの臓器の機能が弱ると血液を濾過し、浄化する働きがしっかり行われません。その状態がさらに長く続けば、血液の質そのものが悪くなり、循環器系、リンパ系を通じてカラダ全体に影響が及び、医学的に言うところの病症名がつくことになります。
ここ数十年で日本人の食生活は急速に欧米化しました。
それにより体格は向上し、一見立派になったように見えますが、子供でも成人病を患うケースや学生を対象に毎年行われる体力測定では、その体力低下が顕著です。
では一体、食事がどのように変わったのでしょう？
それは、主食と副食の量の逆転です。
古来、日本では穀物を主食に据え、それに野菜や魚介、一部の地域では肉を添えて副食としてきました。しかし、戦後、その比率が逆転し、現在、コンビニなどで売られている弁当やファストフードなどのメニューを見ても、その大半を脂肪分や糖分の多い副食が占めているのが現状です。
・・・これはコンビニ弁当や外食だけに限ったことではありません。一般の家庭でも、ご飯を炊かないでおかずだけを出す家や、朝食は菓子パンに牛乳だけという家も増えてきています。しかも、ご飯やパンは100%白米や漂白小麦。
これではミネラルをはじめとする多くの栄養素が足りなくなり、結果、さらに多くのおかずを必要としてしまうという悪循環が起こってしまいます。
さらには、食の欧米化の影響を受け、穀物や豆類、野菜や海藻、魚といった伝統的な食材に代わり、牛肉や豚肉、鶏肉、卵、乳製品などがその主流を占めるようになりました。
しかも、それらを保存するための添加物、味付けのための合成調味料、白砂糖・・・さらには、戦後、欧米からデザートや手軽なスナック菓子を食べる習慣が日本に入ってきて、食生活の中にすっかり定着してしまいました。1日三度の食事以外にも、私たちは過剰なほどの食物を日々大量にカラダに流しこんでいるわけです。
それでも、十分カラダを動かしてそれらを燃焼できているならまだ良いのですが、労働は家電製品がとって代わり、暮らしの中にあったリクリエーションは電子玩具がとって代わり、私たちはほとんどカラダを動かさずとも用の足せる中世の王様以上の生活を享受しています。
これでは、カラダの中に余剰物が日々蓄積されて、内臓の機能は弱るばかり。
さらにこの状態が改善されなければ、次に起こるのは「形態変化」です。なんだか難しい言葉と感じられるかもしれませんね。それがどのような症状なのかは、次回にお伝えするとしましょう。
★今回の記事もマクロビオティックの師・久司道夫先生（故人）のお話を参考に執筆させて頂いています。偉大な思想と健康のための実践法を残されたとても大きな師でした。今も先生の映像を時々拝見し、初心に戻るよう心がけています。
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