カラダにやさしい身土不二

食と健康

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「身土不二」という言葉をご存知ですか?

もともとは仏教用語で、「身」(=今までの自分の行為の結果)「土」(=おかれた環境)とは切り離せないという意味です。そこから、食養生やマクロビオティックの思想へと取り込まれ、「自分の生まれ育った土地のものを食べるとカラダに良い」という考え方へと発展しました。最近の地産地消の考え方にも共通するものがありますね。

自分の暮らす土地で収穫された野菜が良いのは、その土地のパワーが元気の源になるからです。

 

■気を失った食べ物・食べ方■

なので、いくら便利だからといって冷凍野菜を常用することには疑問を感じます。単に美味しくないというだけでなく、栄養素も壊れ、繊維だけを食べている感じさえするからです。気功家によれば、すべてのものには「気」が入っており、冷凍してしまうと、その「気」が失われてしまうと言います。

サプリメントは上手に活用すれば、都市生活者の健康維持にとっては有益なものだと考えますが、栄養不足を補うためにサプリメントだけに頼るのは賛成できません。やはり、そこには食物が本来もっている「気」が失われてしまうのです。自分に足りない栄養素をわかって、それを食物から取り込むことが難しい場合や、カラダが弱っている時、スポーツなどでふだんの体調よりもパフォーマンスを高めたい時に用いるのが良いと思います。

肉が主食となる欧米では、真冬でもTシャツ姿の人を見かけます。これは、動物たんぱくを多く摂っているためにカラダが熱くなるからです。だからこそ、熱を取り去り解毒を促すために野菜をサラダで摂るのです。これをベジタリアンや寒冷地に暮らす人が真似して年中サラダを食べていたなら、きっとあっという間に冷え症になってしまうでしょう。ローフードが欧米で流行っているからといって、すぐにそれを真似てしまうのは感心しません。そうやって体調を崩した人を何人も知っています。

もちろん、生の野菜にしか含まれない「酵素」を取り込むにはサラダが良いという考えも理解できますが、この日本には古くから「漬け物」「味噌」というカタチで発酵を利用した酵素を取り込む立派な加工技術があるのです。それらの方法はサラダほどはカラダを冷やしません。そうした伝統的な方法を大切にしていくのも身土不二に適った食生活といえます。

日常生活の中で生野菜やサラダの過食はほどほどにして、「煮る」や「蒸す」技術を上手に活用し、できるだけ火を通した野菜を摂ることが、私たち日本人、そして東洋人には合っているように思います。

 


 

■食べ物を陰陽に分ける■

日常生活が「医食同源」のもとに営まれている中国でも、それぞれの季節に合った食材を選んで食べるのが、ごく当たり前の習慣となっています。こうした食習慣のベースには食材や食べ物を「陰」「陽」に分ける中国ならではの考え方があります。

簡単に言えば、「陰」はカラダを冷やす食べ物。「陽」はカラダを温める食べ物。暑い夏にはおもに「陰」のものを食べて熱いカラダを冷まし、寒い冬にはおもに「陽」のものを食べて冷えたカラダを温めます。例えば、羊肉は「陽」の食材なので、冬には食べても夏には食べません。逆に緑豆は「陰」の食材なので、夏には食べても冬には食べません。

ただし、冷え性の人なら、夏でも「陰」のものは食べ過ぎないようにするなど、それぞれの体質によっても食べる物や食べる量を変えるのです。また、その時々の体調によっても「陰陽」を食べ分けます。例えば、中国の女性は、カラダを冷やしてはならない生理前の時などは、ナスやキュウリなど「陰」の夏野菜を食べませんし、触ることさえ避けようとします。

このように、食べ物を陰陽に分け、それぞれの食事に活かすことは、「医食同源」・「身土不二」の基本です。漢方では、もうひとつ「平」という状態がありますが、これはカラダを温めも冷やしもしない中間に位置する食材もさします。できるだけ日々の飲食のバランスを考えて、体調を平にもっていくことが大切なのです。

現在、日本ではあまりにもカラダを冷やすものや冷たいものが多くあります。刺身や冷や奴、枝豆を肴にキリキリに冷やしたビールをクーラーの効いた部屋でゴクゴクと飲む。これでは内臓が冷えないわけがありません。「冷え」は万病の元。身土不二を意識して、環境や変化する季節と調和したカラダ作りを心がけたいものです。

 

 

★日本の食の欧米化には、実は陰謀があったのです。今こそ、私たちは「身土不二」を食卓のスローガンに掲げたい!そう思います。

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