金子みすゞの詩に感涙
北海道立文学館で開催中の「金子みすゞ展」に行ってきた。私は趣味でひらがなだけを用いた詩を書いているのだが、彼女の作品にも平易な言葉を用いた素晴らしい詩が多数あり、その才能と表現力にはある種の憧れがある。そんなわけだから、本展の開催もずっと心待ちにしていた。
会場ではみすゞの生い立ちから結婚、離婚、そして26歳の若さで死去する迄のプロファイルが丁寧に解説され、時系列に沿って創作された詩が紹介されていた。
私には今回、展示を最も楽しみにしていた「ある作品」があったのだが、それを見つけた。創作手帖に丸っこい愛嬌ある筆跡で書かれた詩の原稿とそれを拡大コピーしたパネル。
私は常々、この世に存在する全てのものは、その親を同じくする兄弟姉妹であると信じて生きているのだが、みすゞの手による原稿からもそれと同じ気持ちが伝わってきて、私は一人パネルの前で感極まって泣いた。その詩とは次のようなものである。
『蜂と神様』
蜂はお花のなかに、
お花はお庭のなかに、
お庭は土塀(どべい)のなかに、
土塀は町のなかに、
町は日本のなかに、
日本は世界のなかに、
世界は神さまのなかに。
さうして、さうして、神さまは、
小ちやな蜂のなかに。
⭐️ 会場で販売されていたみすゞの全集。分厚くて重い本であるがこれ一冊でみすゞの全作品に触れることができる。なんと美しい装丁。そして珠玉の作品たち。欲しい。
価格:3,960円 |
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