もうすぐ夏ですね。食中毒の季節です。
だいたいにおいて食中毒の流行は、この梅雨時から始まります。
近年、小学校のような、衛生管理の行き届いていると思われる場所での
発生が目立ちます。
まして、家庭ではもっと注意が必要。予防のための三原則がありまして、
①菌やウィルスをつけないこと
②菌やウィルスを増やさないこと
③十分加熱して殺菌・消毒すること
これらが求められます。
①の「菌やウィルスをつけない」ということに関して言えば、
まな板と包丁、そして、手をよく洗うことが最重要事となります。
例えば、まな板で肉を切るならば、
十分洗ったものを使うのはもちろんのこと、
まな板の上に新聞紙一部を半分に折って敷き、
さらにキッチンペーパーを数枚重ねて敷き、その上に肉を置いて切ります。
こうすれば、肉についた菌がまな板を介して
さらに繁殖するのを防ぐことができます。
最近は酵素がとれるからという理由で「ローフード」が流行っています。
私自身もその考え方の良いところは
食生活に取り入れていますが、すべてにおいて
「100％非加熱」でというのは、
ちょっと理にかなわぬことのように思います。
「火を使うこと」により急速な進歩を遂げた
人類の文明そのものを否定することになりますし、
夏の食中毒の予防という観点からも、
リスクを高めてしまうと思われるからです。
肉、魚は心配だけど、
野菜は安全と思われる方も多いと思いますが、
野菜もリスクがないわけではありません。
大阪府立公衆衛生研究所・小林一寛氏の調査では、
もやしや、カイワレ大根などのスプラウトは、
水耕栽培時の種子の汚染と水質汚染が原因で
過去に食中毒をもたらした事実があるうえ、
一斉検査ではレタス、キュウリ、サラダ菜、
みつば、ほうれん草、ミニトマトなどの対象農産物の約20％に
大腸菌、サルモネラ菌などの汚染が確認されています。
これらの結果は、植物性とて
100％安全ではないということを意味しています。
ちなみに、パックされたもやしには、
１gあたり、どれくらいの細菌が生息していると思われますか？
１gあたり、10の6乗～7乗個です。
これが長ネギだと、10の５乗個程度。
きっと、数字だけ聞いてもピンときませんよね。
これがヒトの「うんこ」だとどうかというと、
１gあたり10の8乗～9乗個の細菌数となります。
ある意味、
もやしは、限りなくうんこに近い（笑）。
・・・いや、逆に、
うんこは、限りなくもやしに近い。
と、言えるかも知れない（笑）。
とは言っても、細菌の全てが人に悪さをするわけではなく、
人と共生していたり、発酵菌のように
人の役に立つ細菌も含めた数なので、どうか誤解のないように。
「私たちの生命は、細菌とともに在る」
ということなのです。
ただ、夏場は人に悪さをする菌が多く、
増殖しやすいため、他の季節以上に
「予防の意識を持とう！」ということです。
ちまたでは、ヘルシーなイメージとともに
サラダバーが流行していますが、
これなども衛生管理がしっかりしたものなのか
利用する方は注意が必要でしょう。
南国・シンガポールでは、
毎年のように、レストランのサラダーバー由来の
食中毒が発生しているという報告があります。
サラダバーは、不特定多数の人が利用するため、
人そのものが汚染源になる心配があるのと、
食中毒に関与する菌は、付着後３０分してから
急速に分裂、増殖し始めるため、
カットした後、時間が経過したまま置いておく
ところに問題があると言えます。
一番良いのは、自分で食材を選び、
しっかり洗って、調理した後すぐ食べる。
これにつきると思うのです。
必要以上に食中毒を恐れることはありませんが、
夏はどうしても気温が高くなり、
水モノを多く摂って、集中力を欠き、
心身ともにゆるみがち。
なので、食中毒のような
「困った問題」が発生することで、
私たちの意識も引き締まり、
「衛生管理をしようという意欲」が生じるわけです。
本当に、世界はうまいこと出来てます。
すべては、バランスをとろうとして動いてます。
そんなわけで、食材を安全に美味しく食べて、
どうぞ、楽しい季節をお過ごし下さい！
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