物語の持つチカラ

渡辺淳一文学館で行われた文学イベント『幸福の王子』を観てきた。朗読と歌とリュートの演奏が一体となった大人の為の知的エンターテイメント。

雪嵐の悪天候にも関わらず、多くの人が会場に集まった。演奏が始まり、朗読と歌が続いた。オスカー・ワイルドの原作は誰もが子供の頃に出会った事だろう。私も朧げながら記憶はあるが、俳優さんの朗読によって語られるその物語に引き込まれ、新たな感動を頂いた。

宝石を埋め込まれた王子の像と旅の途中の燕が貧しい人々の為に命を捧げる物語。子供の頃には気づかなかったが、これは自己犠牲をテーマにした作品だったのだ。本作が書かれた100年前も、現在も、人間社会には富める者と貧しき者が存在する。そして心暖かき者も、冷たき者も。

観客は皆、思い思いに頭の中でそれぞれの物語を想像し楽しんでいるように見えた。

公演が終わり、心満たされ帰路に着いた。物語は人に気づきを与え、暮らしに彩りを与える。3人の演者によって紡ぎ出された物語は今も私の心の中で響いている。

 ⭐️ この名作を日本を代表する作家・曽野綾子の名訳で改めて読んでみる。巡り来る感動再び。物語は人を癒す。人は物語に触れることにより成長する。その事実を今回の公演で体験した！